第58話 転移した先は
もう一度、美少女を見てみる。透き通るような真っ白な肌という形容がぴったりな透明感のある肌だ。髪は限りなく黒に近い銀髪でダークグレーと言えばいいのだろうか?現実離れしている位サラサラのキレイな髪で腰の辺りまで伸びている。目は銀色で色白な肌によく合っている。そして整った鼻筋に口元と完璧な美少女だ。
スタイルも抜群で、均整の取れたボディラインにスラリとした長い手足。そして、なぜか日本のOLさんが着ているような白いブラウスにグレーのタイトスカートを履いている。
もはや、現実の人間とは比べられず例えるならばCGで作成されたゲームキャラクターのヒロイン並の美しさだ。
「もう、なんで黙っとるとよ。あ、こっちきて座らんね」
ところが美少女はなぜかオレに対してすっかり打ち解けた様子で話しかけてくる。
すると部屋の中央にスっとちゃぶ台のようなテーブルが出現した。オレは混乱したまま勧められたちゃぶ台の脇に正座する。コタロウ、コジロウはオレの横で丸くなり、ガル、ギル、ゴルは座ったオレの周りに浮かんでいる。
オレはどうしたらいいのか分からず、いつものようにアイを頼ろうとするがなぜかウインドディスプレイが立ち上がらない。焦っていると、また話しかけられる。
「何か飲み物いる?」
「あ、じゃあお茶で」
おずおずとオレが答えると
「コーラもあるよ」
「え?コーラ??」
「ははは。コーラにしようか」
なぜこの世界にコーラが?疑問に思うと同時に期待感が高まる。
前世ではコーラは必需品だった。冷蔵庫に常にストックしてあり、ポテチとともにいつでも食べられるようになっていた。そう、オレはジャンクフードが大好きだったのだ。
こちらの世界に来てから一切口にできなくなっていたが、しょうがない事だと諦めていた。そんなコーラが飲めるだと?
「はいどうぞ」
目の前にガラスのコップに注がれたコーラが出される。コーラは氷で冷やされてキンキンに冷えていて、その証拠にコップの表面にはびっしりと水滴が付いている。
オレは堪らずコップを引っ掴み、中のコーラを一口飲んでみた。
「!?」
う、うまい。コーラってこんなにうまかったっけ?感動さえ覚えるうまさだ。
オレが感動に打ち震えていると、美少女は更にとんでもないことを言い出す。
「ポテチもあるよ」
え?それまじですか?
ポテチが出された。しかもオレの一番好きなのりしお味だ。
夢中でポテチを頬張りコーラで流し込む。う、うまい。コーラ単体でもうまかったがコレはまた別格だ。ポテチとコーラの相乗効果は凄まじく、ポテチ → コーラ → ポテチ → コーラ とさながら永久機関のように食べ続ける。そしてあっという間に出されたポテチを完食してしまった。
はあああ、と満足感に浸っていると美少女と目が合いハッと我に返る。あわわわ、めっちゃ恥ずかしい。
「おいしかった?」
ニッコリ笑いかけてくる美少女にオレは無言でコクコクと頷くのが精いっぱいだ。それにしてもこの状況は、なんなんだ?まず謎の場所、それに謎の美少女、そしてなぜこの世界にコーラとポテチがあるんだ?オレは横で丸くなっているコジロウにこっそりと聞いてみる。
『なあ、ここはどこなんだ?そしてあの美少女は誰だ?』
『にゃあ、ここは電脳界だニャア、その女の人はご主人様のよく知っている人だニャア』
え?電脳界??そのワードはなんとなく聞いた事があるぞ。電脳ネットの電脳って事だろうな。そしてオレのよく知っている女の人と言うことは?
「アイ?」
「うん?何??」
やはりアイだったのか。それにしても、またまた謎が深まったぞ。この目の前にいる美少女は、人間なのだろうか?それとも非常に良く出来たロボットってことなのか?
アイの方をそっと見つめる。見れば見るほど美少女だ、確かに人間ではないのかもしれないな。
オレがそんな事を考えているとドンドンというドアをノックするような音と共に人の声が聞こえてきた。
「こら、アイ。夜にまた騒いでから。あんた生放送やら言うとば、またしとるんやろ?」
するとアイは急に慌てて、声のする方にすっ飛んで行く。
「違うって、ほら例の勇者様と聖獣様が来たとよ」
「また、うそばっかりついてから。来る訳ないやん。あんたは、仕事もせんでネットばっかりしてから、お母さん恥ずかしかよ」
ガラリと音がして、女の人が入ってくる。「THE おかん」という見た目の中年女性だ。
怒った顔をしていたが、オレ達に気付くと急にニコニコしだした。
「あら、いらっしゃい。あんたシュウさんやろ?いつもアイがお世話になっています」
え?この女の人がお母さん??




