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第57話 コジロウの能力は?

「え?ちょっと待て、なんだこの数値は?」



オレは余りの事に混乱してコタロウの背から降りる。改めてコジロウのステータスを何度も見直すが結果は変わらなかった。




コジロウ

種別:白銀虎プラチナタイガー 智の賜物保持者ギフトホルダー

HP: 6892

MP:34971

使用可能な魔法:物理魔法 精霊魔法 時空魔法



え?この世界って999でカンストじゃないの?なんだこのHPとMPの高さは?

MPなんてオレの100倍以上あるじゃないか!




シュウ

勇者Lv19

種別:人族

HP168

MP239

使用可能な魔法:初級火魔法、初級風魔法、初級水魔法




ちなみにオレのステータスはこうだ。あまりに違い過ぎて笑えてくるな。

だが、違っているのは数値だけではない。




種別が白銀虎プラチナタイガー?なんだこれ?



白虎ビャッコが進化した個体名です』


なるほど、捕まえたモンスターが何らかの条件で進化する例のアニメみたいなことだな。

白虎ビャッコって最終形態だと思ってたけど、まだ先があったのか。しかもその先にコジロウはすでにあっさり進化しているのか。

ということは、コタロウもまだ進化するってことだよな。


更に智の賜物保持者ギフトホルダーも持ってる。確かにコジロウは利口なネコだけど、オレよりも頭良さげなスキルだ。



だが、一番気になるのは使用可能な魔法だ。


「物理魔法ってどうゆうこと?」


『にゃあ、全ての物理法則に干渉することができる魔法だニャア』



つまり火魔法ってのは、物体の運動エネルギーを上昇させて発火させる能力、風魔法は空気を操ってその気圧差により風を起こしたり真空状態を作り出す能力、水魔法は空気中の水分を操る能力というように魔法ってのは、元々物理法則に干渉することによる能力ということらしい。


物理魔法とは、その対象物が森羅万象全てになったとのこと。



「つまり、コジロウはどんな魔法でも思いのままに使うことが出来るってことなのか?」

『そうだニャア』


うん?グリズリーを倒した時は風魔法だろう。じゃあ、ダイゴロウさんを浮かび上がらせた魔法ってなんなんだ?



『あれは重力を操ってあの人の質量を0にしたんだニャア』



事も無げにコジロウは言うが、そんな事もできるのか…

もう何が何だか分からなくなった。オレの理解力の範疇を超えているからな。まあ、コジロウは智の賜物ギフトを持っているからそんな能力でも扱えるのだろう。まだまだ聞きたいことはあるが、一先ずは次にいってみよう。



「オッケーオッケー、分かった。イヤ、分かってはないんだけど…じゃあ次なんだけど精霊魔法ってのはなんなの?」



これこそ、ファンタジー色強めの能力だ。この世界でも精霊ってまだお目に掛かれてないからな。つうか魔法が使える以外は昔の暮らしってだけの世界だし。



『精霊界に働きかけて、精霊の加護を受けたり、力を貸して貰ったりする魔法だニャア』



おおー、やはり精霊界ってのがあるんだな。これぞファンタジー世界の醍醐味だぜ。



「それは凄いなあ。例えばどんな事ができるんだ?」



オレがそう言うと目の前に魔法陣が出現した。直径1メートルくらいで何か意味の分からない文字が円形に描いてあり全体から何やら青白い光が迸っている。



するとその魔法陣の中から炎に包まれた小型の竜みたいなのが次々に3匹現れた。



「うわ!なんだコレ?」

『火の精霊サラマンダーを呼び出してみたニャア。コレをご主人様の護衛に使うんだニャア』



『オレはガルだぜ、得意なのは索敵だ。敵が現れたらご主人様にすぐに知らせるぜ』

『ボクはギルだよ、炎系の攻撃魔法が得意なんだ。ご主人様の攻撃を手伝うからね』

『私はゴルと申します。防御が得意です。私の命に代えてもご主人様への攻撃を防いでご覧にいれます』



3匹はそれぞれ自己紹介を始める。大きさはみんな30センチくらいの可愛らしい大きさで空中に浮かんでいる。


ガルは見た目が一番小さいがスマートでその分動きは素早そうだ。ギルは3匹の中では見た目には特徴はないが、クールな顔つきをしている。そしてゴルはガッシリとした体形で安定感がある。


戦闘力は見ただけで分かる位3匹とも強そうだ。前世で言うところの高級車に使われるような高級そうな赤色の堅そうなウロコに覆われ獄炎と表現した方がぴったりくる黒い炎を身に纏っている。



「う、うん。みんなヨロシクね」



『よろしくだぜ』

『よろしくだよ』

『よろしくです』



するとギルが『ご主人様の魔法を増幅ブースト出来るからね』と言うので少し試してみることにする。



「ファイアーボール」



少し魔力を込めて放ってみると…






「や、やべえこれマジかよ…」




目の前に直径10メートルくらいの火の玉が出現した。今まではオレの最大出力でも直径50センチくらいだった。こんなヤツその辺に放ったら、大火事になるだろ、どうすりゃいいんだ?



「ご、ごめん、これどうにかしてくれるか?」

『お安い御用です』




するとゴルが火の玉をあっという間に吸い込んでしまった。あっけなく解決したのでなんだか拍子抜けてしまったが、コレでこいつらの実力が推し量れたな。




「す、すごいなコジロウ。こんな強い味方が3匹もついてとっても心強いよ。ありがとうな」

『にゃあ、どういたしましてだニャア』



じゃあ、最後の能力を聞いてみるか。何やら怖い気もするが…




「この時空魔法ってのはどんな魔法なんだ?」

『にゃあ、時間と空間に干渉できる魔法だニャア』



やはり思った通りだ。


「じゃあ、過去に行ったり色んな場所に移動したりできるってこと?」

『にゃあ、時間を操るのは膨大な魔力を使うのであまり昔には行けないニャア、空間転移は一度行った場所や座標が特定できる場所なら行けるニャア』




「え?じゃあ、オレ達が元住んでいた世界にも行けるかなあ」

『やってみるニャア』




オレがそう言うとコジロウが何やら集中しだす。すると目の前に直径10メートルくらいの積層型魔法陣が出現した。炎の精霊サラマンダーを召喚した時の魔法陣に比べてかなり大掛かりなものだ。魔法陣全体からとんでもない量の青白いオーラが立ち上っている。そしてコジロウが何かむにゃむにゃと唱える度にそれに呼応するように「ゴオオオオ」とオーラが増えていく。これは凄い、もしかするとオレ達帰れるんじゃ…






そのまま10分ほど経過した。




『にゃあ、ムリだったニャア。向こうの座標は特定できるのだけど、こちらの空間が「閉じて」いるので妨害ジャミングされてしまうんだニャア』



コジロウががっくりとうなだれる。本当にすまなさそうな顔をしている。それを見てオレは元の世界に帰れない残念さよりも、落ち込んだコジロウに無理なお願いをしてしまった後悔が勝る。





「そうか、しょうがないよ。まあコタロウもコジロウもいるし、こっちで楽しく生きて行こうか?」

『そうだニャ、兄ちゃんもいるし3人で暮らして行こうニャ』


コタロウも相槌を打ってくれた。



こんなに一生懸命やってくれたんだ、ありがとうなコジロウ。オレはがっくりとうなだれているコジロウの気持ちを切り替えるために質問を変えてみる




「じゃあ、他に行けそうなところってどこかある?」

するとコジロウが考え出す。よし、なんとか気を逸らすことができたようだ。



すると嬉しそうに答える。



『ここなら行けるニャア』




(ブゥン・・・)




次の瞬間、オレ達は奇妙な場所にいた。真っ暗な部屋の中みたいなのだが、周りには機械の様なものが沢山あってそこら中から小さな光が発せられている。例えるならば、SF映画に出てくる宇宙船みたいな部屋だ。沢山ある機械は動いているみたいでピーとかピッピッピと言った電子音みたいな音が絶えず聞こえてくる。




「え?どこに来たの?」オレは慌てて辺りを見回す。



あれ?良く見ると部屋の中央にイスがあり人が座っているぞ。フットレストがついているオットマンのリクライニングチェアの様なイスに足を伸ばして深く腰掛け、頭部にはVRゲームに使うようなヘッドマウントディスプレイのようなものを装着している。

暗くて良く見えないが、シルエットから女の人っぽい。




すると急に部屋が明るくなった。



「うわ、まぶしい」



オレは、突然の事に目をつむる。段々と明るさに慣れてきたので、中央の人に目を向けると頭部のHMDヘッドマウントディスプレイを外した女性と目が合う。



その女性はこの世のものとは思えない、超絶美少女だった。

美少女はオレと目が合うと、キッと睨みつける。



うわ、オレは反射的に身構える。何だか分からないが、怒らせてしまったようだ。




すると、次の瞬間その美少女は急にあわあわと慌てだした。本当に絵に描いたような慌てっぷりで、キョロキョロとオレとコタロウ、コジロウにガル・ギル・ゴルを交互に見ている。そしてもう一度オレと目が合うと、おずおずと話しかけてきた。



「な、なんね?あんたたちは?勝手にレディの部屋に入ってから」



その風貌にはまるで似つかわしくない言葉遣いにオレはびっくりして何も言えない。黙って下を向いているだけだ。すると、そんなオレの方を見てその美少女が「あ」と声を上げた。


「シュウやろ?コタロウとコジロウもいるやん。もう、急に来たけんびっくりしてテンパってしもうたあ」


え?この美少女って一体…


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