第51話 戦いの行方
闘気の渦に穴が開き姿を見せたリュウガであったが、すぐにその穴は閉じてしまいまたその姿を隠す。
間髪入れずコタロウが攻撃を仕掛ける。
ドゴオオオオオオオオンン・・・
ところが、すぐに穴が閉じる
シュウウウウウ・・・
再度攻撃を仕掛ける。
ドゴオオン・・
シュウウ・・
ドゴオオン・・
シュウウ・・
段々渦のサイズが縮んでいく。
すると、コタロウは更に畳み掛ける様に連続攻撃を開始する。
渦は少しずつ削れていく。
ドゴォォ・・
シュゥゥ・・
ドゴッ
シュゥ・・
そして遂にリュウガの姿を隠しきれなくなった。
ドガァァァァァァァァァァァァ・・・
無防備となった顔面に攻撃を叩きこむ。まともに喰らったリュウガの口元から血が流れ出す。するとリュウガは仰向けに寝そべってお腹を出した。猛獣が見せる服従のポーズだ。
『参った。オレの負けだ』
コタロウは、無防備なリュウガに歩み寄り前足を持ちあげた。
「コタロウ、そこまでだ」
オレは止めを刺そうとするコタロウを制した。
『にゃ?ご主人サマ、なぜ止めるニャ?』
「リュウガが本気だったら、オレ達2人とも死んでたはずなんだ」
そう、リュウガの行動は不可解な点が多かった。確かにオレもコタロウも死にかけたが、リュウガは結局止めを刺さなかった。それどころか手加減してくれていたようだ。
違和感に気付いたのは、コタロウが復活してからだった。コタロウに放った闘気の渦は、オレへのそれに比べると段違いの威力だった。それを喰らっていたらオレは間違いなく死んでいただろう。では、なぜリュウガはそんな行動を取ったのか?
「おまえ、オレ達を鍛えてくれたのか?」
するとリュウガは「ふっ」と笑みをこぼした。
『察しが良いな、勇者サマは』
やはりそうだったのか…でも一体何のために?
『お前、何でボク達を鍛えたんだニャ?』
『どうだっていいだろ?そんなこと』
いや、どうでも良くない。何か目的があるはずなんだ。
「リュウガ、お前は一体何者なんだ?なぜオレ達の目の前に現れた?」
『それは言えない。だが、コタロウは聖獣として覚醒してから余りにも経験が足りなかったからな。ちょっとおせっかいを焼かせてもらったんだよ。まあ、すぐにオレに鍛えて貰ったことを感謝することになるだろうぜ』
うん?どういうことだ?色々と聞きたいが、話してくれそうもない。するとリュウガはオレの目をじっと見つめる。
『オレの最後の攻撃な。思わず手が出てしまったんだよ。あんまり器用にオレの闘気嵐を避けるものだからな』
リュウガは「殺してしまったか」と思ったが、オレは防御も回避も不可能な事を悟り被害を最小限に留める受け方をしたのだ。死ななかったオレを見て、少なからず驚いたとのことだった。
『意外と今日の戦闘でコタロウよりも勇者サマの方が成長したかもな』
愉快そうに笑うリュウガに対しオレはこう答えた。
「リュウガ、オレの名前はシュウだ。オレの名前も覚えてくれよな」
『そうか、シュウとコタロウ。お前たちいいコンビだな』
「リュウガ、違うぞ」『違うニャ』
『うん?』
不思議そうな顔をするリュウガにオレ達はコジロウの事を教える。
『そうか、コタロウには弟がいるのか…』
一瞬何か考えこむが、すぐにこちらに笑顔を向ける。
『そうか、無事コジロウに会える事を祈ってるぞ』
「じゃあな、シュウ、コタロウ」と言い残しリュウガが消える。直後に転移の鳥居が出現した。
「ふう、疲れたな。とりあえず休もうか」
「にゃあ」
オレはその場にログハウスを取り出しコタロウと中に入った。
『それにしても、色々と疑問が残ったな』
オレは、晩御飯の後コタロウにネコネコスティックをあげながらアイに話しかける。
リュウガは一体何者だったのだろう。そして、なぜコタロウを鍛えてくれたのか?
しかも鍛えたことに感謝される出来事が、近々あると言ってたな。
それってこれだけ強いコタロウでも敵わない敵が現れるってことだよな。
『今の段階では、全て謎に包まれていますね』
そうか、このところアイさんのデータベースで答えられない事案が度々発生するなあ…
あ、忘れないウチにコタロウのステータスをチェックしておこう
「鑑定結果」
コタロウ
種別:白虎 雷の賜物保持者(卵)
HP:999
MP:0
特殊スキル:闘気 剛力 隠密 神速 感知
あ、HPが999になってる!!!だが、それよりも気になるのが…
「コタロウが、雷のギフトホルダー(卵)になったー」
「にゃあ」
コレもリュウガのお陰ということなのだろう。ちなみにオレのステータスだが全く変化がなかった。多少は強くなっている気がするのだが、数値が変わらないのであまり実感が湧かない。
シュウ
勇者Lv19
種別:人族
HP168
MP239
使用可能な魔法:初級火魔法、初級風魔法、初級水魔法
さていよいよ明日は、このダンジョンのボス9尾の銀狐との対決だ。その後には、コジロウの異世界召喚も待っている。
オレは、横で寝ているコタロウにヒールウォーターを掛けてやった。
「今日は頑張ったな。明日も頼むぞ」
「うにゃん」
よし、オレも寝るか




