第39話 最初のガーディアン
本日、ブックマーク登録頂いた方ありがとうございました。もし、これをみていらっしゃる方で自分も登録してもいいよって方はぜひぜひ登録してみて下さい。励みになります。
目的地に着いたはいいが目の前の湖は完全に凍っている。わかさぎ釣りをするには良さそうだが、果たしてボスとご対面できるのか?
『問題ありません。そのまま凍った湖面の上を進んでください、向こうから姿を現しますので。ただし、氷が薄いところがありますのでくれぐれも落ちないようお気を付け下さい。』
(向こうから姿を現すってどういうことだろ?ここのボスって気性が荒いって言ってたけど、急に襲って来たりしないよな?)
少し不安だったが、アイの指示通りオレ達は凍った湖面の上に立ってみた。氷は分厚くて体の大きなコタロウが乗ってもびくともしない。
「コタロウ、氷の上は滑るけど進めるか?」
『にゃあ、問題ないニャ』
ツメがスパイクの役割を果たしているのだろう。大丈夫そうだ。
あ、氷の上だとニクキュウが冷たいんじゃ…
『にゃあ、冷たさはあまり感じないニャ』
良かった。あ、そう言えばニクキュウってぷよぷよしてるのは脂肪でその部分の皮膚は厚いって話だったな。滑り止めにも役立つんだった。
「よし、行くか」
「にゃあ」
オレ達は氷の上をそろそろと進んでいく。コタロウは全く危なげなく進むが、オレはおっかなびっくりだ。履いているのはただのわらじだから、多少滑るからな。
「コタロウ、敵の位置は分かるか?」
『ちょっと、探ってみるニャ』
コタロウの“感知”で敵の位置を探ってもらう。このクエストって探知系のスキルないと詰むだろ。
『にゃ、来るニャ。ご主人サマ逃げて』
「メリメリメリメリメリ」
コタロウの声と同時に、目の前の分厚い氷が音を立てて割れる。と、中から巨大なワニが出てきた。物凄くデカイ、10メートルくらいだろうか?見たことはないが、ちょっとした恐竜並だ。つうか本来、ワニって変温動物のハズだろ?こんな極寒の地で動けるのかよ。
オレはいつものように風魔法で上空に逃れつつ、鑑定でこのワニのステータスを確認する。
「鑑定結果」
スノウクロコダイル:本来、温かい気候に棲息していたが、寒冷地に移り住んだ個体が特殊進化したもの。極寒の水中でも全く問題なく活動できる。強靭なアゴで獲物を捕らえ、水中に引きずり込む。
HP:590
ワニが寒冷地で特殊進化って…ダーウィン先生がこれ知ったら何と言うんだろうな。
『コタロウ、噛まれないように気をつけろ。水中に引きずり込まれるぞ』
『にゃ。気を付けるニャ。水の中は冷たいから入りたくないニャ』
コタロウは油断なくスノウクロコダイルと氷上で対峙している。
と、スノウクロコダイルがコタロウに向かってドスドスと突進してくる。そしてコタロウの目の前に迫った瞬間に体を反転させ、その巨大な尻尾で辺りを薙ぎ払う。
ブォォォンンン!!!
モロに喰らったらペシャンコになりそうな勢いだったが、コタロウは余裕で躱す。とクロコダイルが更に反転した。
ブォォォンンン!!!
もう一度、辺りを薙ぎ払うがもちろんコタロウにはかすりもしない。
そんな攻防が2度3度と続くが、何度やってもカスリもしない。上空で見ているオレはコタロウが大縄跳びをやっているようにしか見えなくなってきた。
「ボチャン」
するとさすがに諦めたのか、スノウクロコダイルが水中に飛び込んだ。
「あれ?諦めた??」
そう思った瞬間、コタロウが立っている辺りの氷を突き破りスノウクロコダイルが出現した。
「メキメキメキメキ」
大きな顎を目一杯広げて、その凶悪なキバでコタロウに噛みつき水中に引きずり込むつもりのようだ。
コタロウは、大きくジャンプをしてその攻撃を躱す。
「ほ、良かったー」
傍から見ているオレは、ほっと胸を撫でおろす。
すると、またスノウクロコダイルは水中に姿を消す。
「メキメキメキメキ」
とまたまたコタロウの真下の氷が裂け、スノウクロコダイルが姿を現す。それをコタロウがジャンプして躱す。
「メキメキメキメキ」
「ぴょん」
「メキメキメキメキ」
「ぴょん」
「メキメキメキメキ」
「ぴょん」
そんな応酬が何度も続いた。上空で見ているから分かるが、コタロウは全く危なげなく躱している。まあ、”感知“があるからな。姿が見えなくても気配を察知できるから、攻撃を喰らう事はないのだろうな。
そんな光景を見ながら、オレは現世のゲーセンにあったモグラ叩きを思い出していた。叩かれるのはモグラではなくてワニなのでワニ叩きかもしれないが…
クロコダイルは何度やっても躱されるのが面白くないのだろう、ワニなので表情からは分からないが、物凄く怒っているように見える。
どんどん出てくるまでの間隔が短くなっていった。
出てくるたびに穴を開けるものだから、辺りは穴だらけになってしまった。それでもスノウクロコダイルは諦めない。しつこい位に、出ては入ってを繰り返す。
「メキメキ」
「ピョン」
「メキメキ」
「ピョン」
「メキメキ」
「ピョン」
ところが、またまた例によってコタロウがこの遊びに飽きてきたようだ。いつものごとく、あくびをしだした。
そして…
『にゃ。そろそろ終わらせるかニャ』
大きく伸びをした後、コタロウは一瞬身構えて気合を入れる。
『ニャ!!』
掛け声と共に、コタロウの“闘気斬”が飛んでいく。
そこへ絶妙なタイミングで氷の中からスノウクロコダイルが飛び出してきた。
「ガアアアアアアアアアア」
「斬っ」
「ガ?」
哀れなスノウクロコダイルは出現と同時に真っ二つに切り裂かれ、訳が分からないままに息絶える。そして、そのまま宝箱へと変身した。
「ボン」
「どれどれ?」
出現した宝箱の中身を確認してみると、予想通り「スノウクロコダイルのワニ皮」だった。
「よっしゃ。一面クリアーだぜ。コタロウお疲れさん」
『にゃ、お腹が減ったニャ』
コタロウにご褒美のネコネコスティックをあげながら、よしよしと撫でてやる。すると、向こうの方に何やらボウッと赤く光るものが見える。
「うん?あれは?」
近づいてみるとそれは鳥居だった。忘れもしない、最初に転移した赤木が原の変な山の上にあった鳥居と同じものだ。
まあ、鳥居なんてどれも同じかも知れないが…
『シュウさん、それが次の階層への入り口となります』
『分かった。ありがとうアイ』
オレとコタロウは出現した鳥居をくぐる。すると一瞬体が光に包まれて周りの景色がぼやけた。
「うん?」
次の瞬間、オレ達は別の場所に立っていた。
「暑っつい!!!」
「にゃあああ」
オレ達は砂漠の上に立っていた。




