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第35話 北東エリアの冒険者たちと

コタロウと2人お呼ばれしてダイゴロウさん達のテーブルまで行くと、4人のオッチャン達が鍋をつついている。鍋の中には、芋や肉、色々なきのこや野菜なんかがごっちゃになっていた。


(コレが芋煮ってヤツだな)


「おう、煮芋だ。食べろ食べろ」


と勧められるのでコタロウと2人食べてみる。


「ウマい」

「にゃ」


醤油ベースのダシに色々な具材の味が合わさって豊かな味を作り出している。サトイモっぽい芋もねっとりとして美味いが、意外なことにキノコ類が今まで食べてたものよりも断然うまい。


「山で直接、取ってきた舞舞茸だ。うまいだろ?」


あまりの美味さに舞を舞ってしまうのでその名になったそうだ。


「まあ飲め。ヒノモト酒の“天狗舞舞”だ」


あまりの美味さに天狗が舞を(ry


ごちそうを頂いているとリサがやってきた。


「どうだ。こっちの煮芋はウメーだろ?」

「はい。中の具全部うまいけど、特にキノコがめちゃめちゃ美味いです」


と言うととっても嬉しそうな顔をした。(この子、黙ってたら本当に美少女なんだけどなあ)


と、ダイゴロウさんが


「リサちゃんは、まだ料理は修行中だからな。この料理はみんなが持ち込んでるんだぜ。」


リサがほっぺをぷくーっと膨らませて拗ねる。スネた顔もカワイイ。


「どうせ私の料理は、誰も食べてくれませんよ」


すると周りのオッチャン達が、次々とフォローを入れる。


「でも、リサちゃんはオレ達が好きそうな酒を一生懸命選んで仕入れてくれるんだよ」

「オレ達がケガをしたら心配して治癒魔法かけてくれたりもするし」

「ギルドもいつもきれいに掃除してくれるから、とても助かってるよ」


あっという間に機嫌を回復したリサは、ここの冒険者ギルドの話をしてくれる。


なんでも、北東の冒険者ギルドは冒険者の数が少ない上にベテランばかりで若者は全然いないそうだ。その中で筆頭冒険者にして唯一のプラチナランクがダイゴロウさんだ。だが、他の冒険者もそれなりでほとんどがゴールドランクなのだそう。


「こいつらクエストの成功率が高いから、ギルマスとしてかなり助けて貰ってるんだよなー」


そうか。若者は都会に出て行ってしまうということなんだろうな。そうして残されたオッチャンばっかりの中に自分の娘くらいの若い女の子がいれば、そりゃーかわいいだろうなあ。


「ところで、このネコちゃんの名前はなんで言うんだ?」とダイゴロウさんが聞いてくる。

「あ、コタロウです」

「コタロウか…」ん?なぜか一瞬、顔が曇ったような…


「それでその探しているコタロウの弟の名前は?」

「コジロウです」


「コタロウとコジロウって言うんだな?」

「あ、はい」


すると、なぜかダイゴロウさんのスイッチが入る。またまた肩を震わせてすすり泣きを始めたのだ。リサと他のオッチャン達は「またか」という顔をしているので、いつもの事なのだろう。




「オレがまだ駆け出しの冒険者だった時の話だが」



そして唐突にダイゴロウさんの昔話が始まった。


なんでもダイゴロウさん、若い時はイケイケの性格だったらしい。もちろん実力もあったのだろうが、どんどん依頼を受けてそのどれも短期間でクリアしていたとのこと。


そうなると普通のクエストでは満足できず、高ランクの依頼を受けたくなる。


ところが、そもそも北東ギルドではなかなか高ランクの依頼がない上に、もし高ランク依頼があった場合、他の先輩冒険者達がその依頼を取ってしまい、なかなか受注できないことにイライラしていたそうだ。


そこである日、「最後の洞窟」挑戦を決心したのである。当時のダイゴロウさんは、パーティメンバーとはまた別に「相棒」を連れていた。


その「相棒」とは2匹の犬で、名前を「タロウ」と「ジロウ」と言った。

(なるほどコタロウとコジロウって言った時、泣き出したのは自分の犬の事思い出したからか)


「最初は問題なかったんだよなあ。まあ、敵はいつもよりもかなり手強かったけどな」


(いつもより手強い敵にも自分は負けない)


高ランクの依頼を受けられない事にいつも不満を抱えていた彼は、すっかり有頂天になりどんどん先に進んでいった。


そして、ちょっとした油断から敵に相当の深手を負わされてしまったのだ。


瀕死となり撤退を余儀なく迫られた彼であったが、あろうことか「タロウ」と「ジロウ」とはぐれてしまった。


1階層は、雪原ステージで更に猛吹雪により視界が非常に悪かったため、泣く泣く彼らを見捨ててそこを後にしたそうである。



洞窟から帰った彼はケガを治し、再度「最後の洞窟」へ挑戦するメンバーを募った。



ところが、一度失敗しているのが周りに知られているために一緒に行ってくれる冒険者は一人も現れなかったのである。


(「タロウ」と「ジロウ」はオレが迎えに来るのを待っているに違いない。)


それでも諦められない彼は一人で洞窟に挑戦することを決意する。手痛い失敗を経験し、慢心がなくなった彼はまた一から修行をやり直した。


途中、お金を貯めて携帯型WiFiも購入した。そうして数か月後、準備を整えた彼は再度、「最後の洞窟」に挑戦したとのことだった。


「今度は失敗できないからな。絶対ムリはしなかったよ」


慎重に進み時には敵から逃げながらも、なんとか地図を頼りに以前はぐれた場所まで辿りついた。


すると、そこで見た光景は狩りをする2匹の元気な姿だった。なんと2匹はダイゴロウさん達が撤退した後、数か月の間生き延びていたのだった。


「タロオオオオオオオ、ジロオオオオオオオオ」


ダイゴロウさんに気付いた2匹が雪の中を駆け寄ってくる。そうして3人は感動の再会を果たしたのであった。


「良かったですねええええ」涙ぐみながらオレが言うと

「おうよ」と頷く



最後まで真剣に話を聞いていたオレの態度に、すっかり満足だ。


「よし、シュウ。お前明日出発するんだろ?今日はウチに泊まれ。タロウとジロウにも会わせてやらなきゃな」


え?今の話って30年以上前だよね?タロウとジロウってまだ生きてるの?


リサと他のオッチャン達もそれがいいそれがいいって顔してる。オレにダイゴロウさんを押し付けるつもりなのだろう。




コレは断れる雰囲気じゃないな…



「あ、はい。お願いします。じゃあリサさん。みなさん。今日はありがとうございました。」


オレはペコリと一礼すると、ダイゴロウさんに続き冒険者ギルドを後にした。





ダイゴロウさんの家は、ギルドから歩いてすぐだった。純和風の作りで、昔の豪農が住んでいそうな藁ぶき屋根の大きな建物だった。


ダイゴロウさんが引き戸を「ガラリ」と開け、「おーーーい。タロウ、ジロウ帰ったぞー」


すると奥から


「ワンワンワンワン」

「ワンワンワンワン」



と2匹の犬が駆け寄ってくる。



とっても可愛らしい。



って言うか「タロウ」と「ジロウ」ってチワワじゃねーかよ!


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