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第30話 対決!!ビッグバイトタートル

本日、ブックマーク頂いた方ありがとうございます。これからも頑張って更新を続けますので、応援よろしくお願いします。

マスオさんの言った通り、宴会の次の日から雨の日が続いた。途中少し晴れ間が見える時もあるが、またすぐに雨がふる。そんなこんなで10日ほども待たされた。その間、オレは何もしていなかった訳ではなく、魔法の訓練をしていた。


今のオレのレベルはこうだ


シュウ

勇者Lv18

種別:人族

HP158(15up)

MP224(21up)

使用可能な魔法:初級火魔法、初級風魔法、初級水魔法


実は、前からそれほど上がっている訳ではない。


今後も急激なレベルアップは望めないだろうという事で、魔力のコントロールを訓練しているのだ。


以前、スケさんから教わった事はまさに目からウロコの出来事だった。この世界に来たばかりの時、オレは魔法の使用方法が2種類あることは分かっていた。つまり技名を唱えるパターンと魔法をイメージするパターンだ。


ところが、技名を唱える方がより強力な魔法が発動したためにイメージにより魔法を発動させる修行を怠ってしまったのだ。だが、"魔力を循環させるイメージを持つ"という概念に出会ってから、オレの認識が改められた。


それまで技名を唱えて何となく発動できればヨシとしていた修行を、より感覚を研ぎ澄まし、より具体的なイメージを持って魔力を完全に自分のコントロール下に置くことを優先させるようになった。


そして、そのための修行を自分なりに試行錯誤しながら、改良を重ね行き着いたのが今の方法だ。


この修行のいいところは場所を選ばないところである。基本は魔力を自分の体内で循環させるか、コントロールするイメージを頭の中で思い浮かべるだけなのだから。


正直、コタロウの戦闘力があればオレの出番はほぼないだろう。だが、冒険者稼業をしているうちは死の危険は常に付きまとう。最善の努力をするべきだと思うのだ。


コジロウにもう一度会う前に死にたくないからな。修行の甲斐あって水魔法はかなり上達した。今では簡単な蘇生魔法もこなせる。




部屋にこもっているオレの様子を見に、時折マスオさんが顔を見せる。まるで、引きこもりの息子を心配するような母親のようだ。


だが、オレが魔法の修行をしていると知ると今度は差し入れを持ってくるようになった。やはり、勉強している息子に夜食を持ってくる母親のようだった。







「シュウさん。そろそろ明日当たりから天気が晴れてきますよ」


更に何日か経ったある日、マスオさんから耳寄りな情報が寄せられる。待ちに待ったぜ。

やっとヤツと戦える。姿さえ見せればコッチのものだ。待ってろよ。ビッグバイトタートルめ。オレは念のために、アイに攻略方法を聞く。すると、


『討伐達成率は、98.2%です。コタロウさんに戦闘を任せれば、ほぼ間違いなく成功するでしょう。ただし、ビッグバイトタートルが海に逃げ込まないように気を付けて下さい。』


うーん。村人たちには任せてください。と言った手前、少しは役立ちたいが戦闘はコタロウに丸投げなのかー。なんか複雑。





次の日の朝、オレ達は砂浜まで来ていた。まだビッグバイトタートルの姿は見えない。オレ達は砂に穴を掘って中に隠れる。待ち伏せ作戦だ。


「コタロウ、ビッグバイトタートルの気配分かるか?」

『にゃあ、この前と同じ位置にいるニャ。寝てるみたいだニャ』


オレ達が掘った穴は割と大きい。大きなコタロウもすっぽり入るくらいだ。その穴をコタロウの闘気で支え、オレの風魔法で空気の循環をさせているので中はとても快適だ。そして外からは見えないように砂を被せてカムフラージュしている。その上でコタロウの隠密スキルで気配を消している。


完璧な作戦だ。これなら相手からこちらは全く分からないハズだ。


「コタロウ、動きがあったら教えてね。」

「にゃあ」


それまでは待機だな。時間がある時は、いつも魔力のコントロールの訓練をする事がクセになっているオレは、別に時間をつぶすのは苦にならない。その横でコタロウは丸くなって寝ている。コタロウも本当に熟睡している訳ではない。耳だけはピンと立てて何かあればすぐに動けるようにしている。


ネコ科の猛獣、そのものの行動だ。



暫らく経った後、コタロウが耳をピクリと動かす。


『動き出したニャ』

「本当か?」


よしいいぞ。思ったよりも早く動いたな。ヤツも連日の雨で、甲羅干し出来なかったのが相当なストレスだったに違いない。すると程なくして、砂浜の方からズシンズシンと言う地響きが聞こえてきた。


(コタロウ、もうちょっと待ってみよう)

(ニャ)


地響きが消える。そろそろか?穴の中から少しだけ顔を出して辺りを伺う。すると砂浜のど真ん中に10メートルはありそうな巨大ガメが堂々と寝ている。オレは鑑定をしてみた。


「鑑定結果」

ビッグバイトタートル:外来種である「バイトタートル」が巨大化した突然変異種。動きはそれほど素早くはないが、硬質な甲羅の防御力とその強烈なアゴでかみつく攻撃力は脅威。普段は常に同種のバイトタートルを率いているが、甲羅干しの時だけは単独で行動する。

HP:620

特殊スキル:絶対防御 同種統率


なるほど、今は独りか。これは好都合だったな。オレ達は、穴から出てビッグバイトタートルの前に姿を現した。不意打ちは性に合わない。正面から堂々と行こう。



「おい。ビッグバイトタートル。お前を討伐に来たぞ」

「にゃあ」



ところが、やつはオレ達の呼びかけに知らんぷりだ。呑気に寝てやがる。あ、そうかあいつはただの大きなカメでこの前の女郎グモみたいな妖怪ではない。言葉は通じないのだろう。



「コタロウ、いけー」

「ニャ」



コタロウは両足のツメを「ジャキーン」と伸ばし大きく振りかぶって自分の目の前でクロスさせる。すると刃となった闘気が2つビッグバイトタートルに向かってすごい勢いで飛んでいく。コタロウの飛び道具、「闘気斬」だ。



ところが2つの刃が捉える直前、ビッグバイトタートルは頭と両手足を甲羅に引っ込める。

そのまま刃は甲羅に当たるが、なんと反射してこちらに向かってくるではないか!


「にゃ」


コタロウは戻ってきた刃を落ち着いて右手でガードし自分の闘気と相殺させる。ビッグバイトタートルの方を見ると完全に甲羅に隠れてて攻撃できそうにない。



「闘気斬が効かないなんて。どうする?」



すると、そのビッグバイトタートルが手足を引っ込めたまま横に回転しだした。凄まじい回転で周囲の砂を巻き込み竜巻が出来る。そのまま回転数がどんどん上がっていくと「ふわり」と宙に浮く。



「!!!」



なんと宙に浮いたビッグバイトタートルがこちらに猛突進してくる。



ギュイイイイイイイン



「危ない!!」オレは風魔法で上空に逃れた。



コタロウの方は余裕で躱している。攻撃を躱されたビッグバイトタートルは空中で方向転換し、またまたコタロウに突進する。



「ギュイイイイイイイン」

「ぴょん」



またまたコタロウは余裕で躱す。そんな攻防が何度か続く。巨大な岩石のような物体が猛回転しながら突っ込んでくる。傍で見ていて身の毛のよだつような攻撃だが、コタロウは楽しそうに避けている。まるで遊びだと思っているようだ。イヤ。コタロウにとっては本当に遊びなのだろう。



「ギュイイイイイイン」

「ぴょん」

「ギュイイイイイン」

「ぴょん」



そんな状況が暫らく続いた。ビッグバイトタートルの攻撃は止まないが、コタロウにはかすりもしない。ところがコタロウの様子がおかしい。何か楽しくなさそうで、避けるのも面倒くさそうにしている。




あ、毛づくろいしだした。やはりネコである。もうこの遊びに飽きたのだ。すると、




『ニャア。ご主人サマちょっと耳を塞いでて欲しいニャ』

『うん?分かった』




今度は音波で攻撃するってことなのか?オレは風魔法で真空を作り自分の耳をガードする。真空の塊が耳の周りを覆っているため、周囲の音が全く聞こえなくなった。



『コタロウ、準備オッケー』

『ニャ』



すると



『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ』




コタロウが、ビッグバイトタートルに向かって今まで聞いたこともないような大声で吠えた。真空状態で耳をガードしていても伝わってくるほどの大音量だ。すると、



ズシーーーーーーーーーーーン



それまで宙に浮いていた、ビッグバイトタートルが突然落下する。そして次の瞬間、



「ボン」



煙とともにその巨体は消え失せ、大きな宝箱が出現した。




『やったのか?』

『にゃあ』



とりあえず宝箱を回収するか。中身を見てみると、予想通り物凄く大きな甲羅だった。



「コタロウ、お疲れさーん」

『にゃ。楽しかったニャ』


「それにしてもどうやって倒したんだ?」

『にゃあ、闘気を直接ぶつけたんだニャ』



なるほど、闘気とは奥が深いな。物理攻撃として「闘気斬」のように使ったり、今回のように直接精神に攻撃を仕掛けたりすることもできるらしい。




「よし、まずはマスオさんに報告だ」

『ニャア』


オレ達は、意気揚々と漁師村に引き揚げた。


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