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第309話 最後の戦い その7

「・・・アイ?」



うーん、なんだか夢をみていたようだ。どんな夢だったか覚えていないが・・・



「もーう、やっとで起きた」



最愛の妻から起こされて迎える朝、寝覚めも最高によい



「って、どこだここは?!」



目を開けてみると自分は真っ白な空間にいることがわかる



「そ、そうか・・」

「思い出した?自分の状況を?」

「うん、それにしてもアイ・・どうしてここに?」



そうだ、思い出した。さっきはここでエルフの王様と話していたんだった。だが、今は王様はいない。そしてそのかわりにアイがいる。なぜ?



「ここはね、シュウの脳内につくった部屋なんよ」

「え?」

「予め、シュウが覚醒した時のためにつくっといた」

「え?」

「まあ、シュウのことやけんきっとこうなるとは思っとったけど」

「え?」



なるほど、さきほどから少し感じていた違和感はそういうことだったのか。つまり今目のまえにいるアイは事前にアイが仕込んでいた録画のようなもので今、自分はそれを脳内で再生されている。ってことなんだな



「・・・」

「あ、あい?」

「一度しか言わんよ」

「え?」

「好いとうよ」

「あい・・」

「ウチの作ったプログラムはシュウが覚醒したらもう使えんみたい。どうやら魔王の因子ってやつにはアンチウイルスが、それも超強力なのが入っててどんなプログラムも通さんみたいなんよ」

「え?え?それってどういう意味?」

「シュウへの指示はもう、できん。通信もできん。最後の戦い、もう参加できん、ってこと」

「な、なんだって!!」


そ、そんな。いままで一緒に戦ってきたのに、急にアイの援護なしでどう戦えと?それだけじゃない。アイの存在がどれだけ力強かったか、そして、元々争いが苦手なシュウのモチベーションにつながっていたのか?その精神的な支柱もなくなるということなのだ


「残念やけども、一旦ここでお別れせんといけん」

「アイ・・」

「絶対、絶対、魔王に勝って戻ってこんと許さんけんね」

「わかったよ、あい」


だが大丈夫だ、この戦いに勝てば、そう勝ちさえすれば、またアイと会える







「あやつめ、なんとか覚醒したか。まあ、お前のことだ。それなりの勝算があったのだろうが・・」

「もちろんだよ、王様」

「それにしても、お前、聖獣なのだろ?一体なんで・・・」

「にゃあ、聖獣はコタロウ兄ちゃんだけだにゃあ」

「・・・まあ、よいか」




ゴゴゴゴゴゴ・・・


再び、魔王と相まみえるシュウ。魔王からすればシュウが攻撃を喰らってからほぼ一瞬の後であっただろうが、即座に様子が違うことを見抜く


「いま、時が飛んだな。おまえ、覚醒したのか?」

「やはり分かるか?その通り。そして、オレもおまえの事がわかるぞ」



再び魔王と対峙する。覚醒したせいでいままで分からなかった魔王のことが色々と分かるようになっている。双子の共感覚?のようなものだろうか?当然魔王のほうもこっちのことは筒抜けみたいだが



「おまえ、死んだことをなかったことにしていたんだな」

「くくく、そうだ。だが、それをしたのは私ではない」

「うん、わかるよ。まあ、万一のためにかけてた保険なんだろ」

「そのとおりよ」



そう、止めをさしたはずの魔王がなぜ無事か?その謎はとけるはずなかったのだ。何しろ、証拠ごと隠滅してたのである。つまり、シャカがこの星に魔王を誕生させたとき万一にも勇者に倒されてしまわないよう手を打っていたのである。



「魔王が死んだら、そのことをなかったことにログを書き換えてしまう」というプログラム。これが魔王に止めをさせなかった理由の正体だ



だが、実はこのプログラムは魔王本体に施されていたため、その昔キンジロウによって封印されていた時は発動しなかったのだが。



そして封印が解けた今、初めて発動したという訳だ




「でも、オレが覚醒したからもうその手は通用しないよ」



なぜ通用しないのか?お互い、同じプログラムがインストールされているからだ。もし、魔王が死んで「ログ書き換え」が起こったところでその書き換え自体をシュウのプログラムが無効化できる。もちろん、それは逆の場合でも同じ結果となるのだが・・



「もちろん、わかっておるわ。先ほども言ったように吾輩は純粋に戦いを楽しみたいのだ。結果として死のうがそれはどうでもよい」



(嘘だ・・)



覚醒したから分かる。魔王は嘘をついている。自分の生き死にに拘りがないのは本当だ。だが、それでも勝敗に拘ってないわけではない。魔王は、魔族のことを憂いている。本当は自分の事を慕ってくれる魔族のみんなのことが好きで、その魔族のために戦うのだ。そう、彼も彼なりに負けられない理由があるのだ



(もちろん、こっちも負ける訳にはいかないがな)



コタロウとコジロウが生まれ育った獣族の里。シュウはほぼほぼ特訓していただけで、上空から少しだけ眺めただけだったが本当に平和で良い集落だ。たった少しだけの滞在ではあるが、シュウはこの里が大好きになった


それだけではない、獣族が滅ぼされてしまったらシュウのいた人族はどうなる?ヒノモノ国のひとたちは?いままでは、安穏と暮らしていたけども今後もそうだとは分からない



『いくにゃ、ご主人様』

「こ、こたろう・・」



いつの間にかコタロウが隣にいる。そうだ、オレにはコタロウもいる。みていてくれアイ、コジロウ。絶対に勝って見せるからな



「もちろん、お前も一緒だぞ。紅蓮丸」



キイン・・・



「にゃああああああああああ」



急にコタロウが雄たけびをあげる。その鳴動に大気が震える




「力が漲ってくる?!」



そうか、以前獣王のミイナがやっていたバフか。オレの力の底上げをしてくれているんだな?いや、それだけじゃないぞこのコタロウの雄たけびはオレのバフ効果だけじゃない、魔王に対してはデバフ効果があるようだ。共感覚によって魔王の状態がわかるからこそ、理解できた。それにしてもこれだけのレベルの戦いの中で敵にデバフをかけられるとは?コタロウの覇気もそれだけ凄まじいということか



「コタロウ」

『いくにゃ』



言葉を交わした直後、コタロウの姿がスッと消え失せる。もはや肉眼では捉えられないスピードで魔王へとすっ飛んでいったのだ。もちろん負けじとシュウもその後を追う。



ガギイイイイイン・・




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