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第292話 ジョーの本気

ジョーが瞑目する。途端にジョーを取り巻くオーラを渦を巻き始める。グルグル回っていきどんどんと高速に回転しだす、そしてそのオーラが2つに分離していく。一つは禍々しい漆黒のオーラ、もう一つは聖なる光を放つ輝かしいオーラ。もちろん、それぞれジョーの本来の鬼の闘気とドラゴ由来の龍の闘気だ。


それが、ジョーの右側と左側に綺麗に分かれていく。あっという間に両隣に大量のオーラが出現した



『あやつ、こんな大量の龍闘気ドラゴニックオーラを内包するまでに・・』



さすがのドラゴも絶句するしかないオーラ量だ




「ふんっ」



ジョーが気合を込める。すると更にジョーの体内から大量のオーラが放出される。そう、ジョー本来の漆黒のオーラが。その量は、さきほどを遥かに凌駕するほどだ



『ふん、そうか。さきほどは龍闘気に合わせて貴様本来のオーラを抑えていたのだな。小癪なマネを。この我の目を欺くとはな』

「そうかい、ドラゴのことだからとっくに気付いていたと思ってたけど。だって、ボクの力を封印していたのはキミなんだろ?」

『ふん、あくまでも我が封印したのは貴様のオリジナルな部分の力だ。貴様のたゆまぬ訓練によって醸成されていた闘気が元々持っていた力と合わさってここまで大きな力になろうとは、嬉しい誤算。というやつだな』

「ふふふ、ドラゴとの付き合いは長いけど初めて褒められたよ。いやあ、存外に嬉しいものだな。褒められるというのは」

『い、いや。今のは褒めたわけでは・・いや、正直に言おう。よくやったぞジョーよ』



ドラゴが褒めたのも無理はない、何しろいまのジョーが内包するその潜在オーラの量はさきほどまでみせていたオーラ量の軽く10倍はあったのである。そしてその全てのオーラと龍闘気ドラゴニックオーラがまた再び合わさっていく



シュオオオオオ



2つの種類のオーラが混ざり合い、また一つとなる。今度は先ほどのような黒光りのあるオーラではない。漆黒の闇、と言った形容がぴったりくる真っ黒なオーラだ。時折り、ピカっと微かな光が走るがそれが龍闘気ドラゴニックオーラの部分でほぼ全部が鬼闘気オーガニックオーラなのだろう



「くくく、パワーアップは済んだのか?」

「お陰様でね。それにしても魔王様はお優しいね。わざわざボクのパワーアップを待っててくれるとは。それとも、余裕をもって勝てる算段でもあるのかい?」

「くくく、魔王が優しいわけないであろう。ただ単に興味があるだけだ、吾輩の真の肉体の強さをな。それを試すのにちょうどよい遊び相手がおる。ただ、それだけのことだ」

「そうかい?じゃあ、その判断を後悔させてあげよう」

「たわけ」



会話を続けながらも、お互い距離を詰めていきそして完全にそれそれの間合いへと入る。一触即発の状態に空気が張りつめる




パリーン・・



静寂の中、鈴の音のような澄んだ音が響き渡る。ジョーが魔王のバリアを破壊した音だ




「ほう、吾輩のバリアを破るとは。思ったよりも遊べそうだ」

「いつまでその余裕がもつか見ものだね」



魔王のバリアを破壊したジョーはそのまま一気に間合いを詰め、さきほどと同じく心臓を一突き。しようとしたところ魔王の杖に阻まれたのであった。今はお互い、息を吐けば相手に当たるほどの近距離にある



ボボボッ



一旦距離を取ったあと、魔王が掌から5発の炎の玉を顕現させる。さきほど、ジョーを吹っ飛ばしたのと同じものだ。それが、唸りをあげてジョー目がけてすっとんでいく



「こんなの、避けるまでもない。はあああ」

「ほう、闘気だけでかき消したか」


さきほどはたった一発の炎に吹っ飛ばされて火だるまになったのだが、今度は簡単に迎撃に成功する。そんな様子を目の当たりにした魔王であるが全く意に介していない様子だ。むしろ、その状況を楽しんでいるようにみえる



「今度は、ちょっと強く行くぞ。簡単に死んで吾輩をがっかりさせるなよ」

「キミを楽しませる義理はない。けどボクも簡単に負ける訳にはいかないからね。受けて立つよ」



魔王が一瞬のためのあと、右腕全体に魔力を張り巡らせる。見た目は普通の老人と変わらないその細腕に傍から見てもわかるくらいの膨大な魔力が満ち溢れているのがわかる



黒炎龍ドラゴン



魔王の右腕から黒い龍が飛び出す、それはまるで意思を持った生き物のようにジョーへ向かって一直線に襲い掛かる



「ふう、あれの相手はちょっと骨が折れそうだ」



迎え撃つジョーはすかさず、愛刀「エックスカリバー」を上段に構え迎撃態勢に入る。そして着弾の瞬間、すっと刀を振り下ろす



シュウン・・



大きな顎を広げ、まさにジョーを食いちぎらんとしていた黒い龍はその一振りで霧散してしまった



「ふう、なんとか迎撃できたか」

「ふん、まんまと引っかかったな」

「?!」



いまの攻防でできたたった少しのスキを突き背後に回り込んでいた魔王によりジョーはその動きを封じられてしまう。いつの間にか周りに結界が張られているのだ



「っく、身動きが全く取れない」

「今度こそ死ぬかもな。でも、まだ死ぬなよ。これしきのことで死んだらつまらぬからな」



魔王が右掌を上へと向けると、そこに巨大な火の玉が顕現する。その大きさはいままでとは比べ物にならないくらい大きい。さきほどの炎がソフトボールくらいの大きさだとすれば、今、魔王が発生させたその火の玉はちょうどジョーを包み込む結界と同じくらいの大きさ、つまり直径ほぼ2メートルくらいの大きさなのだ



ドオオオン



ジョーを封じ込めた結界にその火の玉が当たり、その余りの高温によりあたりに水蒸気が立ち込める




『ジョーちゃん!!』

「ふう、いまのは危なかったな。気を付けないと」

『ジョーちゃん、一体どうやって?!』



ジョーの安否を気遣う、ミイナのすぐ側にいつの間にか移動したジョーがまた魔王の方へと向かっていく。あまりの展開についていけないミイナであったが




『あやつ、着弾の瞬間に拘束が解けた一瞬の隙に脱出したようだな』

『あ、あの一瞬ににゃん?』

『クフフ、まだお互い余力を残していると見たが一体どうなるやら』



そう、お互いウォーミングアップは終わり戦いはこれから加速度的に苛烈を極めていく












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