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第275話 巻き戻し

『危ないご主人様!!』



な、なんだ?急に視界が狭くなりみんなの声がまるで海の底で聞いてるかのように聞き取りにくく、そして動きがスローモーションに見える。こ、これはまるで



「走馬灯が走っていくシーンじゃねーかよ。ってオレ死ぬの?」



思わず叫んだが、そうじゃない。オレはこの光景を見たことがある。それもたった今。背後にはいつの間にかゴールデンゴーレムが出現し指鉄砲を構えている。



それにいち早く気付いたドラが、オレの背中側にバリアを展開する。さっすがドラだ。ドラはこうやっていつもオレのことを気にかけてくれている。



バシュバシュシュッ



ゴールデンゴーレムの指先から3発の弾丸が発射される、なんと。さっきは分からなかったがヤツはあの一瞬に3発もの弾丸を放っていたのか?



至近距離から放たれた弾丸が自分の背中へと到達する。が、ドラの張ってくれたバリアによって防御される。2発目までは・・



パリーーン・・



乾いた音と共に、3発目の弾丸がバリアをすり抜けそのまま自分の背中へと向かってくる。動きはまるでスローモーションだ。目で見て避けることは可能なはずだ。が、身体は全く動かない。



や、やばい。このままではさっきの二の舞だ。え?さっきの?




コロン・・




なんだ?弾丸がなぜか足元に・・・




『・・・よくもご主人様を』

「こ、コジロウ?!」




気が付くと足元にコジロウが立っていた。そうか、コジロウが助けてくれたのか?それにしても凄いなコジロウは。オレ一回死んでいるよね?




「あ、ありがとうコジロ、う?!」



シュウは足元のコジロウに目をやりその変貌ぶりに驚く。なんと、しっぽがタヌキみたいに太くなっているではないか!




「フーフーッ」

「こ、コジロウ!!」




コジロウが我を忘れるほど怒っている。コジロウがこんなに怒っているのを見るのは、これで2度目だ。





 コタロウとコジロウを貰ってきた日の夜のこと、慣れない場所に戸惑った2匹は物陰に隠れて様子を見ていた。


『とてもお腹が減ったにゃ。待ってろコジロウ、兄ちゃんがご飯を探してくるにゃ』

『にゃあ、危ないにゃあ。ボクは我慢できるから危険なことはしないでにゃあ』

『大丈夫にゃ、兄ちゃんに任せるにゃ』


あまりにもお腹が減ったコタロウは物陰から這い出るとシュウが用意したエサのところまでこっそりと匍匐前進する。実は2匹の様子を心配してるシュウにまんまと見られているのも気付かずに


『ようし、カリカリを見つけたにゃ。コジロウにも食べさせてあげないと』


安心してコジロウの元へ帰ろうとしたコタロウはそこでこっそりと見守っていたシュウと目が合う。シュウはあまりにも可愛らしいコタロウをもっとよく見ようと隠れてた身体がいつの間にかはみ出てたのだった。


『にゃ?!』


あまりの事にビックリして腰を抜かしたコタロウ。そこへコジロウが駆け付けてくる。



「フーッ(兄ちゃんをいじめるな!)」


必死になってコタロウを守ろうとしたコジロウなのであった。そして、コジロウに威嚇されたシュウはとても傷ついたのであるがそれはどうでもいい話である。





それ以来、コジロウが怒りの感情を表したことは一度もなかったのだが・・






「貴様、私に何をしたのですか?身体が、動かな、い」




ゴールデンゴーレムの周りに超強力な重力場が出来ている。コジロウの物理魔法の中でも最大級の威力があるMBHマイクロブラックホールだ。ゴールデンゴーレムもかなりの強者のはずなのだが、脱出しようといくらもがいてもびくともしない。その事実にさすがのゴールデンも焦りの表情がみえ始める



「クククク、な、なかなかやりますね。だが、そんなものでやられる私じゃありませんよ」

『・・・』

「黙ってないで何とか言ったらどうですか?す、すぐに抜け出してみせますよ」

『・・・』

「抜け出したらすぐにあなたなど、殺してさしあげます」

『・・・』

「なんで何も言わないのだ?クッソ、どうなっている?なぜ抜け出せない」

『お前なんか、潰れてしまうにゃあ』

「グググ、まさかまさか?この私がああああああ」




グシャ




コジロウのマイクロブラックホールによってゴールデンゴーレムは跡形もなくペチャンコになってしまった・・・





「こ、コジロウくん!」

『にゃあ、ごめんなさいニャア。色々と立ててた作戦がムダにさせてしまったにゃあ、我を忘れてしまって・・』

「う、うん。それよりも大丈夫?」

『にゃあ・・むずかしいかも』

「アイ?どういうことだ?コジロウが大丈夫?って??コジロウ?どこか悪いのか?」

『ふふふ、ジロちゃんは変わらないにゃん。相変わらず、大切な人が危機に面すると暴走するにゃん』



(それだけ、いまはその人が大切なんだにゃん)



ミイナはとても嬉しそうな、それでいて少し寂しそうな視線をシュウへと一瞬だけ向ける



「うん?つまり、どういうことなの?コジロウは大丈夫なの?」



シュウは話の流れが分からない、でも大事なコジロウが大丈夫じゃない、と言われて気が気じゃない。




「しょんなか、魔王とはコジロウくん抜きで戦うばい。よかねシュウ?」

「う、うん。それは大丈夫だけど、でもコジロウは?」

「コジロウくんは、ちょっと疲れただけとよ。魔力を大量に使ったけんね。ちょっと休めば回復もするやろうけど・・・魔王と戦っているジョーも心配やし」

「そうか?コジロウ大丈夫なのか?良かった?あ、忘れてた。コジロウありがとうな、オレを助けてくれて。なんか色々あって言いそびれてた。よし、魔王退治は我々に任せてコジロウはゆっくりしとけばいい。もう、ムリはしちゃいけないぞ」

『わかったにゃあ、あとはご主人様に任せてゆっくりしておくにゃあ』



コジロウは足元に寝転んでゴロゴロしている。ちょっと心配だが、いつもの様子に見える。よし、もう無理はさせないぞ




(にゃあ、やっぱりボクは魔王とは戦えないにゃあ)
















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