表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/310

第26話 松田屋のFC化計画

本日もブックマークして頂いた方がいらっしゃいました。ありがとうございます。これからも張り切って執筆を続けます。

「以上で面接を終了します。みなさん明日の朝、またこちらへ集合してください。」

「はいっ」


皆、意気揚々と引き揚げていく。これなら大丈夫だろう。オレは横で聞いていたコウノスケさんに話しかける


「みんな採用させて貰いました。今後は、コウノスケさんが面接を実施してくださいね。」

「はい」


更にコウノスケさんにFCについての今後の展望を説明する。コウノスケさんは、すぐに理解する。


「なるほど、そんな先の事まで考えているとは。私など及びもつかない。さすがシュウさんです。」


と感心された。イヤイヤ、この世界では今まで誰もやってなかった方法をすぐに理解できるコウノスケさんの方がすごいと思う。


「あ、それと質問なのですが…」

「はい?」


なんだろう?


「ちょっと疑問に思っていたことなのですが、みなさん行列を作って1時間以上も待っててくれるじゃないですか?ところが、短気なハズのEDOっ子が誰一人として怒らないんですよね。それが不思議で」


ああそうか、現世ではあまりにも当たり前過ぎてて伝え忘れていたな。


「コウノスケさん。お客様は行列に並んで待っている間は、何時間待たせても構いません。ところが、店内に入ったらできる限りすぐに対応しなければならないのです。」


「え?それはなぜなのですか?」


「お客様の心理として、店に入るまではまだサービスの提供は始まっていないと考えています。ところが一旦店に入ってしまうと客として扱って欲しいと思うのですよ」

「なるほど。複雑なんですね」


「そうです。ですのでコウノスケさんが店内にお客をご案内する際に、すぐに対応できないと思った場合は、こちらの準備が整うまで一旦、入店をお待ち頂いてください。」


とオレは、外食チェーンのマニュアル通りの答えを教える。


その他にも気づいた事や質問事項などを色々と話していると夜も更けて、結局今日もお泊りさせて貰うことになった。


その夜。オレはコタロウにネコネコスティックをあげながら聞いてみる。


「なあ、ネコってタマネギ食べると病気になるよな?今のコタロウは大丈夫なの?」

『ニャア。なんか聖獣?ってのになってから、ご主人サマの食べてるモノは何食べても大丈夫だし美味しいニャ。でもネコネコスティックが一番だニャ』


本当にかわいいヤツだなあ。


翌日、目が覚めるとすでにコウノスケさんは店を開けていた。昨日、採用した7人も働いている。その働きぶりを見るとみんないきいきとしている。接客にも問題なさそうだ。今日も朝から大行列だなあ。


オレはコウノスケさんが用意してくれていた朝ごはんを食べた後、外に出た。実はちょっとした目的があるのだ。一つ目は、更なる人材の確保ともう一つは…


「あった。」


オレはある空き家の前に立っていた。そう、松田屋の2号店の候補物件を探しに来たのだ。中を見てみると「ガラーン」としていて何もない。


「これは丁度いい」


実はEDOの街には、こういった空き家が結構ある。これは元々住んでいた人たちが夜逃げをしたからなのだ。地方から一旗揚げようとEDOに出てきて夢破れた跡なのである。オレはこういった空き家を再利用するつもりだ。そしてこの空き家であるが、タクヤ曰く


「勝手に使って問題ないっす」


との事だった。EDOには土地や建物の所有権がまだ存在せず、住んだもの勝ちらしい。現世では考えられない話である。


“松田屋”のFC店では調理する必要がなく、つまり調理器具も必要がない。このようなスケルトン物件に机とイスを運び、ちょっと手直しすればすぐにでも営業ができる。


そのままいくつかの物件を見てその場所を覚える。結構使えそうな物件が多かったな。


そして夜。オレは今日も営業終了後の“松田屋”に来ていた。今日は昨日に比べて更に多い11人が面接に来ている。コウノスケさんが面接を行うのをオレは横で見ているだけだ。


コウノスケさんはオレの期待以上に話が上手かった。最初出会った頃に比べると見違えるようだ。繁盛店の店主になった事で、自信もついたのだろう。


話を聞いている人達も、うんうんと大きく頷いている。あれ?ちょっと雰囲気の違う人が何人かいるな?元用心棒と違って、どちらかと言うと草食系?


すると、コウノスケさんがその草食系の人と手を取り合っている。話を聞いてみるとこの人達、売れない飲食店の店主達だそうだ。数日前まで自分も同じ立場だっただけに、シンパシーを感じるのだろう。


今やEDOで一番の繁盛店である“松田屋”で従業員募集していると聞きつけてきたとのことだ。


飲食店経験者か。これはいい。是非とも、調理の補助をやって貰いたい。オレがそう思っていると、コウノスケさん既にその説明をしている。やっぱこの人分かってるわ。


と言うことで今日も11人採用した。


面接の後、オレは今日見てきた物件の事を話す。同時に昨日採用した7人の勤務態度を聞いてみたら、驚くほど順調でこのままでいけば、すぐにでも店を任せられるだろうとのことだった。


よし、それでは更なる量産の目処をつけなきゃな。オレは食材ルートの詰めをコウノスケさんと打ち合わせる。まずは、クロヤナギと卵だ。クロヤナギを栽培してくれる農家と森レグホンを飼育してくれる養鶏場を探す。


「ああ、それなら心当たりがありますよ」


事もなげに言うが、以前勤めていた高級料亭からの付き合いがあるそうだ。


後は、牛肉と米だな。牛肉は海外から安く輸入されているらしい。そして米であるが、これが一番重要だ。ヒノモト国民はコメが大好きだ。非常に執着するのでコメの品質は絶対に落とせない。


すると、コウノスケさんコメの目利きについては絶対の自信があるという。板前時代からコメの仕入れは一手に任されていたそうだ。


こりゃー完璧だ。後は全てコウノスケさんに任せても問題ないだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ