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第268話 ナンバー2との戦い

(ああ、私敗けたのね・・)


胸に鋭い痛みが走る。心臓に致命的な一撃を受けており、自分がもう助からないことは分かる。



(ピーちゃん・・・)



自分の聖獣が必死の形相でこちらに向かって何かを叫んでいる。恐らく、奥の手を使えと言っているのだろう。朱雀=不死鳥の聖獣である、ピーちゃんの能力「よみがえり」を


だが、あの技はお互いが触れていないと発動できない。自分自身は、もう動けそうにないしピーちゃんはどうやら拘束されているようだ。



(ごめんね、ピーちゃん・・)



すると、今度はヒノモト国代表のシュウが何やらアイテムを出そうとしている。「クイーンゼリー?!」ってヒノモト国に伝わるとかいう伝説のアイテムではないか。全く、人が好いというかなんというか・・



(カオは全く好みじゃないけど・・もう少し、生きてもいいかも)



少しだけ決心が揺らぎそうになる。が、そんな思いは断ち切らなければ。メイリンにそう思わせるほど、ゴーレムのナンバー2は強かった。これから先、足手まといになることが容易に想像できるほどに







・・・暗闇が明ける瞬間、決して油断はしていなかった。例え目のまえで敵が真っ二つになったとて、絶対に気は抜かない。ましてや今は敵の本拠地なのだ。死角からの攻撃も察知できていた。


ハズだったのだ。だが、そう思った時には自分はすでに身体を貫かれていた。まるで反応することさえできずに



(あなたは死なないでね)



敵地の真っただ中だというのにも憚らず涙をボトボトとこぼしながら自分を見送る相手へと視線をやる。あまりにも隙だらけで、死にゆく身にも関わらず心配になってしまう。



(いや、隙だらけじゃないわね・・)



視界がぼやける中でもスキルによる多重結界に2人の聖獣が常に援護態勢に入っているのが分かる。



(愛されているのね)



メイリンの脳裏に昔、昔、ずっと昔の記憶が甦る。一緒に冒険した仲間たちの顏が



(随分、待たせたけどもまだ待っていてくれるかな?)


遠い昔の仲間たちの元へと帰っていく。ようやくメイリンの長い長い旅がいま、終わったのだった。










「め、メイリンちゃん?」



メイリンの身体から立ち昇る粒子がどんどんと増えていく、そしてメイリンの輪郭がどんどんとぼやけていきシュウの目の前からその姿が消え失せる。



『メイリン、いままでありがとう。安らかに眠ってくれ』

「え?ピーちゃん?」


それと同時になかつ国の聖獣であったピーちゃんまでもがその姿を消した。



「なんでだよ・・メイリンちゃん」



シュウに見せてくれたメイリンの記憶の中は戦いの連続だった。いや、戦いそのものの人生だった。それはメイリンの見た目の華やかさや、その人懐っこい性格からは到底想像できないものだった。


だが、メイリンはその長い長い生涯を終える時、最後の最後に残った粒子からシュウはその気持ちを読み取れた。「わが生涯に一片の悔いなし」だと。



それは、昔コタロウと一緒に冒険したダンジョンのラスボスであるドラゴンなんかと同じ感覚なのだ。いや、前世でのマンガの中の修羅と同じ・・



「ピーちゃん・・・」



そして同じく満足げに去っていったその聖獣、死んでいくその今わの際には生への執着は一切なく、とても穏やかな表情であった。




ガ、ギイイイイイイイインンン





「?!」

『ザンネン、スキヲツイタツモリデシタガ・・』




や、やばい。メイリンたちの死を目前にして呆然としていたところを狙われていた。アイの自動防御オートバリアがなければまともに攻撃を喰らっていたところだった。



(それにしても、この敵は・・)



シュウは眼前の敵へと向き直る、印を結ぶその姿は昔よく見ていた。現実ではなく架空の世界であるが・

そう、いわゆるニンジャだ。だが、問題はそこではない。なんというか、相手の存在が薄いのだ、こうやって対峙していても、いつの間にか見失うくらい。そう、恐らく「認識阻害」などのスキルを使っているのだろうがとても戦いにくい相手なのだ。


メイリンから見せてもらった記録がなければ、相手の姿を捉えることさえ困難だったかもしれない。



(メイリンちゃん、ありがとう。必ず敵を取ってやるからな)



改めて敵と対峙する。が、その姿は非常に認識しづらい。蜃気楼の中で戦っているというか実体のないものを相手にしているようだ。



キンキンキン


「?!」


またしても、察知できない攻撃を喰らってしまった。どうやらクナイのようなものを投げられたみたいだが、なんとかバリアで防ぐことができた。



『おい、目をつぶれ』

(お、おま。剣術スキルか?)

『早くしろ、お前の視覚情報はジャマなんだよ』

(わ、わかったよ)


言われるままに目をつぶる、と即座に脳内に相手のイメージが映像化され浮かび上がる。その姿は、シノビ装束に鎖帷子、額にはハチガネ、背中には忍刀を背負い、印を結んでいる。コッテコテの忍者であった。



『推して参る』

「いや、顏はまんまハンゾウさんじゃないかよー」


忍者の画像データがそれだけしかなかったのだろうか?相手の見た目は、ヒノモト国にいるシノビであるハンゾウそのままであった。そのいかつい見た目と寡黙な性格により初対面から、なんとなく苦手意識を持っている相手、でも、一応、味方である。正直言って非常に戦いにくい。



だが、そんなことも言ってられない。ハンゾウの見た目である敵は、あっという間にシュウとの間合いを詰めると背中の忍刀を抜いて斬りかかってくる。



キンキンキンッ



すかさず応戦するが、ハンゾウ氏は数合斬り合うとすぐに離脱する。よし、今度はこっちから仕掛けるか。シュウはダッシュで追いかける。



「イテテテ」



なんだ?なにか踏んだぞ。シュウは自分の足元を見てみる。と、なんかトゲトゲしたものが地面に散らばっている。



「ま、マキビシ?!」



こ、こんな初歩的な攻撃にひっかかるとは。だが、タイミングが絶妙なのだ。



「こ、これは強敵、だな」

















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