第197話 ホワイトドラゴンの言葉
え?このドラゴンいまなんて言った?見惚れていてつい、聞き逃してしまったんだけど。つまりオレ達がルール違反を犯してるって言いたいのか?なんでだ?オレが異世界から来たのがダメだったのか?それともアイが超絶美少女なのがダメとか?コタロウとコジロウがかわいいにゃんこなのがダメ?はたまたガル、ギル、ゴルの存在か?
「なあ、どういうことだ?」
『分からないニャ』
思わず横のコタロウに聞くが、コタロウも何のことか分からずビックリした顔でお互い顔を見合わせる。
『にゃあ、ルール違反はしてないニャア』
「こ、コジロウ?!」
その時、ドラゴンの問にコジロウが答える。キチンと行儀よくお座りして、すまし顔のコジロウは飼い主のオレから見てもとても凛々しい。
『ほう、まさか貴様がそのような事を言うとは』
『それに』
コジロウとドラゴンがまるで元からの顔見知りのように会話をしている。そしてこの事態についていけないシュウとコタロウは、お互い目をぱちくりしてこのやりとりを見守るだけだ。
『ボクはこの決勝戦でないからね』
え?コジロウ、今なんて言った?コジロウは戦わないって?
するとコジロウがくるりとシュウの方へ向き直る。
『にゃあ、ご主人様。ボクは持病のくるぶしツヤツヤ病で戦えないニャア。決勝戦はご主人様たちだけで戦って欲しいニャア』
「ええええええええ?こ、コジロウ!お前、お前のくるぶしがツヤツヤしてるのって病気のせいだったのか?大丈夫か?すぐにネコネコ病院に連れて行かなきゃ。あ、でも異世界にはネコネコ病院がない。どうすれば?」
『にゃ、にゃあ・・・これはけびょ、ケフンケフン。ちょっと休んでたらすぐ治るニャア』
「あ、咳も出てるじゃないか。大丈夫か?究極回復薬飲むか?いや、最終回復薬がいいか?」
4年間の修行の結果、かなり精神力が強くなったはずであったが、コジロウの体調が優れないと思い、慌てた親ばか、いやネコばかのシュウはオロオロしてしまう。そんなシュウの様子にちょっとバツが悪い思いをしているコジロウなのであった。
「シュウ」
「あ、アイ。コジロウが、コジロウが・・・」
「このバカチンが。シャンとせんね」
「アイ?!」
オロオロするシュウにいつの間にかやってきたアイが喝を入れる。そして、びっくりするシュウにニコッと笑いかける。
「決勝戦は、ウチとシュウとコタロウ君で戦うよ」
「う、うん。え?」
そしてホワイトドラゴンへと向き直る。
『そいでよかやろ?』
目のまえで始まった寸劇をちょっと面白そうに見ていたホワイトドラゴンは、急に振られて一瞬びくっとなるがすぐに落ち着いた返事を返す。
『まあ、よかろう。そも我は貴様らが禁を犯してようが、それを詮索する気はないのでな。好きにするがよい。それと、これも話しておくが』
「うん」
『我は、この戦いの勝敗自体には興味がない。従ってこの戦いにも参加はしない。成り行き上、こやつを鍛えてやったがこの戦いで貴様らに敗れたとしたらそれだけの実力だったということだ。だが、こいつはなかなか強いぞ。この我が鍛えたこやつよりも貴様が強者たり得れば、認めてやろう』
ニヤリと嗤うその顔にはなにやら含むところがありそうだが、その心の奥底までは図れそうにない。結局はこの勝負に勝ってこそ、その意味が分かるのであろう。
「そういうことやけん。がんばろ。ね、」
「お、おう」
アイにニッコリ笑いかけられてシュウは舞い上がる。まあ、いつもの事なのだがこの笑顔が見れるなら頑張る価値は十分にある。と思っている。
「それにね」
アイが続ける
「最初はいつもこのメンバーだったやん」




