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第196話 決勝戦へ

『ご主人様、ネコネコスティックが欲しいニャ』

『にゃあ、ぼくにもネコネコスティックくださいニャア』

『あ、ぼくもぼくも』

『もちろん、オレにも』

『是非、私にも頂けないでしょうか』



ここは、聖獣代表戦の控室だ。設置しているモニターで「ステイツ国 対 ダルシム国」の模様を観戦していたのだがステイツ国代表のブルーアイズホワイトドラゴンのヤツが辺り一帯に結界を張り、何にも見えなくなったので手持無沙汰になったシュウたちは、各々適当に寛いでいた。




「わかったわかった、お前たちはしょうがないなあもう」



シュウはアイテムボックスからネコネコスティックを人数分取り出してコタロウ、コジロウ、ガル、ギル、ゴルのそれぞれに手渡す。通常の飼いネコはこのスティック状の流動食を飼い主から食べさせて貰うのだが、こいつらはそれぞれが器用に自分の手で封を開けて両手で持ちペロペロと舐めるのだ。まあ、それはそれで可愛らしい様子なのでいい。そしてシュウはみんなの様子にほっこりとするのだった。



『ニャ?』

「どうしたコタロウ?」


ネコネコスティックを舐めているコタロウがぴくっとし、試合会場を映し出すモニターを見つめる。



『どうやらあいつら決着がつきやがったみたいだな。現れるぜご主人様』



感知能力に長けているガルがモニターへ視線を移しながら解説してくれる。




「ほ、本当か?」



ようやくか?何か随分と時間が経ったような気がする。シュウは控室中央に設置されているモニターを見守る。



ゴゴゴゴゴゴゴ・・・



すると今までモニターに映る一帯を覆っていた積乱雲のような巨大な雲が徐々に晴れていく。



ゴクリ・・・



(さてと、次のお相手はどっちだ?ステイツのイケメンか?それともダルシムの修行僧か?画面が隠れる前は互角の戦いを繰り広げていたようだが一体どっちが?)




「やあ、お待たせしたね。決勝はボク達とだ。よろしく頼むよ」



雲が晴れて現れたのはイケメンの方だった。わざわざカメラ目線でオレに話しかけてくる。ウインクがちょっとウザいが、聖獣も最強との呼び声が高いホワイトドラゴンだし相手にとって不足はないぜ。



「やはりステイツ国がきたか、想定通りだったなシュウよ」

「強敵ですが大丈夫、シュウさん達なら絶対に勝てますよ」



同じくモニターを見ていたケンとトキさんが声を掛けてくれる。オレは2人に力強く頷く。よし、行くぞ。いざ決戦の場へ



「よし、アイ。行くぞ」

「・・・」



横に座っていたアイはまだ下を向いて何事かをつぶやいていた。つぶやいている内容は、お互いの未来のために聞かないようにしたのは言うまでもない。









「改めてよろしく、ヒノモト国代表のシュウだ」

「おう、よろしくな。オレはステイツ国代表のジョーだ」


めっちゃイケメンだ。近くでみるとよりイケメンだ。甘いマスクに均整の取れた体格、身長もオレより頭一つ大きい。それでいて爽やかな雰囲気を身に纏っていて全く非の打ち所がないイケメンだ。こんなに嫌味が無いイケメンがいるのだろうか?男のオレから見ても惚れ惚れとしてしまう。頬に大きな十字の傷があるが、それでもあまりいかついイメージにならないのは本当にイケメンだからであろう。


そう言えば、昔のマンガで頬に十字の傷があるイケメン剣士が主人公ってのがあったなあ。あれも、元がイケメンだからあんましいかついイメージがなかったんだろうな。まあ、あのマンガの場合他の登場人物が濃いから対照的に目立たなかったのかもしれないが


右手を差し出し握手を求めてくるのでシュウも右手を差し出す。ガッチリと握手をするとニヤッと笑う。




「キミとの戦闘ダンスは、エキサイティングな予感がするぜ」



こいつ戦闘のルビをダンスと振りやがった。なかなかのウザさだ。見た目は爽やかイケメンなのにな。シュウは生来持っているスルースキルを発動させる。



『ヒノモト国の勇者よ、ちといいか?』

「?!」



いつの間にかステイツ国代表、ジョーの横にホワイトドラゴンが佇んでいる。巨大な体は、存在感半端ないのに今まで気づかなかったのに激しく違和感を覚える。



『ニャ、なんか話があるのかニャ』


ドラゴンの出現にコタロウとコジロウが瞬時にシュウの傍らに移動する。2匹とも今までにないくらいの張り詰めた空気を纏っておりバチバチの臨戦態勢だ。







(な、なんて美しい生き物なんだ)



そんな状況下で、しかしシュウは全く別の事を考えていた。つまり、目の前のホワイトドラゴンの圧倒的な美貌に心奪われていたのだ。シュウがこのファンタジー世界に転移して約5年ほどが経っている。その間、色々と現実世界とは全く違う生き物や空想上の魔物などに遭遇するという経験を積んできたのであるが間近にみるこのホワイトゴラゴンはそれらと比べても圧倒的な存在であった。


完璧な曲線で構成されたフォルム、傷一つない全身を覆う竜麟はその一つ一つが光を反射しキラキラと輝いている。そして吸い込まれるような蒼い瞳は、今まで見てきたどんな宝石よりも高貴に見えた。



『貴様たちはこの聖獣戦、禁を破っているようだが』

「は、え?」



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