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第178話 ステイツ国の場合 16

ダダダダッ



考えるよりも先に体が動く、ジョーは洞窟の中をメアリーたちの気配へと向かって一直線に走り出した。洞窟の中は、むき出しの岩肌がごつごつとしているため決して平坦な道を走るようにはいかないが、多少は均されており進むのはそれほど苦にならなかった。また、内部は薄暗くはあったが決して真っ暗ではない。ジョーは、途中多少躓きながらも先へと進む。



(ま、まさかトムが。イヤ、あの頼もしいトムの事だ。きっと無事なハズ)



イヤな予感が頭を占めるが、なんとかそれを打ち消しながらも先へと進む。進むこと100メートルくらいだろうか?時間にしても5分もなかったかと思うが、突然目のまえがぱあっと開ける。洞窟の中が急激に広くなり大きな空洞が広がったいた。



「な、なんだ?ここは?」



目のまえの広大な空間に、沢山のゴブリンがいる。そのほとんどが普通のゴブリンだ。だが、ジョーが先ほど戦ったゴブリンソルジャーもいる、そしてゴブリンジェネラルもちらほらも見られる。そしてその先には、ゴブリンとは思えないほどの巨漢のゴブリンが待ち構えていた。



ヴウン・・・



ジョーが一歩進み、洞窟の通路からその開けた天然の大広間へと足を踏み入れた瞬間、耳慣れない音が聞こえた気がした。



「な!」


突然、目の前の景色が変わる。いや、景色ではない。いつの間にか目の間に凄惨な光景が飛び込んできた。無数のゴブリンおよびゴブリンソルジャーの死体がそこにはあった。あるものは体が真っ二つにされている。また、あるものは土の槍に体を串刺しにされている。そんなゴブリンたちが数十体、いや100体以上はあるだろうか?辺りには至る所に血の跡がべっとりと張り付いており激しい戦闘の跡を物語っていた。



この大きな部屋の片隅で、ボロのフードを被ったゴブリン数体が両手を前へ掲げていた。魔法特化の能力があるゴブリンメイジだ。ゴブリンメイジは攻撃魔法の他、簡単な空間魔法を使うことができる。そして、そんなメイジたちはこのゴブリンキングの要塞を結界で普段から覆っていたのだ。そしてその結界内に侵入したジョーは、隠されていた情報が目のまえに現れたということだった。


そんな事は知る由もないジョーはなぜ自分のスキル「気配察知」が働かなかったのか、そしてなぜ急に目のまえにゴブリンの大群が現れたのか、急な話に理解が追いつけないでいた。




「っは。そんなことよりもみんなは?」




ドシーーーーーーーーン!




いつの間にか目のまえに見上げるような巨体を有したゴブリンが立ち塞がっていた。この集団の、いやこのゴブリンが築いた王国の王、ゴブリンキングだ。その体躯は、ゴブリンだとは信じられないほど大きい。人種としては、大柄な方のジョーが見上げる程で2メートル以上の背丈はある巨漢だ。更に全身はまるで筋肉の鎧をまとったようにムキムキでそのぶっとい腕には、何本もの血管が浮き出ている。そんなゴブリンキングが手にした大刀をジョーの足元に叩きつけたのだ。



「っく、なんだこいつは?今までのやつらとは全然違うじゃないか」

「キイ」


キングももちろんゴブリン語しか話せない。だが、ジョーもなんとなく言わんとすることは分かるようになっていた。つまり、挑発をしているんだということだ。だが、こんなヤツに構っている間にもメアリーの身に危険が迫っている。「気配察知」ではメアリーとジェシーの気配を捕らえている。ただし、トムの気配はない・・・








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