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第175話 ステイツ国の場合 13

「なあ、トムはどう思う?」



ゴブリンのアジトを目のまえに前進か撤退かを決めあぐねていたジョーはトムに意見を求める。ところが、次の瞬間ジョーの「気配察知」にとんでもないものが引っかかる。



「なっ?!」



(ゴブリンの気配だと?!それも数十匹はいるぞ。こんなに近くまで接近しててなぜ気付かなかった?)



「おい、囲まれてるぞ!」



いつの間にか、ジョーたちを中心にしてグルっとゴブリンの群れに囲まれていた。その数ざっと50匹はいる。戦闘力は低い部類に入るゴブリンであるが、こんなに大勢のゴブリンと対峙したことはない。彼らが今いる場所は、周りがやぶに覆われていて視界が悪く直接ゴブリンの姿は見えない。が、ジョーの「気配察知」は絶対だ、そのジョーの状況分析を聞いた4人に緊張が走る。




「ジョー、落ち着いて。ジェシーおねがい」

「わかったわ、メアリー」



だがその後のメアリーの態度は冷静そのものだった。そしてそのメアリーの指示に即座に反応するジェシー、その途端ジョーたちの周りを空気の層がバリアが張られた。ジェシーの風魔法「エアドーム」だ。



「キキイ」


間髪入れず前方からゴブリンが躍り出る。飛び出した勢いそのままに手にしたこん棒で殴りかかろうと飛び掛かってくるが残念ながらバリアにその行く手を阻まれる。



「全方位をゴブリンに囲まれている。その総数およぼ50だ。前方に約20、左右と後方に約10ずつが配置されている。」


バリアによって多少の猶予が出来た、その時間にジョーが戦況を報告する。その情報を元にメアリーが戦法を練る。ジョーを含め他の3人も、今の状況に疑問は持たない。なぜ、ジョーのスキルを搔い潜りこんなに大勢のゴブリンが潜伏できたのか?こんなに大勢のゴブリンに囲まれて太刀打ちできるのか?そんな疑問よりも現状を打破させるために行動するのみだ。彼らは冒険者となった約三年の間に、そういった癖を自然と身に着けていた。



「正面突破しましょう、ジョーお願いしていいかしら?」

「おっけーい」



ジェシーのバリアが解除されると同時にジョーの両掌から10数発の火球が繰り出されそのまま前方の茂みへと飛び込んでいく。ジョーお得意の火魔法「ファイアーガトリング」だ。



ズドドドドドド・・・



「キイ、キイ」



茂みに隠れていたゴブリンたちの何匹かはジョーの放った火球に被弾し、そのまま昇天する。が、辛くも逃げおおせた10数匹のゴブリンがそのまま突っ込んでくる。




――――――斬っ




トムがバトルアックスを横に薙ぐ。哀れなゴブリンたちは、自分たちの上半身と下半身が別れ別れになったことにも気づかずなぜか前へと進めなくなった自分の体にもどかしくて歯噛みする。が、一瞬後斬られたことに気付きそのまま昇天していった。



不意打ち気味に、ゴブリンが攻めてきたがいつも通りの連携が取れている。メアリーが指示を出し、ジョーとジェシーで陽動を行い時間稼ぎをする。そして一番火力の高いトムが止めを刺す役割だ。



「前進するわよ」

「おう」



もちろん開いた隙は見逃さない。こっから脱出し体制を整えるのだ。ジョーたちは、前へと駆けだした。



「いくぜ」



一番機動力が高いジョーが先陣を切る。そして次にジェシー、メアリー、最後尾は守備力の高いトムが殿を務めるフォーメーションだ。








「!!」



何かがおかしい、いやな予感がしたジョーが後ろを振り返る。振り返ったジョーの視線の先には、大勢のゴブリンに囲まれた3人の姿が見えた。

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