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閑話 そのころのシュウたちは

「ねえねえアイ?」



当のアイは、なにかブツブツ呟きながら一心不乱に何もない空中に指を這わせる。さしずめエアキーボードの演奏をしているってところか?まあ、実際にはAR表示されている端末を操作しているのだろうが。



「ようし、よし。そんなところに隠れてもムダやけんね。絶対に逃がさんよー。ウチから逃げられるとか考えとーとはアマアマやねー」



なんか、アイさんが怖いんですけど。どんどんダークになっていくような。そんなアイの様子にケンは興味津々だ。その横のトキさんは、相変わらずうっすらと微笑を浮かべているし。




「ほうらほらー、しっぽが見えてきたよー。これまでかなー?キャハハハハハ、よくがんばりまちたねー。でもざーんねん」





どんどん早口になり、それに伴い姿勢もどんどんと前傾姿勢になっていく。そしてキーボード操作する指の動きはさらに加速していく。実際に音は鳴らないのだが、なぜかカタカタカタカタカタカタってキーを叩く音声が脳内に響き渡る。




「はっ」




とそこでアイの動きが止まった。中空を睨みつけ、止まった指先がワナワナと震えだす。




「くっそー、煙幕はカモフラージュで実際は本体ごと空間転移で別次元にいるとか小癪な真似しやがってー。もう追えないやん。もーう、ウチを騙すとか。なんなーん?」



そう叫ぶと装着していたヘッドセットを乱暴にひっぺがし地面に叩きつけた。



ガシャーン・・・



哀れ、何の罪もないヘッドセットはその辺に転がって大破した。と思ったら、みるみるうちに、修復されていく。なんと自己修復機能まで備わっているんだな。




しーーーーん・・・





そこでアイは周りの状況を初めて把握した。そう、自分に向けられているみんなの生温かい視線を・・・




「あ、あうぅ」



色白なアイは、耳の先まで真っ赤になる。そしてそそくさとシュウの横へと隠れるように移動した。







現代の地球でこれから普及していくであろう、ヘッドセット装着型のバーチャルリアリティーの世界。メリットは大きいだろうが、こんなデメリットもあるんだな。ということがよく分かった出来事だった。

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