第120話 お金の使いみち
「今日はいきなり訪ねてきて何の用事だ?」
「うん、実は相談があってさ」
コウノスケさんと会った後、オレはEDO城に来ていた。
「ほほう、相談とは何事ですかな?」
傍らには、トキさんもいる。この2人に相談したい事とは、今まで稼いできた金の使いみちだ。現世では、マイホームとか結婚とか、老後のために貯蓄するとかそんな事くらいだったが今では、ありえないくらいのお金を持っている。更に、これからもこのお金は多分増え続けていくだろう。
「実は、EDOの町をキャッシュレス化していこうかと思ってるんだけど、どうかな?」
「うん?きゃっしゅれす?」
オレの考えとは、EDOの住民みんなに超便利アイテムのギルドカード(のようなもの)を配っちゃおうって事だ。オレが現世でいつも使ってた「にゃんこカード」便利だったよなー、電車やバスにも乗れてコンビニでお買い物もできる。まあ、当たり前に使ってたけどこの世界にはない。ギルドカードを持っていてもお支払いは、ニコニコ現金払いの店が圧倒的に多いのだ。そこでEDOカード(仮)を作成し、どこの店でも使えるようにすれば便利な世の中になる。それだけではない、キャッシュレスの便利さともの珍しさから購買意欲が高まり消費が劇的に増えるハズだ。更に言うならセキュリティも万全だ。ギルドカードは、本人にしか使用できないようになっている。それは、各々の魔力をまるで指紋認証のように読み取って判別するからだ。魔力は、ひとそれぞれ固有のパターンを持っておりそれを本人確認に使用すれば、超安全なのだ。
「なるほど、それでシュウはどうやってキャッシュレスを普及させるんだ?今の話だと色々と設備が必要になるだろ?」
ケンの言う通りである。オレの話通りにするには、大きく分けて3つの設備が必要だ。まずは、大本のホストとなる機械だな。ギルドにあるギルドカードを作成するものと基本は同じだ、これは一つで良いだろう。2つ目は、それぞれの店に端末が必要だ。カードを読み取って代金を徴求するものだ。これは出来ればEDOにある商店全てに配置したい、そして最後はカードだ。これはEDOの住民一人に一枚ずつ持ってもらいたいんだよね。
これらの設備であるが、アイとコジロウのチートコンビにかかればすぐにでも作成することは出来る。だが、一つだけ問題があるのだ。それは材料である。例えばカードの原料である樹脂や集積回路に使われるケイ素などはこちらの世界でもありふれているし入手は簡単だろう。ところが、いわゆるレアメタル、金やプラチナ、リチウムなどはさすがにおいそれとは用意できない。さすがに材料がないところから作成することは出来ない。ファンタジーなこの世の中であっても、等価交換というルールは変わらないのである。
相談の一つ目はこの材料の調達だ。これはトキさんに依頼すれば、なんとかなるだろう。
「なるほど、私の手元にはありませんが伝手を頼ればなんとかご用意できるかと思います」
さすがである。そして2つ目の相談というのが・・・
「実は銀行を作りたいんだ」
「うん?銀行?」
そう、オレはコウノスケさんと牛丼屋をやって大金が入った来た時からその事を考えていた。キャッシュレス化は、あくまでもそのための前提条件でしかない。
まずは銀行を作り、EDOの住民ひとりひとりにカードを作ってもらう。このカードであるが、作成料は無料でいいだろう。みんなは現金を銀行に預け、その金額をカードに記憶させる。各店舗に置く端末についても使用料やキャッシュレスによる決済手数料なども取らないつもりだ。キャッシュレス化によって、オレが運営する飲食店の人件費が削減されるから長い目で見ればプラスになるだろうし、そもそもそれでお金を稼ごうと考えていない。
それよりも経済効果によって、EDOの町を活性化させることが目的だ。ひとびとがお金を使うことによって、新たな雇用が創生され、更に経済が回っていく。まわりまわって自分に戻ってくるだろうし、そもそも使い切れないお金なんだから惜しくもないからな。
銀行業務は、大まかにいうと預金業務と貸金業務に分かれている。カードを作成しチャージしてもらうのが預金業務で、集めた金を必要な人に融資するのが貸金業務だ。
今まで資金がなかったために、事業を始められなかった人や、マイホームを建てられなかった人、満足な装備で戦えなかった冒険者などをできるだけ低金利でサポートしていこうと考えている。
これが実現されると、かなりの経済効果をもたらすだろう。正直、キャッシュレス化の数倍、数十倍、いや数百倍にもなるかもしれない。
「なるほどな」
オレの話を真剣に聞いていたケンは、トキさんに目配せをする。うん?何か思っていたような反応じゃないな。どういうことだろう・・・
「兄者、オレは説明が苦手だからシュウに話してやってくれ」
「承知致しました」




