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第115話 ダンジョン攻略

『な、なぜじゃ?お主の爪は我のうろこに歯が立たなかったハズでは・・・』




さすが最強の竜種である、首だけになったファイアードラゴンはその状態でコタロウに話しかける。なんて生命力なんだ。




『闘気を纏わせたんだニャ』




前足を舐め舐め答えるコタロウ、そう言えば爪がぼうっと蒼白い光に包まれてるな。その爪先をじっと見つめるドラゴン。




『ふん、闘気もろくに扱えないヒヨッコに負けるとはな。じゃが、我の闘気もろとも装甲を引き裂きおったか・・・忌々しいが認めるしかないの、お主は我を倒すだけの強き者であったぞ』




それだけ言うとファイアードラゴンは満足そうにため息を一つつき、消えていった。




「あ、ドラゴンが・・・」





ボンッ




っと次の瞬間に宝箱が出現する。この間がこの世界のついていけないところなんだよなー。ドラゴンが死んでちょっとしんみりとしているところに、間髪入れず宝箱出現。そりゃー、どうしても中身が気になるよね。




『ご主人様、何をブツブツ言ってるニャ。早く宝箱開けようニャ』




ハイハイ、じゃあ開けますかっと。




「うん?コレはもしかして・・・アレだよな」




見覚えのあるその物体は、鈍い光を放っている。全体が四角いフォルムの金属の塊だ。




「そう、転移の魔導具なんよ」




忘れもしない、コジロウを召喚した魔導具じゃないか!!




「あ、どうしよう?何も召喚するもの決まってないよ。3分以内に魔力込めないとダメなんだっけ?」



そうそう、時間が無かったのであの時は本当にあたふたしたなあ・・・オレの魔力が少ないばっかりにマジでだめかと思ったが賢いコジロウは迷わずワームホールに飛び込んでくれたんだったな。だがあの時は、最初からコジロウをこちらの世界へ召喚するって決めてたからなんとか成功したのだが、今はまっさらの状態だ、なんにも考えてないぞ。どうしよう?せっかくの魔導具がムダになるじゃないか。





「あ、このタイプは勝手に起動せんけん、大丈夫よ」




アイがにっこり笑いながら教えてくれた。ほ、良かった。じゃあ慌てることはないな。




「アイテムボックスに収納していれば半永久的に保存できるよ」

「そうかあ、じゃあ取り敢えず“収納”っと」






するとアイはちょっと真面目な顔でオレを見つめる。我が嫁ながら、こんな美少女にマジマジと見つめられるとドキっとしてしまうなあ・・・





「この魔導具は、“上級転移の魔導具”コレを使えばシュウが元いた世界に戻れるよ」





ところが、アイの口から衝撃発言が飛び出しオレはアイの顔をマジマジと見つめる。





「え?今、元いた世界に戻れるって言った?」





慌てて聞き返すと、アイは黙ってコクンと頷く。




「この“魔導具”は、以前コジロウ君を呼び出したモノの上位互換バージョンやけん色々と機能がパワーアップしとるんよ。簡単に言うとこの世の中のあらゆる世界へと時空を超えて転移することが可能とよ」




「え?つまり?」

「シュウがこちらに転移した時点まで時を遡って元いた世界に戻ることも可能ってこと」




オレは元いた世界の日常の記憶を思い返してみた。職場の上司と部下、何かあったらすぐに責任を押し付ける上司と何を言ってもいう事を聞かない部下であったが今となっては懐かしい気がする。行きつけのラーメン屋さんで食べてた家系ラーメン、ライスとセットにすると満腹でいっつもお世話になってたなあ・・・そして、田舎の故郷で暮らしている両親。随分と会ってないけど元気にしているだろうか?オヤジもそろそろ定年退職の時期だったな。




「どげんする?」




オレが考え込んでいるとアイが心配そうに顔を覗き込む。




「あのう、急な話なんでまだ考えが纏まってないんだけどちょっと質問いいかな?」

「うん?」




「オレの元の世界にアイも一緒に連れて行ったりは出来るのかな?」




アイは一瞬嬉しそうな顔をした後、すぐ寂しそうに首を横に振る。




「この機械は、一人までしか転移することはできないんよ」

「え?じゃあ、もし帰るとしてもオレ一人だけしか転移できないってこと?アイだけでなくコタロウやコジロウも?」




なるほどな、じゃあオレの答えは決まっている。




「アイが一緒に行けないんなら、元の世界には帰れないよ」

「ありがとう・・・」




アイは嬉しそうに微笑むとまたコクンとちいさく頷く。






「あ、でもシュウはいつでも元の世界に帰れるってことだけは覚えておいてね」


それでももう一度念を押すように、オレにわざわざ言ってくる。そこでオレは気付いた。

あ、そうか・・・アイはそのためにわざわざこのダンジョンを選んで連れて来てくれたってことだったのか。オレが元の世界に帰れるように、最初っからアイテムの事を調べて。ワガママを言ったフリをしてまで。




「うん、分かった」




それが分かってしまったオレは、アイへの感謝の気持ちで胸が一杯になり、それ以上何も言えなくなってしまった。






















その夜のこと、オレはいつものログハウスでコタロウとコジロウに食後のネコネコスティックをやっていた。このネコネコスティックであるが、数量が999から全然減らない。なるほど999個でカンストしてるだろうと思っていた。ところがこの前ゴブリンキングを倒してレベルアップをした後にアイテムボックスを調べてみたら、なんと数量が∞となっていたのだ。理由は全く分からないが、つまりこの世界では一生ネコネコスティックに困らないのは確かだ。




『ご主人様、ネコネコスティック美味しいニャ』

『コタロウ兄ちゃん、次はボクの番だニャア』




コタロウとコジロウは、おいしそうに舐め舐めしている。毎日のこの時間、異世界に来たことを忘れてしまいそうな平和なひと時だ。





『ご主人様、その美味しそうなのボクも欲しいよ』





するといつもは見ているだけのギルがそんな事を言い出した。




『オレも欲しいぜ』

『私もどうか頂いてもよろしいでしょうか?』




なんとガルとゴルまで!!お前たち、いつも我慢していたのか。それは可哀そうなことをしたな。




「わかったわかった、お前たちにもあげるよ」





『やったぜ』

『わーい』

『ありがとうございます』




オレはガル、ギル、ゴルにそれぞれネコネコスティックを出してやるとみんな美味しそうにペロペロと舐めだす。こいつら、小型の竜みたいな見た目だがこうしてみると、なかなかカワイイやつらだな。




『こりゃーうまいぜ』

『めっちゃ、ジューシーだね』

『大変、おいしゅうございます』



良かった良かった、やはりこいつらもネコネコスティックが好きなんだな(ネコではないが)




「?!!!」





ピカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!




すると3匹が突然光に包まれた。




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