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Restart of youth  作者: PeDaLu
2/6

後輩

転校前の後輩から執拗に迫られる有坂。彼のは一体どうするのか

===2===


「助かったわ。ありがと。それじゃ、さっき買ったこれ、早く試したいから帰るわね」


やっぱりというかなんというか。こうなる気はしてた。この後は秋葉原をいつものようにブラブラしてから帰ろう。って、自分は音楽プレーヤーを見に来たんじゃないのか。再び店に行って品定めすることにした。


「先輩。有坂先輩。もしもーし。聞こえてますかぁ?」


先輩は目を閉じて眉間にシワを寄せながら音楽を聴いていた。私の声は聞こえないらしい。


「あ、これ、待ってたんですか?すみません。もう試し終わったのでどうぞ。って瀬名原じゃないか。なんでこんなところにいるんだ」


「先輩のデートを監視してたんですぅ。私という女がいるのにひどいです」


「私のって。まだ瀬名原のものになった覚えはないぞ。もうちょっと待ってくれって言ってるだろ」


「先輩、そう言ってもう一ヶ月過ぎてますよ?そんな機械選ぶより先に私を選んでください。早く」


コイツに告白されるのはコレで初めてじゃない。1ヶ月ちょっと前に告白されてから事あるごとにこういうことを言ってくる。流石に公衆の面前では恥ずかしい。周囲からの目線に耐えられずに店を出た。結局、音楽プレーヤーは選べなかった。とにかくコイツを外に出さなくては。

とりあえず、駅前のカフェに瀬名原を連れてきた。「カフェなんてなんかデートみたい」そう言ってはしゃいでくれてるので幾分か静かな気がする。少なくとも公衆の面前での愛の告白はされずに済みそうだ。


「で。なんでこんなところに瀬名原がいるんだ。まさか川越からつけてきたとかじゃないよな?」


「流石にそれは……。ふむ。そういう手もあるのか……」


「ねぇ?やめて?」


「たまたまですよ。先輩が週末は秋葉原によく行ってるって聞いたのでどんな感じなのかなって思って来てみたんです。ほら、好きな人がどんなところに言って楽しんでるのか気になるじゃないですかぁ」


今日2回目の告白を受けた。一番多かった日は1日8回。告白を受ける前はしおらしかったのに受けた後はグイグイ来る。それはもうグイグイと。そんな瀬名原のことが嫌いというわけではないのだけど、奈月のことが忘れられなくて受けれずにいる。ズルズル引きずるなんて男らしくないけども。そして今日また出会ってしまった。諦めかけていた気持ちが更新されてしまった。

帰りの電車の中で1回、駅から家に帰るまでに2回。今日は合計5回か。平均的だな。などと考えながらベッドに寝転ぶ。「メールしたら返事帰ってくるのかな……」そう考えて思い切ってメールを奈月に送ってみた。


「今、今日買ったものを開封してインスタ映え最中なのよ。カメラの邪魔になったじゃない」


返事は来たけどもタイミングが悪かったようだ。スタンプで盛大に殴られた。でもまぁ、返事が来ただけ良いかな。そのあと、奈月から「歩きながら聞いたらなんかガサガサ音がする」とメールが来た。だから編み込みケーブルにするならシュア掛け出来るやつにしたほうが良いって言ったんだ。ケールタッチノイズが大きいからって。


「まぁ、私が見た目がキラキラしてて可愛いと思って買ったから有坂に文句は言わないけど。もっとちゃんと止めて欲しかったわね」


文句を言われた。でも怒った顔は思い浮かばなかった。奈月はいつもそうだ。知らないことは聞いてくるけど、最後は絶対に自分で決める。そうしないと相手のせいにしたくなるし自分も後悔するから。って昔言っていたな。今、俺のせいにされたけど。



「初めまして。有坂陸と申します。短い間ですがよろしくお願いいたします」


高校3年生の12月、なんと横浜の学校に転校した。クラスのみんながこんな時期に転校生って……高校3年生で?マジで?と話しているのが聞こえる。まぁ、普通はそう思うよなぁ。僕もなんでこんな時に転校なんだって親に聞いたもの。理由は父親の仕事の都合。らしいけども、横浜から川越なんて90分くらいなものだ。わざわざ転校しなくても。制服もお古だけど、と用意してくれた。

今日の僕はそんな時期の転校という人生の一大イベントよりももっと驚いたことがある。奈月だ。奈月茜がそこに座ってる。なんで?東京の高校に入学したんじゃないのか?奈月は僕の顔を見るなり目を見開いたけど、その後は至って普通の態度に戻った。


「やあ、この前ぶり。買ったイヤホンは気に入った?」


「なんでアンタがこんなところにいるのよ。聞いてないんだけど。追いかけてくるなんて流石に気持ち悪いわよ」


「いや、そんなんじゃないって。僕も驚いてるんだよ。奈月、東京の高校に行くって言ってたじゃない。そっちこそなんでこの高校にいるんだよ」


その時に僕のスマホが震えだした。


「ほら、メール。いいの?確認しなくて。例の可愛い女の子からじゃないの?彼女なんでしょ?」



「なんで何も言ってくれなかったんですかっ!ひどいです!!一言も無いなんてあり得ない!」


授業中もガンガンメールが来ていたが、転校初日からスマホを授業中に使って取り上げられたら格好悪い。そうしたら昼休みにものすごい剣幕で電話がかかってきた。


「なにも言ってないことはないだろ。ちゃんと引っ越して横浜の高校に行くって言ったじゃないか。それに横浜と川越なんて近いもんだぞ?たったの90分だ」


「私が納得してないなら何も言ってないのと一緒ですぅ!!それに90分もかけて行ったら往復180分ですよ?先輩と一緒に入れる時間が3時間も減るんです!あり得ないじゃないですか……。私が……へぐっ……どんなに……へぐっ……好きなのか知ってるんでしょ?ひどいです……。」


理不尽だ。これは僕が悪いのか?なんかそんな感じに思えるようになってきた。「泣かせるつもりは無かったんだ。ごめん。今度の週末に会ってちゃんと説明するから。な?」そう言ってやるとようやく落ち着き始めたようだ。


「彼女との愛の電話は終わったの?」


「奈月……。びっくりさせないでくれよ。それに彼女じゃないし愛の電話でもない」


「あら?この前、散々愛の告白を受けていたじゃない。答えてないの?彼女かわいそうに……。私みたいにさっさと答えてあげるべきよ。その方が相手のためよ。それじゃ」


奈月はあっさりし過ぎなんだよ。俺が一世一代の告白をしたってのに「そう?ありがと。でも私はあなたと今付き合うつもりは無いわ。要件はこれだけかしら?」と言ってあっさりフラれたのだ。でも、耳にかかった髪を指で耳の後ろに流しながら目を伏せてたから完全に脈がなくなった訳ではない、本当に嫌いならそんな顔はしないはず。そう言い聞かせてきた。それなのに今ははっきりと目を見て言われた。


「おい、有坂!やっぱり有坂じゃないか!久しぶりじゃねぇか!彼女ってなんだよ。愛の電話ってなんだよ?あっちの高校で彼女でも出来たのか?」


突然名前を呼ばれてびっくりしたが、振り向いて顔をみたら更にびっくりした。梶原裕樹。中学時代の塾の友達だ。今日はびっくりすることばかりだ。一体どんな確率なんだこの組み合わせは。


「ねぇねぇ、あの人、奈月の元彼とかなの?」


「知らね。でもなんか知り合いって感じだったな。おい有坂、奈月とはどういう関係なんだ?あ、こっちは永瀬愛っていうやつな」


「奈月は……、中学時代の同級生ってやつだな。まさかこんなところで再会するなんて思っても見なかったよ。それでそっちはどんなご関係で?」


「永瀬は俺の友達。奈月とも仲がいいんだぜ。で、さっきの電話は誰なんだよ」


「転校前の学校の部活の後輩。なんかすごい気に入られちゃっててさ。僕が転校することに納得がいかなくて癇癪起こしてるみたいなんだよ。おかげで今度の週末に会うことになりそうだ」


「なんだよそれ。惚気かよ」


「友達、か……」


「ん?永瀬何か言ったか?」


「ううん。なんでもない」


梶原には散々追求されたが、なにもないからと猛追から逃げ切った。と思う。一緒にいた永瀬愛っていう子は、なんか怪しい、という目でずっとこっちを見ていたけども。そして結局、週末に秋葉原で瀬名原と会うことになったわけで。

次回、デート

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