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出会ったのは優しい魔王様でした……

こんにちは!

お待たせです!

第6話

出会ったのは優しい魔王様でした……

投稿させていただきました!

やっとタイトル回収。


ぜひ読んでいただけると嬉しいです。

少女が手をニコニコしながら下ろす。魔法が終わったようだ。

緊張でずっと力んでいた体をリラックスし、

荒くなっていた呼吸も次第に整い出す。


「おーい!おーい!

私の言葉が理解できる?」


馴染みのある言葉が、突然聞こえ、

状況が読み込めないまま、うなずいた。


「おー!!

やっと意思疏通ができたね!」


少女が和気あいあいと自分に話しかけてくる。


今まで理解ができなかった声が、

はっきりと自分が知っている言語で、

耳に聞こえてくる。


「な、なにをしたんだ……?」


魔法の力なのか……?

体にはなにも変化がないため、

少女に聞く。


「言語系統の魔法を使えるだけ使って、

かけたんだよ!

上手くいってよかったよ!」


「それにしても言葉が通じないなんて、珍しいね。」


「 異世界からきたのかな~??」


「言語系統の魔法、

おおかた、 習得しておいてよかったよ!」


言葉が通じるようになって嬉しいのか、

元気に話しかけている。

一方的に。


初めて見たときは、

あの夢で見たときにはもっとおとなしく、

凛々しいイメージがあったので、

軽い衝撃を受ける。


そして衝撃とともに、

楽しそうに、嬉しそうにしている少女が

無性に気にくわなかった。


魔法のせいで、思い出した。

(あいつらと同じだ…)


「私はフィリア!!

フィリア・ファールです。

魔王をやっています!

君は?」


とんでもない、自己紹介を

少女改め、フィリアが唐突にした。

魔王なんてもっと、まがまがしいイメージで、

強いイメージがあるが……。

女だし、それにボロボロだし、

弱そうだな。

なんで捕まってる?


そんなことを考えながら、

とりあえず


「穴吹 風斗。」


自然と声のトーンが下がった。

心の底から込み上げてくる感情を抑えつつ、

簡単な自己紹介をする。


「フウトって言うんだ……。

ここにいる間、よろしくね…。」


フィリアの発する声に元気がなくなった。

自分の発言の為だろう。


ダメだ。


「ふざけるな。よろしくじゃないだろ……。」


抑えきれない。


「あいつらと同類じゃないのか?

 同じように、俺に攻撃するつもりだろ!!」


今まで我慢してきた、

恐怖に怯えて苦しんだことをフィリアに怒鳴りつける。

魔王に怒鳴りつける。

死ぬかもしれない。


フィリアの肩が何度かビクッと動く。


でもやめない。怖いから。


「おまえには、角が生えてるし、魔法も使った!

こっちは、おまえと同じやつらに

槍で肩を突き刺された!

なにもしてないのに!」


実際に襲ったのはフィリアじゃないのに…。


「訳がわからない魔法にかけられた!

枷までつけられて、

捕まった!!!

拷問をするんだろ!

奴隷にして死ぬまで使い回されるんだろ!

なぁぁ!!!」


フィリアも自分と同じように、

捕まって、閉じ込められているのに。


傷つくのが嫌だから、

刺されるのが、痛いのが嫌だから……。

抑えてたものを、

吐き出す。


(ん?ま…て…?

 刺される?

 痛……い…?)


とっさに刺された方の肩を見る。

そこにあるはずの痛みを感じなかったから。


穴が空いた服から見えたのは、

刺されて、傷がついているはずの皮膚ではなく、

元の、傷つく前の皮膚が見えた。


「治したの。

治癒魔法を使って……。

血いっぱ出でて、痛そうだったから。

あのままだと出血で死にそうだったから。」


求めていた答えが聞こえる。


フィリアが治してくれたみたいだ。


男二人に追われたとき

死を覚悟したんだ。


余計なことをしてくれる。


でも、でも…。


心のどこか奥底では、

変えたいと思ったんだ。


自分を。

待っているつまらない人生を。


死を前にして気づいたんだ。


周りに誰もいないのも、つまらないのも、

妙に充実しないのも。


全部全部、周りのせいにして、逃げてきた自分のせいだって。


それが分かったから、


もし、生きていたら自分を変えようって、


決めたんだ…。




なのに自分は何やってんだよ……。

痛みから、死から救ってくれた相手に。

感謝もしないで、

何で怒鳴り付けてるんだよ……。


さっそく、人のせいにしてるじゃねぇか。


「ごめん……。

治してくれたのに、

お前を怒鳴りつけたりして。

許せなかったら、魔法ぶっ放すなり、

殺すなりしてくれ。」


自然と口に出た言葉。フィリアに対しての謝罪。


「魔王だもんな。

 許すわけないか…」


馬鹿なことしたなって。

せっかく助けてもらったのになんて後悔しながら、

返答を待つ。


するとフィリアは微笑みながら、


「誰だってそうなるよ。

 怖いもん。

 痛いもん。

 苦しいもん。

 むしゃくしゃするもん。

 何が何だか分からなくなるもん。」


優しい声が、心に響く。奥深くに。


「私だって突然、フウトみたいな目にあったら、

 そうなっちゃうよ。

 仕方ないよ!気にしてないよ!」


なんて。


「ありがとう…。」


自分の素直な気持ちを述べる。

そして


「うん!」


元気で優しいフィリアの返事。

許してもらったみたいだ。


その後、しばらくの沈黙。

何を話していいかわからない。気まずい……。


すると


「で~~も~~。

 少し傷ついちゃったかなーー。」


なんて

沈黙を破る声。

わざとらしく棒読みだった。

だから、とっさに


「傷ついてないだろ!!それ!!」


と少し、吹き出しながらツッコミをいれる。


そうしたらちょっと怪しい笑顔を浮かべながら、

微妙な間を開けながらフィリアが言う。


「ホントホント!傷ついたよぉ?

 私の……お願い、

 聞いてくれたら…忘れる……かな?」


体を左右にゆらゆら揺らしながら、

上目使いで。


自分が悪いのが重々分かっていたから、

それに、フィリアが変なお願いをするなんて、

もう考えられなかったから。


「分かった。」


簡単な返事をすると。


「それじゃあ!

 自己紹介から!

 やり直しぃぃぃぃ!!!」


ビシッと人差し指をこっちに向け、

胸を張りながら。


大きな声が、

ここら周辺に響き渡る。


次には、お互いの笑い声も。


「なんだそれw

 魔王がやることじゃないだろw」


笑いながらつぶやく。


「寛大な魔王なんです。」


なんて。


そんなふざけたやり取りを何回も繰り返す。


恐怖や疲れなんて、

捕まってることなんて忘れるような、

とんでもなく短く、

楽しい時間を過ごす。




読んでいただきありがとうございます!

気になる点、注意点ありましたら

どしどし言ってください。

また、感想など書いていただけると、

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