プロローグ3
こんにちは!!
プロローグ3です。
ついに物語が動き始めます。
読んでいただけると
とてもうれしいです!
あまりの突然の景色の違いから、
ただ立ち尽くすことしかできないでいた。
ようやく周囲に気を配ることができたのは、数分たった後だった。
自分こと、穴吹 風斗の足元を見渡すと、講義の教科書や、資料が散らばっていた。
リュックのチャックを閉め忘れていたようだ。宙を舞った時、全部出たらしい。
ここでふと何かにつまずいて、
宙を浮いたことを思い出す。
後ろをただただ……振り向く。
気軽に(石などにつまずいたんだな)なんて思いながら。
振り向いた直後、胸が熱くなった。
すごく、すごく……。
瞬間、
「お“ヴぇぇ・・・っ、おヴぇぇぇぇぇっ……。」
口から異物が、大量の異物が、
自分の止めようという意識に逆らい、吐き出る。
手で口を押えようとするが止まらない。
液体がビシャ、ビシャッと音をたてながら地面に落ちている。
後ろを振り返って、見てしまったものは、黒色のもの、異臭を放つもの。
ただ、ところどころ、白色をしている。
内部が…見える。腐りかけの眼球と思えるものが、いやでも目に入った。
それは人と思わしき死骸であった。
おそらく、つまずいたのは、間違いなくそれであろう。
自転車のタイヤで引いてしまった部分は損傷していた。
迫りくる嘔吐感を必死に抑えながら、
足元の荷物を拾う余裕もなく。
ただ走った。一目散に。その場から逃げようと。
目の前にあるものを遠ざけようと。
「なんだこれ、なんだよ、なんなんだよ!!!
どうなってる? 死体が…。」
馬鹿なのか?
自分で死体と口ずさみ、
またあの光景を思い出す。
また口から吐き出す。
異臭を放つものを散らしながら、半ば泣きながら、
どこへ向かえばいいかわからないまま、
ひたすら草と木に覆われた薄暗い台地をただただ走っていった。
もう長い時間、走った。景色は一向に変化せず、
あるのは草と木。
時計がないからわからないが、人生の中で一番走ったと思える。
いや、途中からはもうほぼ歩き。疲労困憊。
多くの水分を体から放出したためか、
のどの渇きが激しい。
もう走ること、歩くことをやめ、地面にへばる。
「今、何時だろう?」
そんな素朴なことを思いながら口ずさむ。
「おなか、すいたな……。」
ひたすらなり続ける腹部を、動かすのがやっとな手でさする。
時間がたったことで、
そんな普段と変わりないことをを呟ける冷静さは、すでに取り戻していた。
そして疲労のためか、急に襲ってきた睡魔。
草が風でなびく音、木の葉が風で揺れる音。
実に心地いい。
見ず知らずの場所で、危険なのは承知なものの…。
体の、精神の疲れはやっぱり正直だ。
重い瞼がだんだんと、上から閉じてくる。
そして意識が遠のく。一番気持ちがいい瞬間。
右肩付近に突然の違和感を覚える。
「え?」
目を開けて確認すると同時、
「ぐああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ」
獣みたいな声で叫ぶ。吠える。
「痛い、痛い、痛いぃぃ…。」
眼にいっぱいの涙をためながら、こぼしながら……。
そう、大きな声で叫びながら。地面を転げまわった。
読んでいただきありがとうございます。
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