広大な海へ
かなり遅れた。やる気が出なかった
数百メートルの高さから再び俺は落下した。
今度は着水した
ドボーンッ!!
大きな水しぶきと共に、淡い色の空から暗く青い水の中へ...
「うぉぉ溺れぇえ...っ!! 」
しかし冷静になってみると不思議と息は辛くない事に気がついた。
「そ、そうか俺は骨だけだもんな。 色々と謎が多いけど... 」
恐竜の骨は中空で見かけより軽い。 浮くだろう、 と思ったが何故か沈んでゆく
自分の大きさは分からないが大きかったのか、 骨自体そこまで軽いものでは無かったのかもしれない
とか考えている内にどんどん沈んで行く
もがいても うまく泳いだり浮き上がれない。
このまま海底まで行くのか...?だとしたら俺はここからどうやって海面に戻るんだ。 と言っても海面には何もないが....
さっきの声の主についても気になるしどうすればいいんだ
...しばらくして俺は海底についた。
何も考えなどない、これからどうすればよいかも分からない。 当たり前だ、 いきなり散々な目に合い挙げ句には広大な海の底へ沈んでいく事になったのだから
はぁ...
ため息をつく。 息をしないのに泡が出ている。
本当によく分かんねぇな...
このままどうする?
周りを見る。
目の届く範囲には自分より数倍大きな岩があり、そこには色とりどりの珊瑚や海藻、 現実世界で見たことあるような生物もいた。 見たことのない生物は恐らく俺が知らないものや この世界の生き物だろう。
「クマノミにタコにオヤビッチャかな?こんな世界に元の世界の生き物がいると安心するというか逆に怖くなると言うか... 」
俺は昔から生き物を見たりするのが好きだったな。 ここにいると目的を忘れてずっと見入ってしまいそうだ
もういっそ何かしようとしなくてもここにずっといてもいいんじゃないか?
下手に行動してさっきみたく大変な目に合わないで済むだろうし。 こんな世界だ、 何があってもおかしくない。 なるべく最善を尽くしたい
にょろにょろ...
ん?視界に変なのがいる。俺は自然と視線をそちらに向ける。
陰で暗く見にくいが それは...凄くにょろにょろしていた(語彙力)
にょろにょろ...ヒョコン
“何か"はいきなり影から飛び出してきた
少ない光に照らされたそれは 小さく細長い胴体を持ち、濃い茶色をベースに黄色の模様が入っている。
ウツボであった。
「キュー! 痛いよ!」
ん? 何かあったのだろうか。
...って、 ぇぇえ!?
ウツボが喋っている...? ?
異世界では普通なのか?こんなとんでもない異世界だからあってもおかしくはないとは思うけど 現実と変わらぬウツボがいる事自体でもそうなのだが、更には喋るというと違和感が凄い
それよりもだ、何か分かる事があるかもしれないしこのウツボに話しかけてみよう
「なぁ どうしたんだい?」
コミュ障の為 相手を前にすると無意識に声が小さくなる 申し訳ないが聞こえているかな?
「...ん、 聞いた事の無い声がする。 誰?」
「ここにいるよ...」
「えっ?どこ?」
ウツボはキョロキョロしていたがしばらくして俺に気付いた
「骨ェェーーーーー!?」
凄い驚いた顔をしている。 可愛い
「あっ、すまない。 俺は骨のモンスターだ。」
「骨の...モンスター?」
「そうそう、 だから大丈夫」
俺はウツボをなんとか落ち着かせる。 ついでに俺は危ない存在ではないこと、 敵意がなく 友好的なモンスターだと伝えた。 ウツボはそれを聞いて安心したようだ
早くね...目の前には巨大な骨のモンスターがいて 敵じゃありませんよと言っただけで警戒心を無くすとか こっちがビックリした。このウツボが子供だから純粋なだけかもしれないけど
「戻るけど、 さっき痛いって言っていたけど どうしたんだい?」
「そっそれなんだけど...いつも掃除をしてくれる魚がいきなりエラに食いついてきたんだ。 とっても痛かった...」
「そうだったのか。 今は痛くないか?」
「まだ少しヒリヒリする」
「ちょっと見せてごらん」
俺はウツボの噛まれたというエラを見る。 キッチンペーパーの芯位の大きさしかない小さなウツボに一円玉程の大きさの跡があった。
「その掃除をしてくれるという生き物の特徴、分かる?」
「うん。でもそんな事するようなお魚さん達じゃないはずなんだけどね」
中の人はほんと気まぐれなので「楽しみ」と大変光栄な感想を書いてくださったお方にほんと申し訳ないです(´*ω*`)