序章 挫折
パラレルワールドとはある世界から分岐し、それに平行して存在する別の世界。
異世界、四次元空間などとは違いパラレルワールドは我々の宇宙と同一の次元を持つものである。
この話はある一人の天才的な少年がそのパラレルワールドを自由に行き来することができるようにしてしまったのが原因で始まった。
1 俺はシザキレイヤ。中学3年15歳。成績もよく運動もできるはっきりいって優等生だと自分でも思う。勿論自分で思いこんでるのではなく他人からそう思われてもいる。今は9月。人生の岐路の一つと言える高校受験はあと6ヶ月後にせまっている。志望校も早めに決めて受験勉強に一生懸命…といきたいのだが、
そういうことか順調にはいかなかった。
今俺の目の前に立ちはだかる男は目を輝かせて俺を見ている。無視して通る訳にはいかないからとりあえず話しかけてみた。
「俺に何か用でもあるのか?家に入りたいから玄関前に立ちはだかるのやめてくれない?」
すると目の前の男は少し驚いたように言った。
「ああ、こっちの世界ではきちんと話せるんだ。」
!?なにをいってるんだ?頭おかしいのか?
「ええ、とそれはどういう意味かな?」
「邪魔して悪かったね人違いだったよ。じゃあ君は家に帰りたまえ。」
そういうと男は俺の家の敷地外に出て行った。今の人は誰だろう、完全に俺を知っている用な感じだった。それより最後、えらそうに帰りたまえだとか何様のつもりだよ。そう思いながら家に入った。さっきまで不法侵入者に話しかけられていたから鍵はしっかりかけた。さっきの奴俺と同じ中学生だと思うけどあんな奴みたことないから多分別の学校だろうな。こっちの世界とか言ってたけど何の話だろ?まあ深い意味は無いだろうな。ただの中二病だろ。
2 僕の名前はオノミヤマヒロ。15歳。分け合って僕は学生では無い。というより学生にはなれない。その理由はいつかわかるだろうから楽しみにしておくといいよ。いや僕が学生じゃない話なんか楽しみでも何でもないな。
話は変わるが最近異世界という言葉をよく耳にする。僕はそれを全く信じていない。何故なら僕は完璧な科学者だからだ!勿論自分で思いこんでるのではなくいろんな人が僕を天才で完璧で一万年に一人の逸材だと言ってくれるからである。そんな僕は生まれて15年と7ヶ月がたった今日、ある発明品を完成させた。その名を
「次元移動装置!」
「おおー!ついに出来たのか。」
思わず叫んでしまった。するとその声に気づいた僕の恩師、菅谷博士が驚いたように歓声を上げた。
「ようやく完成したか。やはり君は天才だ。本当に凄いと思うよ。ここで少しお願いがあるのだが聞いてくれるか?」
「はい、勿論です。」
「そうか、ありがとう。実は儂ももう年寄りになって移動がしんどくなってきたのだよ。だから君のその天才的な脳でどこでもドアをつくってくれんか?」
僕もどこでもドアを作ってみたいと思ったから博士の願いを叶えることにした。
「わかりました。任せてください博士。」
「本当か?期待しているよ!」
そう言って自分の研究室に博士は戻っていった。
僕は早速完成した次元移動装置を使ってみることにした。この装置はタイムマシンなどとは違い別の世界線の現在へといくことができるのだ。とりあえずこの世界と近い風習のあるルートCの日本へ向かうことにした。出力を最大にすると
一瞬にして別の世界に飛ぶことができた。要するにパラレルワールドに来たのだ。今この場所には僕のいた研究室はない。僕の作った装置は違う世界の同じ場所同じ時間に移動する。つまりこの装置はちゃんと動いたのだ。
さらにもっと簡単な理由が目の前にあったこの世界はかなり機械化が進んでいるようで人がサングラスのようなものをつけてまるでタッチパネルを操作するように手を動かしながら歩いている。この装置さえあればこのように普通じゃ出来ない体験が簡単にできてしまうのである。僕はもといた世界に戻りまずはこの装置の商品化を進めた。
3 事の始まりは9月の末、いつも通り学校から帰ってきて家の鍵を開けようとしたときだった。
「止まって。動くな!」
また不審者が現れたよ~。もううんざりだ今回は通報してやろう。と思ったとき急に首もとに40センチくらいの長さのかなり尖った剣を突きつけられた。
「~~~~!?」
ビックリしすぎて声にならない声があがった。
「大人しくして。声を出したら殺す、変な動きをしても殺す、今から私の言う事を聞かなくても殺す、わかった?わかったなら軽くうなずいて。」
俺は即座に頷いた。
「じゃあまず鍵を開けて家の中に入ろうか。」
言うとおりに鍵を開け、家の入った。
「ちゃんと鍵は掛けてね、一応チェーンも掛けておいて」
言うとおりに鍵を掛け、チェーンも掛けた。すると首もとから剣が下ろされた。
「もういいわよ。」
俺はすぐさま後ろを向いた。するとそこには戦闘ゲームに出てきそうな自分と同じくらいの年齢の女性がいた。
「急にごめんね。なにせ急いでいたものだから、さらに言うとこの世界来てから
話しかけた人皆私の話を聞かずに逃げていっちゃうのよ。酷いと思わない?」
「いきなりそんな物騒な物を持った奴に話しかけられて逃げない奴の方が異常だと思う。」
当たり前だ!というか何でそんなもん持ってんだ!?何故今まで捕まらなかった!?銃刀法違反だろ!?ん?いや待てよ、『この世界に来てから』って言ったか今?前にもそんな事言ってた不審者がいたような…というか何で俺だけこんな事になるんだよ?この近くにどんだけ家があると思ってんだ!どんだけ俺運悪いんだよ!そしてなに?何でその不審者二人ともこの世界とか意味分からない事いうの?そっちの方がひどくない?
「そうなの?じゃあなに?この世界の人たちは武器の一つも持たずに生活してるっていうの?そっちの方が異常でしょ!?」
この女はどうして驚いているんだろうか?
「ちょっといいか?話がかみ合ってない。とりあえず俺はレイヤって言うんだ。君は?」
「私はクレアだ。」
「え?日本人じゃないの??」
「何を言っているの?私はこの通り生まれも育ちも日本。母も父も日本人よ。」
「ごめんごめんそういうつもりで聞いた訳じゃなくて。じゃあクレア、君はどこに住んでいるんだ?」
「私は第137番地区21市、南町ー3番地にある家に住んでいるわ。」
「いやどこだよ!!」
「どこといわれてもなー私のいた世界ではこれで皆すぐに理解してくれるんだけど…」
だめだこいつ。そもそも世界って何だよ?確かにこいつにとってこの物騒なも物を持つのは常識みたいだが今の日本では超非常識だ。でもこいつは日本人。
どういうことだ?
「レイヤの家はなんという所にあることになっているんの?」
何でこいつは俺が戸惑っているのに未知の地を知り尽くしたように話しかけてくるんだ。というかお前こそもっと戸惑うべきだろ。
「俺の家の場所は〇〇県〇〇市×××ー×と表してこれを住所って言うんだ。」
「へー初めて知った。覚えておくわ。そろそろ良さそうね私はもういくわ」
「お、おい行くってどこに?」
「ありがとね、またくるわ。そのときにいろいろ教えてこの世界のこと。」
と言って俺の家から出て行った。
いや今聞いていけよ!
4 今日は10月にある定期テストの日だ。朝食を食べながらテレビを見ていた。
『えー、次のニュースです。最近ペットが殺されるという事件が増えています。
今月に入って10件異常の被害が出ています。殺されたペットは大きな刃物のようなもので切り刻まれていました。』
おい。まさか。まさかとは思うけど。違うよな。この前の女。
『この事件に関係があるのか最近剣のような物を持ち歩いていた白い服を着た中学生くらいの女性に話しかけた警察官が突如切りかかられ入院するという事件が起きました。』
「あいつだーーーーー!!!」
いすから立ち上がり俺は思わずさけんでしまった。
あの犯罪者。次きたらとっつかまえて刑務所送りにしてやる。
学校ではその事で騒ぎになっていた。
「おい知ってるか?最近この近くで殺人鬼が出たらしいぞ!」
何で嬉しそうなんだ。
「ねえ知ってる?最近ペットが殺される事件が増えてるんだって。」
「えーヤダー家のポチも殺されちゃう。」
これはこれは大変なことになっている。あいつはしっかり警察に突き出そう。
9時になると先生がやってくる。
「おーい。全員着席。ペット殺しや殺人鬼なんてよくある話だ。それより今日はテストだぞ。しっかり勉強してきたのか?」
ペット殺しはともかく殺人鬼がよくある話なんてのはカオスだな。
すると教室の後ろから悲鳴があがった。
「キャーーー殺人鬼!」
全員が後ろに注目し次の瞬間教室が固まった。
そこにいたのはペット殺し兼殺人鬼ことクレア被告だった。クレア被告は俺の顔を見て口を開いた。
おいまさかやめろやめてくれそこで俺の名前を出すのはやめてくれ。
「あ、レイヤーやっぱりいた。様子見に来たよ~。」
やっぱり。終わった俺の学校生活が俺のスクールライフが。
「どういう事だレイヤ!お前も共犯なのかー!?」
「警察呼べ警察!」
「説明しろレイヤ!」
クラスメイトが俺を白い目で見ている。こうなったのは全部あの世間知らずの殺人鬼のせいだ。そして遂には先生までもがおびえた表情で俺を見ていた。
そして先生は俺に近づきこういった。
「これは体罰ではなく正当防衛だレイヤ。」
一瞬意味が分からなかったが次に瞬間先生に考え全てを理解した頃には遅かった。先生の懇親の一撃を俺はもろにくらった。
同時に2メートルくらい吹き飛んだ。
「レイヤ大丈夫?ごめんね私のせいで。」
クレア被告が心配そうに俺の近くに駆け寄ってくる。
やめてくれーー!さらに誤解を招くことになる。自分のせいだと思うなら今すぐこの誤解を解いてくれーー!
しかしクレア被告はそんな事はせず俺を抱えて窓から飛び降り俺を抱えたまま逃走した。確かにこの行いは正義だ、本人自身が犯罪者じゃない限り。
この時点で俺はこの世界をいきるのを諦めた。
「おいクレア!お前ふっざけんなよ!何犯罪者の身で俺に話しかけてんだよ!
おかげでこの世界で生きていけなくなったじゃねーか!」
するとクレアは余裕そうな顔で俺に言った。
「私も昨日からいろんな人に追いかけられて気付いたよ。この世界では生きていけないって。」
「じゃあどうすr」
言葉を言い終える前にクレアに声をかき消された。
「そんなの決まってるわよ。別の世界に移動するのよ。」
「は?」
その言葉の意味は本当にそのままでわかりやすくそれ以上に適した言葉はなかった。




