表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
珈琲に纏わる切ない物語  作者: 吠月玖狼
1/1

Mokha

珈琲に纏わる切ない物語を語りましょう。


珈琲は様々なドラマを演出する小道具として使われます。

それは、香り、酸味、苦みといった感覚が、ある感情を呼び起こすからかもしれません。


ある時代のアメリカはカリフォルニア州マリン郡にあるドライブインレストラン。


ひとりは、ハリウッド映画出演を夢見る俳優を目指す男性

 彼は、いつも珈琲だけをオーダーしていました。

ひとりは、そのドライブインで働く女性。

イエメン生まれの彼女は、夢をつかむ為にアメリカに渡ってきました。

彼らはドライブインレストランで出会い、1杯の珈琲を通じて関係を深め、

笑い、泣き、お互いの夢を語り合いました。


彼の夢は、俳優として大成し、彼女に素敵な誕生日をプレゼントすること。

彼女の夢は、街のシアターで彼の出演作品が上映されること。


その夢は、片方だけ叶うこととなります。

Good Morning, Vietnam、Dead Poets Society、Awakenings

シアターに、街に貼られたポスターには、彼の姿があり、

その名もアメリカ全土に広がりました。


大成した彼は、あのとき語った自分の夢を叶えるために、

かつてのドライブインレストランに向かいました。

あのころと同じマスター、風景、何一つ変わってないように思いました。

ただ、彼女の姿だけ見えません。

残されたのは、マスターが彼女から預かった手紙のみ。

その手紙の内容は伝えられていませんが、そのドライブインで出されていた珈琲は、

彼女の生まれ故郷イエメンから彼女へ送られていた豆を挽いていたものでした。


彼らのドラマを言葉少なに観ていたマスターは、

その後もイエメンから送られる豆を挽いて珈琲を淹れています。

そのイエメンにある港の名が、彼女の名前でもありました。

彼が受け取った封筒に書かれていた名前は、

“Mokha”


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ