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11.告白返し

時刻を確認すると、午前1時。

常識的には人に電話していい時間じゃない。

けど・・・何故だか彼なら電話に出てくれるような気がして、発信ボタンを押した。


プルル…プル、ガチャ。早っ。


「はい」


「・・・」

・・・声を聞くともうダメだった。言葉がのどにつかえて出てこない。


「・・・しずく?」

2週間も電話に出なかったあげく、かけた電話が無言。

そんな最低の行いをしたにも関わらず、ゆうき君の私を呼ぶ声は涙が出るほど優しかった。


「わ、わたし、ゆうき君にひどい、っこと、した。」


「ちょ、ちょっと待ってしずく泣いてるの?」

若干慌てて彼が言う。


「うん、ご、ごめん。は、はなし、したくて電話、したんだけど、ゆう、き君の声、き聞いたら、なみだっ出てきちゃって。」


「・・・今家?」


「う?うっ、うん、そう。」


「今からそっち行くわ。30分くらい待っといて。」

それだけ言うと、電話を切ってしまった。


ええーっ!


ゆうき君が今から家に来るという緊急事態に、涙もウソみたいに引っ込み、部屋中に散乱する服を手当たり次第にかき集め始めるのだった。





30分後。

予告どおりやって来たゆうき君を部屋に招き入れ、只今即席で片づけた部屋の中で対峙している。ゆうき君もちょっと緊張気味だ。


一度冷静になると、こういうのって言いにくいよね・・・出来ることなら勢いのままさっきの電話で言いたかった・・・


もじもじしながら自分の膝に目を落とすと、毛玉だらけのスウェットが目に入った。

・・・私部屋着のまま!!

ちなみに年季の入ったスウェットの上は、ひそかに好きなスポンジ○ブの長袖シャツ・・・どうなのこれ?

対面に目をやると、ジーパンに適当なシャツを羽織っただけって感じのゆうき君にアラは無い。慌てて来たせいかセットしてない無造作ヘアまでおしゃれに見える。



これが今の私たち。


そう思った。

澤井祐樹は自然体にしててもカッコイイ。そしてこんな私に怒るどころか、夜中に駆けつけてきてくれるほど優しい。

一方、小野雫は部屋も格好もだらしないしダサい。

そんな自分のまま、伝えたいことがある。



「すき」


意思に反して涙がこみあげ、視界がにじむが、しっかりと相手の目を見て言う。


「たぶん高校生のときからずっと、ゆうき君がすき。もう逃げない、これからはちゃんと話すようにする。だから、だから私と付き合ってください!」


「・・・!」

予想外の告白返しに虚をつかれたゆうき君は次の瞬間、




今までで一番の満面の笑みで、優しく力強い腕の中に私を迎え入れてくれたのでした。


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