帰って来た日常篇part1 “帰って来た日常„
帰路の途中で皆と別れた俺は約3日ぶりの家を
少し眺める。たかが3日だが俺にはそれより長く感じたからだ。
そして、家のドアの前に立つ。いつもは楽々と普通に開けていた
家のドアも俺には冷たく感じた。だが俺はそんなことも気にせずに
家のドアを開いた。そして、いつもの様に一言。
「ただいま~。皐月居るか?」
そう言うといつもはすぐに飛んで来る筈が今日はすぐに来ない。
寝ているか。そりゃそうだ。もう時間は10時を過ぎている。
皐月はいつも早めに寝ているから起きているのは珍しかったり
するのだ。
俺は玄関に入り、一度床に座って靴を脱いでいると
後ろからドアが開く音がする。
「皐月か ?」
「..........ニイ、ちゃん ?....じゃ、なくって....アニギ ?」
皐月が後ろからとぼとぼと歩いているみたいだ。
声音から分かるように皐月は.........。
だから俺は振り返らずに、
「ああ、そうだよ」と一言。
「本当に.....アニギ..... ?」
「ああ、そうだ。俺だよ ?皐月、お前は泣くような奴だったか ?」
「だ、って.....だっでアニギ、アニキがいきなり何も言わずに.......。
ウワァァァァァァァァァァァァン !!」
あの皐月がいきなり泣き出す。俺は振り返り俺に寄って来た皐月を
強く抱き締め、
「俺が悪かった。何も言わずに3日もすまなかった」
と言う。それから皐月が泣き止むまで俺はずっとこのままだった。
そして泣き止み皐月はいつもの皐月に戻る。
「アニキ、さっきの無しね」
泣き止んでからすぐに皐月は言う。
おそらくあんなに泣いていたことが恥ずかしいのだろう。
「あぁ。分かったよ」
「ならいい。.......バカアニキ」
皐月はそう言うとすぐに俺の前から自室へと小走りしていった。
俺が3日も居なかった事については触れなかった。
これは皐月なりの優しさなのだろう。
しっかりと受け止めておこう。
「俺も寝るか。明日から、ていうかまだ学校.........って
ヤバいな、無断で3日も学校休んでしまったな」
と1人でぼさくさ呟いた後、俺は自室に行く。
3日ぶりの自室.....こんなに散らかっていたか ?
あぁ。この散らかしようは人が明らかにやっている。
皐月か。そんなに心配してくれていたのか。
俺はベッドの上に散乱したものを一度床に落とし、
そのまま今日は寝た。
明日から学校。色々な事があったが日常というのは
いずれ帰って来る。俺はそう思っている。
水篶や秋葉は凄い心配しているだろう。
あの皐月がこんなに心配していたのだからな。
帰って来た日常は今だけかも知れない。
帰って来た日常を精一杯生活する事にしていこう。
俺は心の中からそう思った。




