月の名同士の衝突・無人島脱出篇part30 “無人島脱出„
俺達が乗る高高度ミサイル型人員輸送機が発射台に到着し、
10秒前...9...8...7...6...5...4...3...2...1...とカウントダウンが
始まり、高高度ミサイル型というだけもあり発射と同時に
凄まじい重力が体に掛かる。だが島 鮮科せんせーは絶賛キチガイ
モードで、ノリノリだ。他の皆を見ようとは思ったが、
首を曲げる、顔を回す余裕が無い。おそらく皆もそうだろう。
「いえぇぇぇぇぇぇい !!!!!!どうだいこの輸送機はぁ !!
サイッコーだろう !!もうそろそろ喋れると思うけどぉ ??」
と島 鮮科せんせーが言う。確かに発射の時よりは楽になった。
「なぁ、気になったのだが島 鮮科せんせー ?
この高高度ミサイル型人員輸送機の部品はどうするんだ ?
あと今さらだが着地地点も。どうなんだ ?」
「そんなんはぁ、簡単だよー ?部品は日本が見えてきたら
切り捨てる。海にね。あ、ちなみにあそこの島は太平洋に
位置してたんだよぉう ?着地地点はパラシュート降下だよ。
えーと神代君は分かるだろうけど、弓張月市に大きめの公園が
あるって聞いたんだけど ?多分そこ」
「多分ってなんだよ。まぁいい。弓張月航空記念公園か」
などと言っているとまた強い重力が掛かってくる。
おそらく高高度ミサイル型人員輸送機の最高高度に届き、
降下を始めたのだろう。一気に下がっていっている気が
しなくもない。そして部品の分離が始まる。
「パ、ラシュー、ト降下ま、であと、少し」
と島 鮮科せんせーが重力に耐えつつ言う。
俺は聞き流し、一応理解する。文月は...寝てる!?
斬月はコクコクと頷き、山吹さんはコクッと一回頷く。
そして俺達のいる所が分離され空に投げ出される。
いわゆるスカイダイビングだ。そして俺達の下に見覚えのある様な
街が見え始め、大きな公園が見えてくる。弓張月航空記念公園だ。
「とぉぉぉぉぉちゃぁぁぁぁぁぁくっ !!!!!」
と島 鮮科せんせーが言い、地面に足を着けたと同時に
島 鮮科せんせーは地面に突っ伏す。
俺はパラシュートを操作して、楽々と着地。
文月はかっこよく着地しようとして尻餅をつく。
斬月は俺と同じ様に軽く着地して見せる。
そして最後に足を着けたのは山吹さんで
山吹さんはオドオドしながら弓張月記念公園に着地した。
「帰って来たな。文月、斬月、山吹さん」
と俺は島 鮮科せんせーから背を向けて言う。
皆はコクコクと頷き、目が合う。
「ねぇ。神代君、無視はひどいじゃないか。
さて、君達を送る事は完了した。私は自分のラボに帰るとする。
君達も気をつけたまえ。あと神代君、後日私のラボに来たまえ。
いいね ?」
と冷静な方の島 鮮科せんせーが言う。さっき地面に突っ伏したのは
入れ替わっていたのだろう。あと連絡先は一応交換している。
「あぁ、分かったよ。俺達も帰るよ。水篶や秋葉が心配しているからな」
「そうか。では私は失礼するよ。あとパラシュートはこのままでいい。
長門 嘉月君が片付けてくれるそうだからね。じゃあまた会おう」
そうして島 鮮科せんせーは白衣を揺らし、白い髪を揺らし、
華麗に去った。島 鮮科せんせーは長門 嘉月の連絡先や五十嵐 喰月も
知っている。友好的とまではいかないが関わりがあった方が良いだろう。
俺達、月の名の持ち主の事を俺達以上に知っているしな。
そんな事を俺は考えつつ、文月、斬月、山吹さんの全員で
帰路に着いた。




