月の名同士の衝突・無人島脱出篇part10 “現状、現在位置の把握„
文月達と合流するにはまず現状の把握と現在位置の
予測、及び推理をしなくてはならない。
「斬月、なに見えるか ?」
なのでまず、この辺一帯を知るべく小柄な斬月に木を登らせ
高い所から観測する。
「先輩、ここはどうやら盆地みたいです。
それでここが丁度真ん中の端。つまり上部です。
そして僕達が居るこの場所の真反対に池がありますね」
となるとここから右か左に行くのが良い選択か。
「あ、先輩 !!右側から煙が出てます !!」
「それは火事か ?」
「いえ、煙の濃さから見ると焚き火かもです」
「よし、斬月降りて来ても良いぞ。その右側の方に行くとしよう」
「はい。先輩」
斬月が降りて来た後、俺達は滝を背にした右側に行くことにした。
しばらく森林が続くため斬月に日本刀で木に傷をつけてもらい
目印とした。そして山のふもとにたどり着く。
滝から少なくとも何キロかはあった気がする。
同じ月の名の持ち主に会わなかったことは良かった。
「ふもとにたどり着いたのはいいですが先輩。どうするんですか ?」
「どうするってなんだ。登るに決まっているだろう」
「マジすか」
いつも敬語の斬月が敬語じゃないということは山を登るのが嫌なのか ?
だが登るのが今出来る最善の選択だろう。
「あぁ。登るさ」
「本当にですか。山ごと切っちゃダメですか ?」
「出来るのかそんなこと」
恐ろしい事を言う奴だな。
「水だけ切れたんですからやろうと思えば出来る気が...」
「出来ることなら見たいところだが、今そんなことをすると
同じ月の名の持ち主が来るだろうから、止めておこう」
「分かりました。ではそこの木で我慢します」
そう言うと日本刀を素振りする。
「ハァアァアアアアア !!!!!」
掛け声とともにそこにあった木をは素振りで切れた。
「やっぱり斬月は才能という能力、ものにしているな」
「確かに普通じゃないというのは分かってますが、
その才能という能力とは何ですか ?」
「そういえば話していなかったな。山を登る前に話しておくか」
「はい。お願いします」
「簡単に言えば今使った普通じゃない、不思議な力の事なんだが
俺の顔見知り、さっき来た青い髪で女の子の2人組が言っていただろ
政府直属超能力者特別研究開発機構人造超能力者研究開発局とか言う
長ったらしい名前の。そこの元メンバーの奴が、才能という能力が
どうたらこうたら、と言っていたんだが」
「はい」
「俺はこう解釈してるんだ。詳しい事は分からんが
人間には誰にも才能がある。その才能が俺達、月の名を持つ者の
場合だと超能力になっているんじゃないかと。斬月なら剣道。
俺が前に巻き込まれた弓張月学園の時にいた奴は変装。
そういうことなんじゃないかと俺は思っているという訳だ。
分かったか ?斬月」
「はい。分かりました。ですが1つ聞きたいのですが」
「ん、言ってみろ」
「先輩、神代先輩の超能力 ?才能 ?は何ですか ?」
「それは.......俺にも分からないんだ」
「先輩はさっき弾丸をこの日本刀で切ってましたが
僕と同じっていう訳でも無さそうですし.......。
まぁ、いいです。ですが先輩の才能はただものではない、
ていう感じがしたので大丈夫ですよ」
「なんだそれ。まぁ、いいか。よしこの山を越えるぞ斬月」
「はい。先輩 !!」
俺達は文月達と合流するため、まずはこの山を越える。




