月の名を抹消する者篇part9 “来週やって来る転校生„
次の日。授業をいつも通り受け、部活に顔を出す。
そういえば最近部活に行って無かったな。
「ウース。文月。部活に来た、んだが ?」
あれ、何だこの光景。文月と山吹さんがイチャついてる。
「あ、えっとこれはだな睦月........」
弁明する文月をさておき、俺は一歩下がりドアを静かに閉めた。
「オイオイ、待ってくれって睦月」
文月が勢いよくドアを開けて言った。
「ハイハイ。俺は何も見てないから」
「うむ、なら良しとする」
「んで、文月。今日は何をするんだ」
「それはだな................」
「読書」
珍しく山吹さんが答える。
「えぇ、それは無いって。令月っちゃん」
「気安くちゃん付けしないで」
「えー。別にいいじゃないかぁ ?」
「ほうほう、またイチャつくのか。じゃあ俺は失礼します」
と俺が言ったと同時に部室のドアが勢いよく開く。
「ゴメン、遅れちゃったぁ。って何もやってないか...」
「あぁ。何もやってないぞ、水篶」
「私はただ読書してるだけ」
「んで文月が令月とイチャついてるということだ」
「違うって、俺は部長だから部員を気にして当然だろ !」
ふと思い出した俺は口を開く。
「そういえばだな、文月。部員が1人増えるかも」
「本当か ?誰々 ?」
「文月もよく知ってる奴だよ」
「まさか...............」
「あぁ、そのまさかだ」
「え、誰々 ?睦月くん。誰 ?」
「私は読書好きな人が良い」
「えーと誰かってここで言いたいとこだけど来週まで
俺は何も言わないぞ。なにせ転校してくるからな」
「嘘、アイツがか ?」
「何で文月はビビってるんだ ?」
「睦月は分からないだろうが、アイツ俺と話すときと
睦月と話すとき、明らかに態度が違うぞ ?」
「ハハハハッ。確かに。何なんだろうな」
「笑い事じゃないって」
「駄目だ、私。話に着いていけないやぁ」
「同意」
「令月ちゃんも ?」
「うん」
「まぁ、あれだよ。水篶、俺と文月の幼なじみが転校して来るんだ」
「ふーん」
「なるほど。ちなみにその子は読書好き ?」
「あぁ、図書館よく行く奴だよ」
「仲良くできそう」
「あぁ、来週宜しくな」
今日の推理小説部は来週やって来る転校生の話題で持ちきりだった。




