月の名を抹消する者篇part6 “人ではない何か„
学校を終えた俺は秋葉から聞いた場所に向かっていた。
「えーと赤雪駅前の通りを出て........。
裏通りにと。えーと、あ、あれか」
確かに寂れた通りに似合わない、小綺麗な
それも大きなビルが建っていた。
そもそもこんなビルあったのか。
まぁ、俺は弓張月に住んでるから分からないのも
仕方がない事だ。
えーと秋葉から聞いた通りだとこの辺で
目撃証言があったらしいんだが。
「ン、あれは !?!?」
俺の視線はその小綺麗なビルの入口に向いている。
何故ならビルから1人の女子校生が出てきたからだ。
こうしてはいられない。
俺は出てきた彼女に駆け寄る。
「いきなりで悪いんだが君さ、紅 秋葉ていう子知らない ?」
彼女はこちらを見る。
それも輝きの失った暗闇のような眼差しで。
「く、れな、いあき、は ?」
彼女が発した言葉は片言だった。
「あぁ。紅 秋葉ていう子だ」
俺がそう言うと彼女の頬に涙が流れる。
「う、ん、わぁが、るよ?お、なじがっごう..............」
じゃあこの子が秋葉の言っていた朝月って子か?
そうすると俺の目の前にいる、おそらく朝月という子が
頭をおさえ、まるで何かに操られているかの様に
うめき始めた。
「う、アアアアアアアァアァアァッッッッッァァァア !!!」
彼女は俺に襲いかかってきた。
俺は彼女の両手をおさえ、地面に押し付ける。
「オイ、どうなってんだ.........これ。人だよな............ ?」
彼女は未だにわめき、暴れている。
「あぁ、君が今おさえている朝月という子は
もう、“人ではない„いや、人の姿の操り人形というところか ?」
いきなり誰かが後ろから話しかけて来た。
「お前は誰だ !!」
俺は朝月を離し、話しかけて来た奴から距離をとった。




