“実妹 one'srealsister„
2015/4/12(日)改稿。
2015/10/22(木)再改稿。
「ん、朝か…。眠いな……」
寝るときにカーテンを閉め忘れていたからか、中途半端に開いたカーテンの隙間から強い朝日が差し込んでくる。その日差しから逃れるように視線を時計の方へと向けると時刻は午前十一時で、曜日は土曜日。つまり、早起きしている訳なのだが改めて考えるに、今起きる必要はない。
俺は布団を整えなおし、目を再び閉じた。
だがその時、下から勢いよく階段を駆け上がってくる音が聞こえてくる。これはもう二度寝は出来そうにないと、心から察した。
「バァァァァァカァッ、アニキィ……ッ!!!!」
その声は朝からご近所に迷惑をかけてしまうくらい大きく、
更に部屋にそれが反響し、爆音と化したため思わず耳をふさいだ。
さて、状況を整理して俺が今目撃している光景について考えてみよう。
内鍵が掛かっていた筈のドアがものの見事に横たわり、その隣で一人、凄い怒りのオーラを身に纏いつつ仁王立ちする少女が一人。 そう、その少女とは俺の妹である神代皐月だ。俺はどうにかして怒りのオーラを弱めてやろうと笑顔を作ってこう言った。
「お、おはようございます」
だがどうしてだろうか、これを言ってからというもの、皐月の怒りのオーラが黒く染まりあがったように感じる。きっとそれは気のせいだと、俺はそう信じることにした。
「はぁ? おはようございます、だって? もう時計の針は十二時に向かっているというのになんだい? これは。それでもおはようございますというのかバカなアニキは、えぇ???」
俺の信じた気のせいは一瞬にして崩れ去った。
どうやら皐月はかなり怒っているらしい。
「え、えーと一応聞くが……今日何かありましたっけ?」
そう言うと更に不機嫌さが増していく。
このままではいけない。このままでは後がない。
「スイマセン、皐月さん。今日何かご予定が御座いましたでしょうか?」
不機嫌モードの皐月が口を開いた。
「へー、アニキってばそんな態度取っちゃうんだ。これはこれはタダで済むはずがないよねぇ?」
俺は黙って、こくこくと頷く。
「今日、買い物に付き合ってくれるって話を忘れているはずがないよねぇ?」
俺はこれに対しすぐに、いいえ、たった今思い出しましたと返答。
その返答に感づいていたのかすさまじい速度の蹴りが
顔面に入った…筈だったのだがつい、受け止めてしまった。
「な、なによ……!?」
「あ、本当にごめん。これは蹴られるべきだったよな……、ごめんな」
俺が真摯に謝るとそれが伝わったのか不機嫌モードは終わり、少しふてくされながら皐月は言葉を続ける。
「ええ、そうね。今のは素直に蹴られるべきだったかもだけど……なんか今回はもういいや。気にしないで。……じゃあ下にいるから」
「あぁ、悪いな。今準備するよ」
あまりよく覚えていないのだが…、皐月と買い物に行くことになった。