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脱出不可能  作者: 風雷寺悠真
第16章月夜見島騒乱篇
223/250

“崩壊した建物からの脱出 escape from the collapsed building„

「ツッ………ッ!!」


 このままではいけない。先ほどまでは足場になっていたはずの床がまるで“仕組まれていた出来事„の様に次々と崩れていく。俺は迷わず無事な足場へと飛び移っていくが建物は爆破解体されていくかの如く崩れることは止まらない。


「クッソ………ォッ!」


 足場であった床という床が崩れていく中、建物を支える基礎となる柱は残存していることに目を向け、俺はそこに張り付く。だがやがて建物の床は階層全て消え去り、残ったのは柱のみ。このまま張り付いていたところで力尽きて落下死するだけだ。俺のこの体力が保てている間に打開策を見出さなければいけない。


 親父が生きているかを確認しておきたいがその手段は見当たらない。だが親父は旧世代の能力者であり残存者。親父の持つ能力について聞くことを忘れていたがあの親父の事だ、こんなところでくたばる筈はない。


 俺はこれまでやってきた脱出ゲームと同じ感覚で周りを見渡す。そうだ、これも脱出ゲームじゃないか。辺りにはそり立つ建物の支柱達、その間には床は無く、まるで遥か高い断崖絶壁に張り付いているかの様だ。そんな状況を打破するにはどうしたら良いだろうか。


 …下までこのまま張り付きながら降りていくか? 


 いや、それは流石に体力が持ちそうにない。


 …じゃあ能力を使って他の高い建物に飛び移るか?


 それも普通なら可能なんだろうが、この近辺の建物は低い建物ばかりだ。


 …ではどうする?


 俺は必死に頭を動かす。だが考えている間にも張り付いている手足には相応の疲労が痺れとなって現れ始める。このままではどちらにしろ落ちる。


 …落ちる?


 そうか、俺は先ほどからどの様に降りていくかしか頭の中に無かったがそれは間違えだ。降りるのではなくまずは登ることが正解だ。俺はそう考えると同時に体を既に動かし、柱の先端部へと身を乗せる。


「まずは一息。…問題はここからだ」


 そう、俺と親父が居た場所は最上階。単純に建物を支えていた柱の先端にはそう遠くないのだ。


 五階の高さを能力者とはいえジャンプしたら死んでしまう。それは俺の場合、着地の際に掛かるダメージを軽減・無効にする能力を発現出来ないからであり、発現できているならとっくにやっていることだ。俺の“能力という才能„はそういうところが弱点の様だ。能力を引き出す力を持っていても、何か感化されるような事が無ければ、つまりは何か起きることが無ければ何も出来ない。


 俺はその時、長門嘉月から言われていたことを思い出す。

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