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脱出不可能  作者: 風雷寺悠真
第15章原初の三日月篇
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“いざ月夜見島へ Let'sgo Tsukiyomi Island„

 斬月ざんげつと対等の力を持った人造能力者との決着を

つけた俺はボロボロになりながらも多摩川を上流から流れに流れ、

ようやく海の見えるところまで下ってきた。近くには飛行機が空に向かう

姿が伺える。そう、やっと空港の近くまで来たのだ。


 話によるとこの付近の埠頭に例の超高速潜航艇とやらがあるらしい。

俺は流れに身を任せるのを止め、すぐに岸へ向かって泳ぐ。

だが空港の近くともあり警備も厳しい。だが陸の警備よりどちらかというと

空の警備の方が厳しいと言える。


 それは何故か、理由は単純で岸の方には固定監視カメラが

設置してあるだけで多くの監視ドローンが伺えるからだ。

そして警備兵の様な人影はちっとも見当たることはない。

 この辺りは最近再開発で海に面する倉庫類が増加したことで複雑な構造に

なってしまい、人員を警備として配置するには量を必要としている。


 この状況を打破するために奴らは考えたのだろうな、上空から

見てしまえばいいと。確かにどんなに複雑に道が絡み合っていようと

上から見てしまえば人員をわざわざ割く必要もない。


 だがこれに目を付けたのがあのしませんかせんせーだ。

彼女は監視ドローンの徘徊ルートを割り出し、なおかつ固定監視カメラの

場所もどうやったのかは不明だが把握し、最適な埠頭の倉庫をそれまた

どこから出してきたか分からない不透明な金で買い取っていた様で、

今回の超高速潜航艇をもそこに隠している。


 つまりはここまでたどり着く事が出来ればもうこちらのものなのだ。

俺はあらかじめ指定されていたルート、下水道口から埠頭の用水路へと出る

ルートを辿り、監視の目に入ることなく超高速潜航艇のある倉庫へと到着した。


 周りを見渡し、何もないことを確認してから中に入る。

すると何も言わずにすぐ目に飛び込んでくる。見せられた画像通りの物が目の前に。


「………ッ!」


 俺は息をのむ。いざ近くで目にするとここまで異様で異質、近未来感が

溢れすぎるものなんてあるのかと驚きを隠せない。


 超高速潜航艇は上から吊り下げられており、下は掘り下げられていて水がある。

恐らくここからそのまま発進できるような造りになっているようで

その先の大きなシャッターからは波打つ音がかすかに聞こえる。


 俺はその超高速潜航艇に歩み寄る。するとある音声が倉庫内に響く。


「生体反応確認。これよりパイロット認証モードに移行…」


 そう聞こえたかと思うと吊り下げられていた超高速潜航艇が丁度いい

高さまで下がり、搭乗口までの階段が出現する。


「これに上れってことだな…?」


 半信半疑で上るとそこにはパスコード入力のタッチパネルが。

俺は迷わずしませんかせんせーから伝えられていたものを打ち込む。


「パスコード確認………認証。次にパイロット登録に移行」


 タッチパネルの表示が変わり、薄い手形が表示されている。

言わずもがな手をここに合わせろということだろう。俺は指定されたまま手を出す。


「パイロット登録………完了。これより発進シークエンスに移行。

パイロットは直ちに搭乗すること………繰り返す…パイロットは…」


 そう音声が鳴ると搭乗口が開く。水圧に耐える為か、非常に分厚い

ドアが下から上がるように開き、俺はそこに肩を縮めながら入る。


 俺が入り切ったのを確認したのか、ドアは直ぐに締まり、空気の抜けるような

音を出しながら綺麗に外の光は見えなくなる。


 その瞬間、内部が起動。後部には全身を固定するような造りの搭乗席があり、

前面には大型モニターがあり、各部の外の様子が映し出されている。


「モード:自動操縦 目標地点:月夜見島 発進まであと:149秒」


 そう大きく表示されているモニターを見て、少し焦りながらも搭乗席に

座ると自動で足を固定され、腹部も肩も固定される。それほど強い重力を伴うのだろう。


「発進まであと:3………2……1…」

 

 カウントが終わり、大きな騒音を出し動き出した。

この大きな音はシャッターが開いた音だろう。この先どんな騒音が出ようと

知った事ではない、なにせ音速の世界を体験するのだから。


 俺は歯を食いしばった。


 今行くぞ………月夜見島。


 待っていろよ………親父。

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