“月夜見島 Tsukiyomi Island„
「それはね、再開発地区が作られた時の削り取られた大地で形成された人工島だよ」
と確かに紫月さんはそう言った。
これは過去との因縁なのだろうか。再開発地区もとい大崩壊地区の土で
作られた人工島に向かうことになるとは。だが紫月さんの言っている人工島は……。
「その人工島って確か研究者とか権力者、富豪しか入れない様な機密レベルの高い所だった気がしたんだが。島全体に厳重警戒を敷いているとも聞いたことがある」
「あぁ、その通り。この人工島は通称、月夜見島とも呼ばれていてその名の通り、月の出る夜でさえ見張りがうろつくという、選ばれた者しか入れない場所だ。ちなみに第二再開発地区とも呼ばれている」
月夜見島、第二の再開発地区か……。
「でもなんでそこに親父が居るんだ?」
「どうやら君に見せたいものがそこにはあるみたいだよ?」
見えない目的の為に機密レベルの高い所に来いと。
じゃあ親父はどうやって入ったんだ?
「分かった。じゃあどうやって行けば良いんだ紫月さん」
そう、行くべき所は絶海の人工島だ。簡単には行くことは難しい。
「そんなものは専門外だよ、しませんかせんせーがどうにかしてくれるさ
……だって天才じゃん?」
紫月さんはぶっきらぼうにそう言った。
「そんな投げやりという事は紫月さんには
考えが浮かばなかったという事でオーケー?」
それに紫月さんはコクコクと頷く。
「分かった……しゃあねえから行くさ。紫月さんはどうするんだい?」
そう言うと紫月さんは文月を見やった。
「君のレベルに文月君が追いつきたいと言っているから
それに付き合うさ」
俺のレベル? それは一体どういう事だ?確か長門が島鮮科が新たに与えた力とかなんとか言っていた様な気がするがそれが関係しているのだろうか。
その時、俺の脳裏に浮かんだのは過去の記憶の一部である、
月の石の生成についてだ。
「君はまだ使えないだろうが、その力大切にしなよ? さぁ、行きな?」
紫月さんが何か知っていそうだったがその調子だと教えてはくれなさそうだ。
「あぁ、じゃあ親父の所に行ってくるさ……紫月さん、文月」
俺は紫月さんと文月に背を向け、月夜見島を目指すべく
しませんかせんせーにまた、合流する。




