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脱出不可能  作者: 風雷寺悠真
第15章原初の三日月篇
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“月夜見島 Tsukiyomi Island„

 「それはね、再開発地区が作られた時の削り取られた大地で形成された人工島だよ」

 

 と確かに紫月しづきさんはそう言った。

これは過去との因縁なのだろうか。再開発地区もとい大崩壊地区の土で

作られた人工島に向かうことになるとは。だが紫月しづきさんの言っている人工島は……。


 「その人工島って確か研究者とか権力者、富豪しか入れない様な機密レベルの高い所だった気がしたんだが。島全体に厳重警戒を敷いているとも聞いたことがある」


 「あぁ、その通り。この人工島は通称、月夜見島つきよみじまとも呼ばれていてその名の通り、月の出る夜でさえ見張りがうろつくという、選ばれた者しか入れない場所だ。ちなみに第二再開発地区とも呼ばれている」


 月夜見島つきよみじま、第二の再開発地区か……。


 「でもなんでそこに親父が居るんだ?」

 「どうやら君に見せたいものがそこにはあるみたいだよ?」


 見えない目的の為に機密レベルの高い所に来いと。

じゃあ親父はどうやって入ったんだ?


 「分かった。じゃあどうやって行けば良いんだ紫月しづきさん」


 そう、行くべき所は絶海の人工島だ。簡単には行くことは難しい。


 「そんなものは専門外だよ、しませんかせんせーがどうにかしてくれるさ

……だって天才じゃん?」


 紫月しづきさんはぶっきらぼうにそう言った。


 「そんな投げやりという事は紫月しづきさんには

考えが浮かばなかったという事でオーケー?」


 それに紫月しづきさんはコクコクと頷く。


 「分かった……しゃあねえから行くさ。紫月しづきさんはどうするんだい?」


 そう言うと紫月しづきさんは文月を見やった。


 「君のレベルに文月ふみづき君が追いつきたいと言っているから

それに付き合うさ」


 俺のレベル? それは一体どういう事だ?確か長門ながと島鮮科しませんかが新たに与えた力とかなんとか言っていた様な気がするがそれが関係しているのだろうか。


 その時、俺の脳裏に浮かんだのは過去の記憶の一部である、

月の石の生成についてだ。


 「君はまだ使えないだろうが、その力大切にしなよ? さぁ、行きな?」


 紫月しづきさんが何か知っていそうだったがその調子だと教えてはくれなさそうだ。


 「あぁ、じゃあ親父の所に行ってくるさ……紫月しづきさん、文月ふみづき


 俺は紫月しづきさんと文月ふみづきに背を向け、月夜見島つきよみじまを目指すべく

しませんかせんせーにまた、合流する。

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