月の名の持ち主と人造能力者達の衝突篇part25 “二人の結末 Two of ending„
「あぁ...そうだな睦月。この戦いを終わらせようか」
文月も俺も言葉に同調してきた。
「俺はこの一撃に...賭ける...ッ!」
俺はへし折れた月の石の大剣を手にとった。
「ならば俺もそれに敬意を持って、この月壊参式“詠„の全てを
出し尽くす...覚悟は良いな?俺も、全力だ...ッ」
文月の乗る月壊参式の形が変わる。いや、装甲部分が削ぎ落とされていく。
そして内部が白く光り輝いていく。
「驚いたか...?これがこの機体の最終形態、
月壊参式“月詠„...ッ!!この形態は月の名の能力者の未来を99,9%で
予知をする...ッ!今までの形態では80%だったところをな...ッ!」
99,9%か...。ほぼ100%じゃないか。
これでは普通敵うはずが無いよな...。だが俺は違う。
「俺は不可能を可能にしてみせる...ッ!
だから俺は...その残った0,01%に賭けるさ文月...ッ!」
「哀れな...ッ!」
俺は片手に折れた大剣を携え、前へと飛んだ。
文月も迷わず正面からその月壊参式に装備された1本の大きな剣を向け、
前へと凄まじい速度で飛び込んでくる。
...だが俺の繰り出したその攻撃は届くことはなく。
...文月の繰り出した大きな剣は背部から俺の左胸を突き刺していた。
「グッ....ハッッッァ!」
俺は口から次々と血を吐き出した。
...心臓を貫かれたのだ。
「文月...お前...」
俺は言葉を淡々につなぎ合わせ、なんとか口にした。
「睦月、お前の負けだ」
文月は何かを惜しむような、そんな口調だった。
どうやら俺は死ぬらしい。
頭の中でこれまでの思い出が浮かんでくる。
「...ハハハハッ、これが...走馬灯というやつかよ」
俺はそこでまた血を吐き出し、言葉を紡ぐ。
「とでも...言うと思ったか文月?俺はただでは死なない...ッ!」
俺は力が抜けて、開いていたままの右手に拳を作る。
「まさか...お前...ッ!」
文月も感づいていた様だ。
俺はただ折れた大剣を持って特攻したのではない。
途中、大剣を捨てて9発のあの弾丸を文月の月壊参式に向けて放っていた。
...だがそれに文月は気づいていなかったのが幸いだな。
「お前のこの攻撃は...命を以て受け取った。
だから...俺の攻撃も...受け取れ...ッ!」
俺は更に右手の作った拳に力を込める。
すると、俺が月壊参式のパイロット操縦席部分に向けて放った
9発の弾丸が音を立ててニードル状になり、パイロット操縦席部分を
貫通させる。
それは外から見ていてもニードルが突き出ているのが確認できていた。
「ま、さかな...そんな豆鉄砲効かないと思って、いた、のだが
こんな仕掛けが...残って、いた、とはな...流石...睦月だな。
たった0,01%で俺に...攻撃を可能にするとは...」
「グッ...ハァッ...文月、これで終わりだ」
俺の攻撃は0,01%の確率で、文月に届いた。
俺は攻撃を受けること前提でこれを思いついたのだ。
「あぁ...そうだな...だが、睦月...お前もだぞ?」
...文月は笑った。
「あぁ...それも...そうだな」
...俺もそれに対し笑った。
お互いにこの時はいつもの学校生活の時の俺たちだった気がする。
...だがそれももう、終わり。
俺は地に倒れ、力尽きた。
文月は月壊参式ごと爆発四散。
俺たち2人の息は...そこで絶えた。
次回から新章です。
これで脱出不可能は第一部完のようなものになります。
今後とも宜しくお願いします。