月の名の持ち主と人造能力者達の衝突篇part23 “分析と解析 Analysis and analysis„
降り注いできたビルの残骸に向けて俺は月の石の刀で一閃...ッ。
「それが睦月、お前の月の石を自在に操る力か...。
でもね、睦月。それだけじゃ甘いよ?俺には敵わない...ッ」
俺は残骸を斬撃で片付けてから文月の声のしてきた方向へと
更に斬撃を次々と繰り出していく。
だがその斬撃が相手を切り崩すことなく、
更にビルを切り崩し自分に残骸を振り落としているようなものだった。
「おっと...?どうしたぁ?自爆かい?」
文月の笑い声とともにどこからか聞こえてくるのだが
その姿は見えない。
「睦月の動きが手に取るように分かるよ...クフフフフ」
...動きが先読みされている?だと。
俺は再び落ちてきた残骸をなぎ払ったのだがそこから大型兵器が
突如残骸に紛れて出現し俺のことを蹴飛ばしたのだ。
「...ッグア...ッッッ!」
ビルの壁に何枚も衝突、通り抜け数十メートルをも飛ばされる。
体中が痺れる。そしてその体に多くの残骸が突き刺さる。
「ほら?言ったじゃないか。甘い、ってさ。
いつもの敵を相手にするように戦ってちゃ俺には勝てないさ」
文月が大型兵器のスピーカーを用いそう言う。
「文月...お前こそ...何者なんだよ...。その力といい、その兵器といい」
それに対し文月はあっさりと答える。
「そうだなぁ...どうせ睦月に勝ち目はないし、
親友だから教えてあげるよ。俺の力は分析と解析の能力。
君の心理状況やらはこの目さえあれば見て取れる」
文月は自分の目に手を当てた。
「そしてこの目で見た多くの情報は俺の乗る月壊参式“詠„で
データベース化し、行動パターンを推測、確定するのさ。
するとどうだろう...相手の動き、つまり未来が俺には見える。
この月壊参式は特別製でなぁ...俺の為にあるようなものなんだ。
分かったか?睦月。俺には未来が見えるからお前は勝てない」
そうか、そういうことなのか。
文月は分析と解析の力を手にした月の名の持ち主で
それを更に飛躍させ、未来をも可視化する力をその月壊参式で
手にしたということなのか。
「なら...ッ、ソイツを壊しちまえば...ッ!!」
俺は月の石の刀を大きな大剣に。刀がダメでも大剣を大規模に振り回し
攻撃を加えれば、姿が見えずとも当たるはずと判断した。
「喰らえ...ェェェッ!!」
俺は大剣を振り回し、竜巻のような強い風を吹き起こした。
だがそこに絶望的な事が引き起こる。
「無駄だ...。諦めろ」
文月がそう言うと俺の起こしたはずの斬撃の竜巻は既に消えていて。
俺の手にしていた大剣が手から離れていた。
いや、この表現には語弊がある。
...俺の大剣を持っていた左腕が肩から離れ、地に落ちていた。
「グァァァァァ............ッッッ!!」
今までにない痛みが俺を襲い、俺はあまりの痛みに叫ぶ。
そして俺の地面は自分の血の色に塗り替えられていた。