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脱出不可能  作者: 風雷寺悠真
第14章月の名の持ち主と人造能力者達の衝突篇
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月の名の持ち主と人造能力者達の衝突篇part20 “敵は自分 Enemy is yourself„

「ナァ...そんな鈍ら刀でヨォ...オレに勝てるのカァ...?」

そう、俺の前に立つ俺の形をした者が悠長に話しかけてくる。


「ああ、これが...これさえあれば十分だ」

そう答えたがこんなものはフェイクに決まっている。

コイツがどの様に攻勢に出るか、まずは見図らなければ。


「そうかァ...ならヨォ、...死んでくれや」


するといきなり月の石を鋭利な触手状にしたもので全方位攻撃が来る。


 逃げ場は...無い。避けれないと瞬時に判断し、

月の石の刀でその全方位攻撃だろうがそれごと振り払う。


「...ッ!!」

その振り払った後に続いて周辺のビル諸共崩れ去る。


「甘ェ...ッ...!!」

切り払った鋭利な触手はいとも簡単に再生し、

更に数が増えてこちらへと襲いかかってくる。


「チッ...これくらいで殺られる訳には...ッ!!」

俺もそれに対抗して今まで以上に刀を、腕を振り続ける。


俺と俺の形をした奴の間に台風の様な、竜巻の様な風が引き起こる。

その風は周りに落ちていたビルの残骸でさえ軽く吹き飛ばす。


「ラチが空かねェ...ナァ...ッ!!」

更に相手の攻撃の勢いが増す。これは防ぎきることでさえ出来そうにない。

隙あらば反撃してやろうという策略だったが...。


「死ねェ...死ねェ...ッッッ!!」

奴の勢いは凄まじく、収まるはずもなく。


繰り出された鋭利な触手が全て俺の体に突き刺さる。


「...ッ!?」

体中に痛みが走り、立ってはいられず片膝を地面へ落とす。


「フハハハハ...ッ!良い血の匂いだ...。

お前が傷つく度に...お前を傷つけていくたびに...。

...オレはオレになるんだァ...ワカルカ?神代睦月...ッ?」


コイツは俺と同じ形をしていて...。

今の俺より...強い。


「お前...お前は何者なんだ...?」

俺は心に浮かんだその一言を口にする。


「知りたいかァ...?まァ、どっちみち死ぬヤツだ、教えてヤルよ...」

奴は思っていたより早く、自分の正体を口にし始めた。


「オレは...オマエのコピー...模造品だ。

機関がオマエの残した髪の毛一本のDNAデータから生成した人造能力者、

これが...オレだァ。だが模造品だからといってオリジナルのオマエに

勝てないという理由はない...ッ!」


くっ、そういう事か...ッ。

研究開発局はもうそこまで...。


「そして...オレがオリジナルであるオマエを上回る理由は、

オレがオマエの...闇だからだ...ァ。オレは...人殺し、

いや月の名の能力者を殺すのでさえ躊躇わない。だがオマエは

これまで敵となった者を倒していながら...実は心の中に後悔を抱いている。

違うカァ...?」


そうか...、そういうことか。

コイツは俺と違い月の名の能力者を抹殺するために造られた。

その為殺しを躊躇わない。確かに俺は心に後悔を抱いている。


「だから...お前の方が強いっていうのか...!?」

こんな俺の形をした俺じゃない自分に負けるわけにはいかない。


「ソウダナ...。オレは今のオマエよりは強い、これは揺るがない。

オマエがオレに勝つ事は不可能だ」


不可能......か、もう今までの中で聞き慣れた言葉だ。


「俺は...負けない」

そう、その言葉を口にする。


「その言葉には...屈しない」

不可能に屈するわけにはいかない。

俺はもう血まみれになってしまった体を起き上がらせ、刀を上段に構える。


「ムダダヨ...オマエはオレに殺される運命だ。

その運命を変えることなど...不可能だ。オマエはオレより弱い。

その事実を受け止めてもなお、不可能を可能にしようというのかァ?」


「当たり前だ...」

俺は不可能という言葉に負けない。可能に変えてみせる。


「ナラバ...死ねェェェ...ッ!」

もう1人の造られた俺が先ほどより凄まじい勢いで攻撃を繰り出してくる。


コイツが造られたとしても俺は俺だ。

それならば全力でぶつかってみなければ勝てる筈がない。


「喰らえェェェ...ッ!!」

俺ももう1人の俺と同様に咆哮...ッ。

今、持てる力全てを解き放った。

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