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脱出不可能  作者: 風雷寺悠真
第14章月の名の持ち主と人造能力者達の衝突篇
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月の名の持ち主と人造能力者達の衝突篇part17 “第5のメッセージ fifth message„

 やって来たのは弐式が2体に、参式が1体。

そこにもう1つ、腰部に今度は「破」と刻印された機体を含めて計4体。

「破」と刻印された機体とノーマルの参式との相違点はひと目でわかる。


 参式「破」は普通の参式に比べ、装甲が薄い。

だがその分近接兵器が増大されており、足の後部にタイヤが見えたりと

機動性が向上しているように伺える。つまり、先程の「滅」とは相対した

タイプであると言える。こんな相手と戦うのに弐式は邪魔だ。


...俺はいとも簡単に弐式の月の石を素手で溶かし尽くす。


 すると装甲という装甲は無くなり、人間で言う骨の部分や

臓器の部分にあたるだろう、機体を支える鉄筋部分と動作をするための

モーターやバッテリーが諸共露わになる。


 それを剥ぎ取った月の石を大剣に変形させ、小間切れに。

弐式の対処はもう慣れた。残りは参式1体に参式「破」が1体。

だがその参式「破」の姿が消えている。


「どこに消えた...ッ!?」


 参式「破」の姿は背後にも見えない。

「破」と言うのだから破壊やらといった大火力のようなものを想像したが

そうでもないらしい。そんな事を考える余裕もなく、ノーマルの参式が

攻撃を加えてくる。機関砲を撃ちつつこちらに迫り来る。


「...ッ!?」

だが俺がノーマルの参式に傷付けらることは無かった。

その代わりに、俺の真ん前で大爆発が引き起こる。


「グ...ハァッ...ッ!!」

大爆発した参式の破片がこちらへと吹き飛んでくる。

まるでグレネードのように鋭い破片が次々と。咄嗟に月の石を変形させたが

全て防御することは出来ず、体中に切り傷が増え続ける。


そんな爆発の跡から参式「破」の姿が見える。


「...ハハハ、そういうことだったのかよ...」


 参式「破」は両手にチェーンソーのような大きな剣を装備しているのだが

そのチェーンに触れたものはそのチェーン自体に仕込まれた火薬により

大きな爆発を、反動を引き起こすわけだ。


 そしてこの機体はステルス機能、つまり光学迷彩まで備え付き。

チェーンソー型の大剣の応用により地中へ潜ることも可能。


 この月壊参式「破」は誰もが気づかずうちに全てを破壊し尽くす

兵器といったところだろうな。さて、どう相手にしたものか。


 対処としては相手の月壊参式「破」は「滅」と同じで完全乗り込み式だ。

ならばパイロットを引きずり出せば良いだろうが...光学迷彩のせいで

機体の位置が特定できない。だがこの相手の機体の特性を生かせば特定

出来るのではないかと考え、迷わず実行に移す。


 起こした行動は相手のチェーンソー型の大剣で爆発を起こし続けることだ。

俺はわざと月壊参式「破」の注意を引きつけ攻撃をさせる、これを繰り返す。



 するとどうだろう、いたるところに煙が上がり周りが見えなくなった。

これでは自分で自分の視界を潰している、逆効果だと思うだろうが

そんな中であるものがうごめいているのが確認できる。


...月壊参式「破」の姿だ。光学迷彩を発動していようが煙の動き方で

相手の動きや形は明らかだ。俺はまた、わざと攻撃をさせる。


 そして目の前でもう聞き慣れた爆発が起こる。

その衝撃で参式は少し停止し、引き下がろうとする隙が出来る。

俺は隙を逃すことなく、普通ならば見えないその腕に駆け上がっていき、

肩の部分へと到達。それに気づいたのだろうか、振り払おうとしてくるが

もう月の石の装甲部まで手は届いていた。


「これで...終わりだ...ッ!」

装甲を溶かし、重量のバランスが取れなくなった参式「破」は

光学迷彩を解き、チェーンソー型の大剣を地面へと突き刺し停止した。


 そして腰からハンドガンを手に取りトリガーを引く。

撃った弾丸はパイロット搭乗口の鉄製装甲部分に埋まっただけだが...。


 その埋まった弾丸に手を当て月の石をニードル状に変形。

パイロットの無効化を確認した俺はまた、この場を直ぐに逃げるように去った。


「どうせまた...自爆するんだろ...」そう独り言を呟き、

月壊参式「破」との戦いを終えた。


 確かにその通りで5つ目の場所へと向かっている途中、

大きな爆発音が後ろの方から聞こえた。わざわざ特殊な機体には自爆機能が

ついているのは当たり前のようだな。


そして5つ目の場所へとたどり着く。そこに記されていたのは...。


「In order to defeat in earnest」 本気で倒すために。


 それを確認すると敵の奇襲音が聞こえる。...5ラウンド目だ。

俺は覚悟を決め、歯を食いしばった。


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