月の名の持ち主と人造能力者達の衝突篇part16 “第4のメッセージ fourth message„
1つ目が「I cry」私は泣く。2つ目が「and I Rest a feeling」
そして私は心を休ませる...で。そしてこの3つ目が「and I take action」、
そして私は行動を起こす...と。もしかしたらこれは文月が自分自身を
メッセージとして伝えているのではないだろうか。
...何か俺に伝えたいことがあるんじゃないだろうか。
だが俺には分からない。よく考えてみれば長いことアイツと一緒に
居たはずだが、アイツのことを詳しくは知らない。文月の父が政府で
力を持つ優秀な人物である、という特殊な家系だからかだろうか?
そして注目すべきは残されたメッセージだけではない。
やって来た敵の数、種類だ。俺に向かってきた敵はそれぞれ場所によって
違う。1つ目の場所では新型?である月壊弐式が1体のみ。
2つ目の場所では同じく弐式が...2体。そして人型アンドロイドの壱式。
...ではこの3つの目の場所ではどうだろうか。
「グォォォオオオ...ッッッ!!」
また、大きな機械音を立ててからのご登場だ。俺が今確認できる機体数は
全部で4つ。そのうち3つは先ほど戦った時と同じ形をしている。
つまり、弐式と思われる機体が3体居る訳だ。
そこに弐式と同じフォルムはしているものの明らかに違う武装の機体が。
「お前がターゲットか...。殲滅する」その違う武装の機体から確かに
そう聞こえた。そう言ったかと思うと弐式のみが行動を起こし、
攻撃を開始してくる。3方向からの一斉射撃。
俺は一瞬身を低くし力を込め空へと跳ね上がる。
だがその速さに弐式も追いつき、躱しきる事は出来ず逃げ場もなくなる。
弐式3体は空から落ちてくる俺に対して対空射撃を繰り出す。
だが、タダでこっちはやられるつもりはない。
飛び上がる時に1体の弐式から剥ぎ取った肩パーツの月の石で盾を展開。
途中、ボロボロになるも着地に成功。それを違う武装のあの機体は
動かずこちらをただ見ている。この弐式達をもしかしたら操作しているのでは
ないかと俺は盾を収縮させ、槍状にしたかと思うと迷わず放り投げる。
まるで最高速度の弾道ミサイルの如く、槍状の月の石は一閃...ッ!!
とはいかなかった。気づけばその月の石は一瞬で消えていた。
何が起きたか。それは3体居る弐式とは違う武装である、
肩に搭載されている砲塔から、その肩からスラッと伸びる腕から、
指からといたるところに見受けられていた大量の発射口から赤い、
赤い真紅の炎が出る様だった。よく見れば、胸部に参との刻印が。
そして腰部にどうやら、「滅」との刻印も確認できる。
奴ら研究開発局は弐式だけでなく参式、その上位機種でさえ実用化していた
というのか。だが参式見たところ完全に人が乗り込まないといけないらしい。
「マジかよ...ッ」
俺は少し怖気付いた。だがここでは引き下がれない。
「グォォォ!!」
起動音を立てながら近接格闘をしてきた弐式3体に対し、
なんとか攻撃を避けきる。その隙に右手に力を込める。
「...ッ!!」
俺は目を見開き、月の石で出来た所にめがけ力強く振り払った。
その手が触れたところは全て溶け落ちる。そこで弐式3体の金属パーツは
全て露わになる。溶けた月の石を大きな強靭な片手剣へと姿を変えさせ、
斬月の様な、あの力を借りて切り刻む。
剣を振るったその先にある倒壊したビルでさえ木っ端微塵に。
弐式の姿はもう見えなくなった。粉々にしたのだ。見えなくなるまで。
それをただ傍観していた参式「滅」は体勢を立て直し、
全ての発射口を解放し真紅の炎を吹き出した。摂氏何千度あるのだろうか。
俺の目の前の物が、全て溶け出していく。それがこちらにじわじわと
ただただ、ゆっくりと近づいてくる。
...だがこの時の俺は一味違かった。負ける気がしない。
「ったく、ぬるいぜ...」
どれだけ高温を出して近づけなくさせようが、パイロットさえ無力化すれば
機体の機能は停止するはずだ。そして炎を吹き出しているのは前方だけ。
後方はガラ空きな訳だ。
俺は摂氏何千度にも及んでいるだろう炎に向かって走る。
だが途中で勢いよくブレーキをかけて、その反動で上へ。
この時の俺には気持ち悪いほどこの参式とやらの構造が頭に入っていた。
まるで整備しているメカニックの様に。こんなもの作ったやつは
相当な才能の持ち主だ。だが俺には俺の才能がある。
「鍵を開ける力が...ッ、俺にはある...ッ!」
そう、俺は自分の中にある、いや人間だれにだってあるだろう、
1つ1つの才能が詰まっている引き出しの鍵を解錠する。
普通の人間ならばこの鍵を解錠するにはその事1つに没頭し、
やり続けることで才能が開花し、鍵が開くものだ。
だが俺の力である才能という能力、いや能力という才能は
その没頭しやり続けるという時間を必要としない。
「だから...ッ、俺はどんなものであろうと、それが必要なら...倒すッ!!」
俺は参式「滅」の後頭部に飛び乗り、搭乗口の鍵を開錠。
この参式の鍵は後ろから大きなボルトで固定されている様な構造だ。
近代的なカードキーの様な構造ではない。俺は出てきたパイロットを掴み、
放射され続けている炎へと放り込んだ。
...すると炎はピタッと止まった。
生体反応が消えると停止する造りだったようだな。
俺が生き残り、文月に会うためにはこうするしかなかった。
後悔はない。だが何故だろう、嫌な予感がする。俺は早急にこの場を離れ、
次の4つ目があるだろう場所へと駆ける。
向かう途中、大きな爆発音が後ろで起こった。
参式「滅」の自爆だろう。俺の推測ならばまたあそこにはクレーターが
出来上がっているだろうな...。
そして4つ目の場所に。そこに記されていたのは...。
「In order to try you」お前を試すために
それを確認すると休憩なんぞさせる様な暇もなく、
俺に奴らは襲いかかる。