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脱出不可能  作者: 風雷寺悠真
第13章人造能力者研究開発局篇
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人造能力者研究開発局篇part13 “対立する決意、決断„

中に入ると島鮮科せんせーは何台も設置しているモニターを起動し

俺が持ってくることが出来た情報が詰まっている1つのUSBメモリを

差し込み、情報の読み込みを素早く開始していた。


「よし、出たぞ」


島鮮科せんせーがそういうと表示されていたゲージが100%を示し

多くの文面がウィンドウ別に表示され始めた。


「しっかしよくぞまぁ、こんなに情報を取得出来たものさ」


島鮮科せんせーがキーボードを2機を両手で同時に叩きながらそう言った。


「自分でもビックリですよ...」


当初の目的であったことは成し得なかったが、ここまでの情報を取得して

ここに来れたということには自分でもビックリしている。

そして俺はあの双子が脳裏に浮かぶ。


「でもここまで出来たのは1人では出来ませんでしたよ」


あぁ、そうだ。俺はあの時ムーン=スノー姉妹に目を向けられていなかったら

どうなっていたか分からない。


「1人では無かったのか?」

島鮮科せんせーが疑問の表情を浮かべた。


「あぁ、自分の中では1人ではなかったですよ」

俺は敢えて意味の通らない様に返答した。


「さぁ、さぁ一応全てに目を通してみたがこれは非常にまずいぞ、睦月君」

先程までの島鮮科せんせーの表情が嘘のように変わった。


俺はモニターに大きく表示された1つの情報に目をやった。


「月の名の持ち主殲滅及び捕獲作戦 作戦要項」


そう、モニターに表示されている文面はここから始まっている。


「月の名の持ち主殲滅及び捕獲作戦 作戦要項


作戦を行う意義:今後、我が国の戦力及び脅威どちらにも成りうる人材を

野放しにされている人材全て、放置している現状を打破すべくデータベースに

ある月の名の持ち主に是非を問い、場合により次第特殊部隊を編成した後

入隊させる、もしくは殲滅後研究材料にし有効活用する。


上記を行うことにより他国との能力者開発競争に差をつける。


作戦内容:政府直属超能力者特別研究開発機構人造能力者研究開発局と

自衛隊特務部隊との合同編成の大部隊により弓張月市近隣に集中する

月の名の持ち主に是非を問う。


作戦場所:旧多摩地区である大崩壊地区及び近隣地域。

月の名の持ち主による大規模な反発が予想される為近隣地域には

特殊避難警報を発令。


作戦日:10月28日


投入戦力:月壊零式 月壊壱式 月壊弐式 一○式戦車 九○式戦車

     歩兵部隊 強化歩兵部隊 クローン実験体 人造能力者」


俺はこの情報に目を通し言葉を失った。

作戦日がとてつもなく近いのだ。そして実は最近、異変を感じていた。


その異変とは月の名が付く者たちの失踪だ。

少なくとも俺の学校に居た筈の奴らはもう姿を消している。

どこからか情報を仕入れ避難しているのか...?いや、それは有り得ない。


ではどうして...。


深く考えている様子から察したのか島鮮科せんせーが声を掛けてきた。


「君は....どうするんだい?」


その質問に俺は直ぐに答えを導き出せなかった。

俺は...どうしたいのだろうか。勝手な推論だがこの作戦の発案者は

恐らく政府の人間、人造能力者研究開発局と縁がある政府の人間だ。


現にこの文章に“自衛隊特務部隊„とある。

この特務は何の意味を指しているのだろうか。


普通に考えればこれに逆らうというのは国に逆らうと同じに思えるが

実際は違うんじゃないのだろうか。月の名の持ち主だから何なのだ。


俺は納得がいかなかった。このまま人造能力者研究開発局の

言いなりになるのは納得がいかない。だからといってこれで終わるわけには

いかない。じゃあどうしたらいいい...?


そんなもの、簡単だ。


「この計画、作戦を破綻させる」


俺は思いついたかのように、

そして何も考えていなかったのような無心で口に出した。


それを聞いた島鮮科せんせーが分かっていたかのように笑みを浮かべる。


「それでこそ睦月君だ。私も君の考えに同調するよ。なぁに、

幾ら戦力を敵が備えていたところで君たち月の名の持ち主に敵う者は

そうそう無いさ。人数は私が手配しておく、月の名の持ち主で

君の意見に同調するな奴らをな。そして武装の面も任せろ」


島鮮科せんせーはまるで準備していたかのような言いぶりだ。


本当にこの選択が正しいのか、そんな事は分からない。

だがこれから先やってくるのは脱出なんか、逃げることなんか出来ない状況だ。


それは月の名の持ち主の宿命でもあれば、自分が始めた脱出不可能という

脱出ゲームの宿命でもあるのじゃないだろうか。


長門忌月の事だ。俺が人造能力者研究開発局と激突しようが彼は傍観に徹し、

お構いなしに脱出不可能はやってくるのだ。


そう、脱出不可能は身近にあるといっても過言じゃあない。

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