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脱出不可能  作者: 風雷寺悠真
第13章人造能力者研究開発局篇
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人造能力者研究開発局篇part3 “出発の決意„

家に入ると玄関にいつもある俺の靴や皐月の靴の他にも

靴が多くある。見ない靴だ。父さんの靴は見当たらない。

仕事に行ったんだろう。次はいつ帰ってくるのだろうか。

そんな事を考えながら俺は自分の靴を脱いで並べた後リビングに向かった。


ドアを開けるとそこには皐月と仲良く遊んでいる秋葉や水篶、

その隣で大人しくソファに座り本を読む山吹さん。

そしてフローリングの上でなにやら座禅を組む斬月の姿が。

いつもなら居るはずの文月は居ない。父親の仕事の手伝いが忙しいのだろう。


「おぉ、バカアニキが帰ってきたぞッ!」

皐月が言い放つ。それを聞いた皆が「お邪魔してるよ」と会釈してきた。


「おぉ、ゆっくりしてけな」と俺は返し、自分の部屋に向かった。


わざわざ帰ってきたのは携帯を忘れていたからである。

何かあった時のために連絡を取れるし、写真や動画も撮れるからだ。

そしてその携帯を履きなれているカーゴののポケットに突っ込み、

置きっぱなしだった月の石をカバンに詰め込み部屋を出た。


部屋を出るとすぐ横の壁に斬月が寄りかかっていた。


「先輩、どっか行くんでしょ?」


まさにその通りだ。


「行かないと言ったら嘘になるな」


俺は曖昧に言ってみる。


「じゃあ自分も先輩についていきますよ」

斬月はそう言った。それも譲らないぞと言っているかの様な表情で。


「俺が今から行くところでも分かるのか?」

真剣な表情の斬月をからかってみる。


「それは...分かりません。でも先輩、なんか死にに行くように見えます」


「はははっ、そんな風に見えるか...。まぁ確かに相手が相手だからな」

そう、相手は政府直属の研究機関。つまり国の裏側全てを相手にしている

様なものだ。普通の人間ならば知りえない機関に乗り込もうとしているわけだ。

生きて帰って来れるとは言い切れない。


「先輩はなんでそんなに突っ込んで行くんですか...ッ。

そんなに皐月ちゃんや錦織先輩、紅先輩を心配させたいんですか...ッ!」


あぁ。その通りだ。斬月は間違ったことを言ってない。

別に人造能力者研究開発局なんかに首を突っ込もうが突っ込まなかろうが

何も変わらないかも知れない。行けばただただ皐月や秋葉や水篶、

仲間が心配するのは分かりきってる。でも月の名の持ち主の謎が

分かってきた今だからこそやるべき、行くべきだと思うんだ。


「すまない、斬月。俺は行く」

「そうですか...。僕を置いて行く程の事なんですね...分かりました」


斬月は俺に背を向け去っていった。


俺はその後、リビングを何事も無いように通り抜け

玄関を何も言わずに出て行った。

時刻は8:45分。今晩中に謎を解き明かす。今、何が行われているのか。

そして人造能力者研究開発局の全てを。

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