人造能力者研究開発局篇part1 “本人の元へ„
週末の土曜日。特にやることも無かった俺は父さんから聞いた話を
ある人物に問い詰める為に太刀川市に居た。
そして前に来たように太刀川駅から少し歩き、電車下を通る地下道を進む。
その後そこから見えてくる大きなビルの屋上へとたどり着いた。
今日は酷く風が冷たい。空は鉛色でずっと外に居たら凍えて死にそうだ。
もう秋の終わりだけあるんだなと実感する。
まぁ、この屋上に居るというのもあると思うが。
さて久しぶりに来たが今日の入口はどこなんだろうか。
島鮮科せんせーのラボは防犯対策やらなんやらで入口が毎回違う。
前は確か花瓶の中だったかな...。
周りを見渡すと前々は見かけなかった物が。
「なんだよ、これ」思わず口に出てしまった。
その見かけないものとは「今日の入口は屋上から行けません」と
書かれた看板だ。そんなのありかよ...と思ったが...。
「おうおうっ!そこに居るのは神代君だねっ!?今開けちゃうぞぉ」
インターホンから大音量でそう言うのが聞こえた。
しばらく待っているとドア、見せかけのドアの下の床が抜け落ち
入口になった。全くどんな仕組みなんだか。
「さて、わざわざアポなしで来たという事は何か訳があるんだよね?
神代君はアポとかしっかり取る真面目さんだと思うしねぇ!!」
「あぁ、ちゃんとした理由があって来たんだが、悪いか?」
「やっぱりやっぱしぃ???」
キチガイの相手は疲れるな、本当に。
「なぁ、訳あって大事な話だから今後に関わる話だから真面目に
やってくれないか?キチガイじゃなくて」
ちょっと頼んでみることにしてみた。すると。
島鮮科せんせーは「お~け~ッ!」と言うと地べたに倒れた。
そして少し経つとヌクっと立ち上がりメガネをかけた。
「やぁ、神代君。私に用かい?」
どうやら本当に真面目な方が来た様だ。
「あぁ、そうだ。島鮮科せんせー本人に人造能力者研究開発局の事、
全部吐き出してもらおうと思ってな」
「...............................」
島鮮科せんせーはしばし口を閉じた。
「................吐き出すのか?」
「冗談はいい。全部知りたいんだ。覚悟は出来てる」
そしてまた島鮮科せんせーは黙ったが。口を開いた。
「そうか。じゃあ私が居たあの時の話をしようか。
それが私が知っている事だ。今何をやっているかは少ししか分からないしな。
それでもいいなら話そうか」
俺はその言葉に頷いた。




