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脱出不可能  作者: 風雷寺悠真
第12章新生脱出不可能の始動篇
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新生脱出不可能の始動篇part3 “自分を知る為の試練 „

全ての授業が終わり、家に帰り、ご飯を食べて寝る。

そして朝が来るという普通の日常を長門忌月から渡された

手紙に記されていた土曜日、という日にちまで繰り返した。


正確には金曜日の夕方までの記憶しかない。

何故ならば今、過酷な現実を目の当たりにしているからだ。


大きな屋敷だろうか。お城だろうか。

そんな洋風な階段が今居るエントランスホールに左右対称にあり、

多くの部屋のドアが見える。


何故ここがエントランスと思えるか、理由は簡単だ。

俺の後ろには大きな門のような入口らしきものがあるからだ。

だがその入口は固く閉ざされている。


その入口の前で俺は今、起き上がったのだ。


これが長門忌月の言っていた「鍛えてあげるよ」の意味なのか。

それともこれが新生脱出不可能なのか。それは分からないが

本人が今から説明してくれることだろう。


起き上がると横にタブレット端末があるからだ。

電源は...入らない。恐らく遠隔操作されているのかもしれない。

そう思っていたとき、タブレット端末は起動した。


「やあ、神代睦月。繋がっているか?」


どうやらテレビ電話の様だ。映っているのは長門忌月本人。


「ああ、嫌というほど映っているよ。これがお前の言っていた事か?」

「そうとも、その通りさ。何か気に食わないことでも?」

「いいや、気に食わないことはないがお前が気に食わない」

「それはどういうことだ?」

「俺を鍛えるだとか、あからさまに見下しているからだよ」


俺は長門忌月に敵意の念を送った。


「あぁ、そういうことか。君が対等なレベルに達したら

改善してやらんこともない。正直に言おう、君はまだまだだ」


「それは俺が自分自身を把握してないから言っているのか?」


「そうだとも、君は自分の力を把握していないから弱いのだ。

兄はそんな君に倒され、行方を失った。僕にとっては恥だ」


「自分の兄までも愚弄するほどの実力がお前にはあるとでも言うのか?」


「ああ、少なくともな。君が僕のレベルには達していないのさ。

だからこうして手助けしているんじゃあないか。君は神無月も

取り逃がし、その付き人の2人組とも引き分けだったそうじゃないか。

君には相手を圧倒する力を持っているのに把握していない。

宝の持ち腐れだよ全く。手はかかるが君を鍛えたほうが今後楽しめる

と思っていてね。君への挑戦であるといっても過言ではない脱出不可能も、

君が持つ運命でもある“月„の意味もね。

全てを勝ち進めばいずれ分かるだろうさ」


「.........ッ!」

奴の言うことは正しい。言葉が出ない...ッ。


「どうやら言葉を詰まらせたみたいだね。じゃあこの話はもういいね。

この君へのトレーニングのルールは簡単。この古城から脱出すればいいさ。

ただそれだけだ。君なら必ず脱出できるように出来ているが

今の君じゃ...とんでもない時間が掛かりそうだからこの古城にある

厨房に多くの食料を用意しておいた。まぁ、ゆっくりやるがいいさ。


では......次会えることに期待でもしておこう」


長門忌月とのテレビ電話は奴の一言により終了した。

とんでもない時間が掛かるとはどういうことなのか。


それはまだ分からないがとりあえず脱出しなければならない。

まずは探索だろう。俺は電源の落ちたタブレット端末を静かに

床に置き、探索を始めた。

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