“犯人からの言伝 Message from a criminal„
2016/1/22(金)改稿。
学習室のある旧校舎は二年校舎の三階を通り過ぎた先にある
渡り廊下を渡れば着くのは知っていたので俺達は一年校舎の三階から
二年校舎の廊下を抜けた、渡り廊下へ。
この渡り廊下は外に面しているのだが高さが結構あるため使わない人も多い。
いつもならば手すり部分の外側の壁面に非常梯子が設置されているのだが
外された様な跡があり、そもそも周りを防音の布を纏った足場で覆われているためにここから出ることは叶いそうにはない。
そして俺達は不気味な雰囲気を醸し出す学習室を目の前にする。
確かに言われていた様にドアだけでなく空気の入れ替えをするためにある
天井付近の窓でさえ内側から鍵が厳重に掛かっている。
それと何故だろうか、中から人の気配もするような、しないような。
「やっぱり職員室にも鍵無かったぞ……ッ!」
この俺達が居る旧校舎とは正反対の方にある特別棟の職員室に鍵を探しに行っていたクラスメイトが帰ってきて、息を上げながらそう告げた。
「なぁなぁ……なんか臭わない?」
女子がそう言ったのをきっかけにザワつき始める。内側から厳重に掛かった鍵に、この異様な臭い……。何かあるに違いないはずだというのに何もできないこの現状に、一人腹を立てた俺はドアに八つ当たりした。
「………クソッ!」
その無駄と思われた行為の直後、カチャッ、という鍵が開くときの音が
その場に響く。その音はザワついていた状況を一変し、一気にどこか冷え込んだ静寂へと変わる。
「え、開いたのか……?」
誰かが一人そう呟いた。確かに今の音はまるでドアが開いたような音だった。真相を確かめようを俺は勢いよく重々しい鉄のドアノブに手をかけては、引き抜くように引っ張った。
ドアが開いた、これより先に目に衝撃として俺達の目に映ったのは
赤い、赤い、それも毒々しい深紅に染まった・・・・人の姿だった。
「キャァァァ…………ッッッ!!」
ザワついては一気に冷え込み静かであった状況は今度は
驚きと恐怖にうなされる声ばかりが占めた。
そう、目の前に赤く染まった人がそこには居たのだ。
その赤く染まった人は一人だけではなく二人で、
一人は天井に足から吊るされており床に着きそうになっている頭部から血が
一滴、二滴と滴っている。もう一人は心臓辺りに刃物が突き刺さっており、
床に突っ伏している。その床には血の池が出来ている。
それを目の当たりにした俺も冷静を保てず……。
俺は思わず足を地べたに着いた。
「なんだよ……これ……」
何かがこの学習室という密室で起きているのだろうと
覚悟はしていたが・・・・。まさか死体を見ることになるとは予想も
していなかった。そのまま俺は少し硬直した。
少し経ち、なぜこの二人は赤く血に染まってしまったのだろうと
まるでどこかの小説に登場してくる探偵の様な気持ちで恐怖という驚きは
いつの間にか、好奇心の方の驚きに変わっていくのを実感し始めていた。
俺は重かった足を無理やり動かし、その赤い死体へと近づけた。
その時にクラスメイトが正気なのか、と言うが俺の耳には入って来ず。
近づいて俺は床に着きそうな頭部を見る。
流血で良く顔を見ることは出来なかったが……。
これはどう見ても昨日転校してきたばかりの筈である、
瀬々良木さんの変わり果てた姿であった。
もう一人は朝方に名簿を眺めていたあの担任の先生であることが分かった。
なぜ彼女らが、死んでいるのだろうか。
誰かが殺したのだろうか……。
なぜ殺されなければいけなかったのだろうか。
それらの疑問が俺の頭の中で交錯する。これは誰かが殺したに違いない。
俺は迷わずそう決める。なぜならばロープで足が吊るされて死んでいるこの状態は自殺とは言えない筈だ。そして何よりも、先生が手に持っている手紙の様なものがあるからだ。
俺は恐る恐る握っている手紙を取ると、それを開ける。
そこには赤い血で書かれたメッセージがあった。
「LOSEお前たちが脱出することはまず不可能だ」と。
LOSEの字はデジタル時計の様なフォントで丁寧に書かれていた。
俺はこれは彼女らを殺した犯人からのヒントと受け取り、
俺は俺なりの推理を始める。
いやぁー。急展開!
次話も宜しくお願いします。