月の名を冠する者篇part6“ムーン=スノー姉妹の能力 „
「ッッッ____。こんなかすり傷ぐらい戦闘に支障はない」
インファストラスはそう言うと再び拳銃を構えて撃ったが
その弾丸は簡単に斬月に切り捨てられる。
「なぜ当たらないッッッ!」
インファストラスはそう叫んだ。そしてスヴャストラスも
刃の長いコンバットナイフを構えたまま動かない。
俺と斬月、そしてムーン=スノー姉妹はお互いに相手の
隙を突くため視線などで挑発し合っているのだ。
そしてしばらく硬直状態は続く。
ムーン=スノーの2人には全く隙がないのだ。
お互いの苦手なところをカバーし合っているからか、
凄い威圧感も伝わってくる為攻撃のしようがない。
だが隙がないならば作れば良いだけのこと。
俺は斬月にアイコンタクトを送り無人島の時のように
地面を蹴った。すると体は空中に放り出され結構な高さまで到達する。
それを見ていたムーン=スノー姉妹の警戒がさらに強まった
ところを見て、斬月は刀を上段構えにし力を込め始めた。
そして俺と斬月の息は完全に一致する。
「「ハァァァァァッッッ!!」」
まず俺が降下しながら先ほどの斬月のように剣を振り、
斬撃を具現化、斬撃の雨を降らせる。
その斬撃がムーン=スノー姉妹のところに直撃した瞬間に
斬月の上段構えだった溜めは力を発揮し、凄まじいスピードにして
一瞬で姉妹に接近、追い打ちをかけた。
姉妹のいた場所からは土埃が上がり中が見えない。
だがその瞬間中から弾丸が無数に飛んでくる。
「チッ、避けきれないッ!」
俺は地面に着地したばかりで着地姿勢を取っていた。
だが、
「先輩ッ!!」
斬月の刀が横から飛び込み、弾丸ごと吹き飛ばした。
その刀を投げた斬月は無傷。やはり彼女らの標的はあくまでも
俺ということは変わらないらしいな。
俺は地べたに突き刺さった斬月の刀を左手に、
俺の月の石でできた剣を右手に構え、土埃の中へ突入した。
そして土埃は俺が飛び込んだ勢いで一気に晴れる。
俺は気配を感じていたところに剣を差し向ける。
そこには俺たちの攻撃を避けきれなかった姉妹の姿があった。
だが膝を立ててこちらを睨んでいて、意識は健在のようだ。
「私たちは...ここで...貴方に...負ける...訳にはいかない...の」
「お姉さま...の言う...通り...だから...私たちはッッ!!」
「「2人で2つの強靭な刃と化す!!だから力をッッッ!」」
姉妹はそう言うと持っていた武器を空へ放り投げた。
すると武器の周りの空気が煌き始め、武器を中心に大きく、
とても美しい氷塊が形成され始めていた。