月の名を冠する者篇part2 “斬月と合流 „
大崩壊地区に入るには検問を通る方法が無難だが
他にも方法はある。
それは大崩壊地区に住み着いている人々がよく使用する
下水道だ。この下水道のマンホールは開きっぱなし。
それにはこの大崩壊地区が都心から離れているという
理由もある。その為検問は2つや3つしかない。
そしてグループ会長が指定したのは大崩壊地区の
建材が白く変色し、崩れたビルが立ち並ぶ元々は中心街だったところで
そこは大クレーターとなっている。この理由としては
聞いた話だがここで原初の三日月の3人が争い、
“何か„が発生して半径500メートルほどの大クレーターとなったらしい。
だが俺はこの頃幼かったからかこの話題の記憶が薄い。
そこに向かう前に俺は斬月との待ち合わせ場所、
大崩壊地区に一番近い駅に着いた。そしてそこにはもう、本人は居た。
「早いな斬月。まだ5分もあるぞ?」
「いえいえ、早く着いてしまっただけですよ。
でもなんで僕なんですか?他にも頼りになる文月先輩とか
居たと思うんですけど」
「ああ、それについては文月は確かに賢くて頼りになるが
無人島の件で言うと戦闘になったときは斬月の方が頼りになるからな」
「そうですか。分かりました。なにより、神代先輩に頼りにされるのは
誇らしいですからね。ですがなんでわざわざ大崩壊地区に?
自分、大崩壊地区のことは知っていましたが立地とかはわからないですよ」
「立地ならおそらく大丈夫だ」
過去、幼い頃に父さんに連れられて大崩壊地区にきたことがある。
だがそのあとの記憶はかすれていて思い出せないんだ。
「あと大崩壊地区に行く理由、話してなかったな...」
俺は斬月にこれまでのこと全てを話した。
水篶から受け取った手紙のこと、長門のことを。
それを聞いた斬月ははじめの方は何を言っているのか分からないような
顔だったが納得してくれたようで奮闘してくれるそうだ。
そして俺と斬月は大崩壊地区に向かうため検問を通らず
マンホールから下水道を進んだ。
この大崩壊地区でこの薄い記憶は直るのだろうか。
思い出せるのだろうか。




