表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脱出不可能  作者: 風雷寺悠真
第10章脱出不可能の異変篇
146/250

脱出不可能の異変篇part19 “押し寄せ消えるもの„

大きな音が聞こえたのはおそらく近くで雷が落ちたらしく

そしてこの広い地下空間の奥から水が流れてきているような

そんな音が聞こえていた。これが放水炉の役割か。


「ハハハハ...ここもこれまでのようだな。助かりたいならば今だぞ?」


長門が言う。全てを分かりきっていた、そんな風に。

それに対し、俺は疑問で返答する。


「どういうことだ長門、もしかしてお前...」


「あぁ、その通りだ。このままだと流れてきている水がここを埋めつくし

私達ともども溺れ死ぬだけだ。だから言った、助かりたいなら今だけだと」


「...ッ!」

どうする...俺。このまま長門と決着をつけずに終わっても良いのか...?


「そういえば...言い忘れていた。君との決着はついている。

それも、始まる前からな」


「始まる前から...だと?」


「そうだ。決着は私の負けが決定付けられていたんだ。

さぁ睦月君、行くが良い。先程のエレベーターは使えないがその裏にある

梯子でならば上へと上がれる...行けッッッ!」


「長門...ッ!?」


「私の負けが決定付けられている理由が知りたいか?...愚かなやつだ。

だがいずれ分かるさ。この先も様々な事が君を待ち構えている、ということは

教えておこう。ではな」


長門がそう言った時、放水されて来た水はもう後ろまで来ていて

俺は走った。地面を蹴って、蹴った。その瞬間、長門が水に飲み込まれるのも

見えた。あいつは結局何だったんだろうか。あいつはずっと中立を

保っていたが最後には敵として。だがその最後の最後には俺には仲間に見えた。


梯子が見えてきた。俺は後ろをもう、振り返らず急いで梯子を登った。


長門がどうなったか...それは誰にも分からない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ