脱出不可能の異変篇part18 “長門の才能とは„
「君は一体なんなんだ?まず第一に私の能力が効いていない」
長門はそう言うと一歩ずつ、一歩ずつ先程と同じように近づいてくる。
俺はそれを避けようと、手を床につき立とうとするがさっきの一撃が効いていて
立てない。それを分かっていてか長門はゆっくりとゆっくりと近寄り、
足を上げ、その足を俺の頭へと勢い良く振り落とす。
「ゥガァァァァァァァァァァッ!!」
俺の顔は地面に叩きつけられる。その叩きつけられた顔を長門に右手で
持ち上げられ視線を長門本人に合わせられ、再び叩きつけられる。
「アァァァァァッッッ!!」
痛さのあまり声が出て、その声が響き渡る。
「さて、もうそろそろ終わりにしようか。もう少し手応えがあると思って
いたのだがここまでのようだ。では、な」
そして長門は小ぶりなナイフを振り上げ降り下ろした。
「まだだ。まだ終われない。終われない理由は俺にある」
だが俺は長門の降り下ろした腕を片手で抑え、ひねる。
長門は俺から距離を置き、止めを刺す勢いで再びナイフを突き刺してきたが
俺は横に転がり防いだ後、回し蹴りで応戦。それに掛かった長門が今度は
床に倒れる。
「長門、詰めが甘かったな。形勢逆転だ」
俺は長門の持っていたナイフを遠くへ放った後、
長門の腕を押さえつける。
「長門、俺も1つ聞きたい。私の能力が効いていないとはどういうことだ」
それを聞いた長門はこんな状況だと言うのに不適な笑みを浮かべ
「ハハハハッ...。私の能力は単純だ。相手の才能を封じる、つまり能力を封じる
わけなんだが。君には通じていない....何故だろうな...」
能力を封じる能力、だと。つまり長門の才能とは...。
「ほう、予測が出来た様だな。そうだ、俺の才能はゲーム作りではない。
俺の才能は回りにいる邪魔者の才能を言葉や行動などで封じ、
自分の有利な状況に運ぶ事だった。それを繰り返してきた結果、
アルファーグループは生まれた。いつかは報いを受けるときが来るとは
分かっていたがな。俺は数々のクリエイターの技を盗み、奪い、食い物にして
こちらだけが有利な状況に運んでいた。全く、最低な男だ。
どうだ、お前にはこんな最低な男を殺せるんだろう?」
長門の目付きは相変わらず睨み付けているがその瞳の奥には
何か別のものが見えたそんな気がした。
だがこんな話をしている時間も俺達2人には無かった。
外から凄まじく大きな音が聞こえたからだ。