脱出不可能の異変篇part5 “ガレージからの脱出Ⅲ„
「ハイ、早く座ってぇ~~~!授業始めるよぉ~!」
先生がそう言うと同時にチャイムがタイミング良く鳴る。
白衣を着ているところから見てこれは理科の授業だろうか。
というか俺は後ろからその光景を眺めている。
そういえば俺は脱出ゲームをしていた筈が...。
おそらく夢だろうか、なぜなら俺は先程目を閉じたからだ。
「今日の授業は金属の性質をやります。
教科書34ページを開いてね~。聞いてるの?霜凪君!?」
霜凪...?俺は呼ばれた少年に目を向ける。
「はいはい分かってますよ~先生。ていうか僕、
授業受けなくてもいいですか?もう高校生レベルまで
勉強してあるんで気にしなくても大丈夫なんで」
と少年は答える。このセリフには聞き覚えがある。
というか今思い出したが、この教室にも見覚えが...。
俺は生徒、ひとりひとりを見ていく。
そこにはある人物が居た。
すなわち俺自身だ。
綺麗に寝ている。だが先生は気にしていない。
その理由は簡単だ。俺は中学生時代の学力なら文月に
勝っていたからだ。つまり学年トップだったということだ。
この頃の俺が勉強出来たのは両親が家にいた頃で
散々塾に通わされていたおかげだ。
それについては感謝している。今でも役立っているからな。
まぁこの話はいい。さてどうやら俺は過去の夢のなかに居る。
「さてまずはアルミの性質ですね...」
と先生が解説し始める。夢にしては不思議だ。
中学生の授業を後ろから眺めるというだけの夢。
寝ている場所が場所だからか...?
今頃カメラで俺を見ている奴は笑っているだろうな。
脱出ゲーム中に寝ているのだから。普通ではありえないことを
するのも脱出ゲームならでは...と適当に自分のなかで
理由を作った。
そして俺はぼんやりと授業の風景を眺め続けた。
授業の内容は金属の性質で、解説していた金属は
アルミ、スチール、チタンの3つだ。
腐食についても解説していて、良い所や弱点も開設していたな。
俺のこの時のクラスはとてもレベルが高い人物が多く、
レベルの高いことも解説していた。
それにしてもなぜ今この夢を見ているのかが分かった気がする。
...腐食か。金属の腐食を有効活用すれば脱出できるかもしれない。
俺がこの結論にたどり着いた時、丁度目が覚めた。
そして俺は呟く。
「良い夢を見たな。この夢を見なければ脱出を
出来なかったかもしれない。覚悟しておけよ、長門...」
俺は一瞬カメラを見たあと、脱出するために
俺はやっと行動を開始した。