脱出不可能の異変篇part2 “長門 嘉月の本性„
朝起き、いつも通りに家を出ると1つのワゴン車が
家の前に止まっていた。俺が家から出てきたのを
確認したのか、運転手や中に居たスーツの男たちがぞろぞろと
出てきた。まさか、任意同行とかいうやつか?
「君が神代睦月君かい?」
運転席から出てきた男が俺に向けて言う。
生憎、俺の家の前の通りには誰もいない。
「誰だお前ら。まさかこんなちんけな高校生を、
別に借金を抱えているわけでもない高校生を誘拐か?」
「ハハハハハ。その大人っぽい口調からして間違いねぇな。
長門嘉月社長から君に伝言だ」
「なんなんだおたくの社長。そんなに伝言ぐらいでしか
言う事ができないくらい多忙なのか?」
「あぁ、そうだとも。脱出不可能を1人で
作り上げているようなもんだからな。俺達は設計図を
受け取っているようなもんで、実質社長が全てをこなしてる」
「まぁ、いい。んで伝言があるんだろう?」
「あぁ。社長からだ。
君に学校を休ませてまで脱出ゲームをやらせるというのは
どうかと思うのだが、私のクビが危ない。
ここだけの話、私の会社には私より立場が上の人物が居る。
私がたとえ社長でも上に会長が居るということだ。
私は会長には逆らえない。その会長が君を見ていて
気に入ってしまった様なんだ。
申し訳ないが君には今から脱出ゲームをしてもらう。
良いな?生憎だが返答にNOはないYESだけだ。
どんなに嫌がっても君には挑んでもらう。
君は脱出不可能をクリアし続けているがそれも終わりだ。
わたしは君を止めなければならない。いや君を止めて、
倒してでも終わらしてやる。これ以上クリアされたら
会社ももたないんだ。君のせいで脱出不可能は脱出可能に
なってしまっているんだよ。...もう君は終わりだ。
覚悟したまえ。ということだ。今から君を連れて行くが
問題はないな?まぁ答えは聞かないが...」
「あぁ、上等だ。クリアして、クリアを繰り返して
脱出不可能を、いや長門を終わらす。それだけだ」
「ハハハハハ。問題なさそうだな。じゃあ乗れ!!」
そして俺はワゴン車に乗り込んだ。
長門嘉月...とうとう本性を出し始めたな。
こんな奴だろうとは思っていたがな。
あの時、五十嵐と対決した時の長門の印象が
いつもと違かったのを今でも覚えている。
終わりが近い、終わらせてやるか...。
そして俺は車に乗っていた筈だが気を失った。
おそらく、脱出不可能の舞台となる密室に
運び込まれているのだろう。
なぜだろうか...楽しみな自分が居る。